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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

長生きしたいと願ったら不老不死に転生したので5000年鍛え続けた結果…

作者: 音

(やかた)さん大丈夫ですか!館さん!


予想よりも進行が早い…


病院の一室。看護師と医師が忙しなく動いている。


周りが騒がしい。息がしづらい。痛い。


『はぁー、俺は死ぬのか……。こんな仕打ちはねーだろ。俺は、まだ何もしてない…。死にたくない。………くそ。もっと。もっと長く生きたい…』


産まれて直ぐに病院に入った俺。学校に行く事もままならず、友達と呼べる人は居なかった。強いて言うなら看護師さんか。


良い人たちだったな……


享年17歳。俺、館大介(やかた だいすけ)の短い生涯が終わった。




眩しいな。


そう思って目を開く。


「ん?目を開く?あれ??……俺死ん。でない!」


咄嗟に身体を起こし、自分の手が透けていないか確認する。


「んー。幽霊じゃないか。ていうか俺、身体起こしてんじゃん!」


感覚的にはつい先程まで寝返りもままならない状況で、身体中が痛かったのに。


「痛くない!呼吸器も着けてないぞ!やったよ先生!」


と、隣を見る。しかしそこには先生の姿も看護師さんの姿もない。そして、そこで大介は初めて気付いた。


自分が森の中にいることに。


「退院したのか。いや退院しても行くとこないからなぁ。あ、だから捨てられたのか!」


いやいやいやいやいやいやいやいや。


大介は飛び上がり、改めて周りを見渡す。上も見て、下も見る。森だ。背後には巨大な木。どうやら、その木にもたれかかって寝ていたようだ。


「嘘だろ。俺、捨て………助かったと思ったのに…」


崩れ落ちるように膝をつき、手をついた。絶望に次ぐ絶望。しかも今は一瞬物凄いテンションが上がってからのドン底。さっきよりタチが悪い。


「ステータスは買えないですよぉーーーー。」


「え。」


どこからとも無く声が聞こえてきた。辺りを見回すが人影どころか動物の気配もない。


「だからーー。ステータスは買うものでは無くて、天からの授かりものなんですよーー。」


「誰だ。言ってる意味もわからん。宗教の勧誘ならしないぞ。俺は神は信用しないと決めたんだ。」


『天』というワードに反応して少々苛立った様子で返した。


「えーー。なんでですー?」


そんな大介には御構い無しに呑気な声で質問してくる。


「…俺は毎日神に祈った。自由に生きたいと願ったのに。結局病は治らず、治ったと思ったらまたこんな……。だから俺もう神を頼らないと決めた。」


「おーー。だからですね!貴方は天のお眼鏡に叶ったんですよー?最高にハッピーじゃないですかぁー!」


「いちいち語尾を伸ばすな!イライラする。ていうか出て来い!今の俺にもう怖いものなんて無い!」


声からして馬鹿そうであったので、多少強気に出る。


「あーー。馬鹿にしましたね?今私を馬鹿しましたこの人ー。私こう見えてかなり知識あるのにーー。ま、貴方に私は見えないんですけどね!」


「喧嘩売ってんのか!」


そう言って、大介は背後にあった巨大な大木を思いっきり殴った。


バキバキバキバキッッッッ!!!!!!!


「え!?」


ズウゥーーーーーーン!!!!!!!


物凄い轟音と共に大木が倒れた。


「あーー!木を薙ぎ倒しましたねー?この人善良な木を薙ぎ倒しましたー。かぁわいそーう。」


何かとカンに触る言い方だが、大介にとってはそれどころではなかった。病院生活が長く、まして何かを殴ったことなど無かったが、自分が木を殴り倒す程の怪力が無い事くらいは知っている。


「どーなってんだ?俺にはこんな力が秘められていたのか…。なんて事だ。俺の封印されし右手が今!解き放たれたとでも言うのか!!」


「お前。何ベラベラと喋ってる。俺は厨二病じゃねー。」


「あれ?違ったかー。いい線いってると思ったのにー。」


やっぱりコイツ俺の事舐めてるだろと思いつつも、今はそれよりも優先すべきモノがある。


「……お前。知識あるって言ったよな。」


「ん?はい、なーんでも知ってますー!」


「じゃあこの状況とお前の正体を教えろよ。」


「おーー。直球ですねぇー?」


さっきから敵意は感じられない。何か情報を持っているなら聞いて、それから色々と判断すれば良い。


「ここは貴方が元いた世界線とは異なる地球ですー。」


「…………ん?」


「つまり、パラレルワールド?貴方のいた地球とは全く別の歴史を歩んだ地球ですぅー。」


「いや、もっと分からん。」


「少し難しく説明してみましたぁー。その方が博識っぽいでしょー!」


何処か得意げな声。表情は分からないがきっと腹立つ顔をしているに違いない。大介は思った。


「めんどくせぇ…。」


大介はもう一度握り拳をつくり、グッと力を入れた。しかし、木を薙ぎ倒した事実があるので何かにあたるのはやめておく。


「つまりあれか。ここはあの世か。」


「違いますね。」


「簡潔で分かり易いレスポンスをありがとな!」


「まーまーそー怒らずにー。」


そして大介はこの声に色々な事を聞いた。


 ここは異世界であり、自分は神様に毎日祈り続けた結果、晴れて神様の目に留まり、こうして自由に生きる権利を得たという事。

 この声の主は天からの使いであり、この声も大介以外には聞こえないらしいという事。

 そして、大介の本当の願いが叶えられているという事だ。


「不老不死!?」


大介は驚きの声を上げる。自分は死に際、確かに長生きしたいと願った。それを知っていた事にまず驚いたのだが、『不老不死』という超ド級のワードによってその驚きは軽々とかき消された。


「はいーー。長生きしたいと願われてましたよねー?なので手っ取り早く不老不死になって貰おうかなと!それでついでに身体を頑丈に!強くしておきましたーー。大盤振る舞いですよーこれ!」


突拍子のないことばかり言ってきてはいるが、この声は自分の今までの人生を知っていた。そして、末期だった病は見る影も無く、リハビリもなしに動ける身体に、信じられない怪力。よく考えればそこら中にある成長し過ぎな信じられない程巨大な木々。


「信じられないが、信じるしかない状況だな。」


それ以外に情報は無いのだから。


「よし。お前を信じよう。…情報をありがとう。」


一応お礼をする。病院でのお爺ちゃんお婆ちゃんから散々言われてきた「感謝の気持ちを忘れるな」を実践する。


「いえいえーー。」


相手も気のせいか嬉しそうであった。


「んー。一先ずこの森を出るか。ここが地球なら町もあるだろ。おい、どっち行けばいい?」


「ここから一番近いのは……、貴方の左の方角ですかねーー?」


「そうか。どの位かかる。」


「5000年ですーー。」


「ん?」


「ん?」


「え?聞き間違いかな。今5000年て……」


「あ、正確には5100と2年ですかねーー?」


「いや増えてんなー。嘘つけ!地球にそんな広い森あるわけねーだろ!」


「言ったじゃないですかー。ここは別の歴史を歩んだ地球だってーー。この星の名前は確かに『地球』ですよー?でも、貴方のいた地球とは規模の桁が違うんですよー。」


「それはもう地球とは呼ばねーよ!」


大介の気持ちがまた急降下していく。頭を抱えて座り込む。


「5102年て、中国だって4000年だぞ…。どうすんだよそんなの。」


「大丈夫!貴方は不老不死なんですよー!」


「いや、それが本当だとしても、5000年は長過ぎるだろ。町も滅ぶわ。」


「常識にとらわれてますねー。言ったでしょー?規模が違うってー。ここじゃあ中国4000年なんて当たり前なんですよーー。きっと大丈夫ですー。」


「はぁー、まぁ、考えてても仕方なしか。折角動けるんだから、楽しまなきゃ損だな。」


三度立ち上がり、町を目指す。大介にとってこの大地を歩ける事が何よりも嬉しい。誰の助けもなんの補助も無しで歩く第一歩目を踏み込んだ。


その時、


ズーン… ズーン! ズーン!! ズーン !!!!!


何かが近付いてくる足音。何かは分からないが、確かに分かるのは…めちゃめちゃデカイということ。


「なんだ!?」


「あーー。ぞうさんかなぁーー?」


バオオオオオオーーーーオン!!!!!!!!!!


「おー、象、生で見たことないぞ!」


動物園など行ったことない。17歳で初めてのご対面だ。


「えーー。逃げないんですかー?」


「こっそり見れば良いだろ。象は温厚だって聞いた。」


バキバキバキッッッ!!!!


木々がなぎ倒される音がする。思っていたより凶暴なのだろうか。


「ん、あれ?デカ過ぎね?」


木々を倒しながら現れた象は、明らかに図鑑で見たものとは違っていた。圧倒的大きさ。地面から頭まで30メートルあるだろうか。


この地球は規模が違う


先程言われた言葉を思い出す。


「死ぬ…」


バオオオオオオーーーーオン


しかも、何故かこちらに向かってきている気がする。


「あーー。怒ってますねぇー。」


「な、何でだ。」


「さっき貴方が倒したのは、この森の中心に位置する神聖な大木でしたからねー。」


「そ……それを早く言え!」


大介は一目散に逃げた。象は幸い右から来ている。天の声が言っていた町のある方角は左。そちらに全速力で走った。


「は、走れる!凄いぞ!でも怖い!」


喜びと恐怖が同時に押し寄せる。本当はもっと感動的に楽しく森を駆け回りたかったのだが、仕方ない。


ギャオオオオオオオ


ギーギー ギーギー


ブオオオオオオオ


野太い声がそこら中から聞こえ出した。


「とんでもない事しちゃたーー。やっちゃったーー。だがしかし!幸運なことに貴方は不死身ですー!吹っ飛ばされても食い千切られても大丈夫ですねー!」


呑気な声で恐ろしい言葉が聞こえてくる。


「テメ!他人事か!いくら不死身でも怖いもんは怖い!」


「じぁーーあー。いっぺん死んでみてはー?そしたら恐怖も無くなりますよーー。」


「…お前死んだことねぇだろ。」


「え?はい。」


「じゃあ、何でも知ってるお前に1つ教えてやる。」


そう言うと、大介は立ち止まり振り返る。そこには先程の象だかではない、図鑑で見た動物達の巨大版が大介を追いかけていた。


「例えどんな状況だろうがな!」


「はい!」


「死ぬのは怖い!」


「!!!」


「お前さっきステータスがどうのとか言ってたな。」


「は、はい!」


大介の圧に押されたのか、若干狼狽え気味だ。


「教えろよ。」


「ス、ステータスっていうのはー、この他の生物は誰もが…」


「ステータスの説明はいい!お前ちょっとズレてんだろ…。」


よく考えれば最初に声が聞こえた時も、なんか変な事言ってたし。


「ゲームのあれか?」


「んー。ちょっと違いますねー。」


「見せろ!」


すると、目の前に何やら透明なボードが現れた。


「ステータスと言っても、レベルやら攻撃力やらそんなファンシーがある訳ではないんですよぉー。あるのは今の貴方の職業とぉー、使える魔法くらい。」


「何だそれ…。そんな免許証的なやつ何の役に……、てっ!魔法!?使えるのか!?


「勿論使えますよぉー。」


「それを早く言えよ!よしこれで…」


ズウーーーン


そんな喜びも束の間。いつの間にか大介の真上まで来ていたあの巨大象の前足よって、大介は踏み潰されてしまった。地面に亀裂が走る。動物?いや最早怪物達が一斉に声を上げる。ザマーミロとでも言っているかのようだ。


「あーーー!!!!大介さんーー!!!!!」


「………」


呼び掛けるが返事は無い。どれ程の重さなのか想像もつかない巨大な象に全力で踏まれたのだ。当然と言えば当然。どうやら大介は…


「……お前が大事な事をとっとと喋らないから。」


突然聞こえたその声は象の足の下から聞こえてくる。


「え…。」


「バオ?」


すると、徐々に象の前足が持ち上がっていく。


「殺されたちまったじゃねぇーか!!!」


そして、象が宙を舞う。


「えーーー。」


「バオーーーーン!?!?!?」


吹っ飛んでいった象を見て、他の巨大動物たちは怯み、数足後ろへ下がり、大介の様子をうかがっている。


「全然怖がってないじゃないですか……。」


「おい。俺はどんな魔法が使える。」


その呆れた声には構う事なし。


「ちっちっちぃー。初めから使える魔法なんてないんですよぉー。魔法は経験の中で手に入れるものですぅー。」


「まあ、だろうな。流石に最初から魔法まで使えたら反則過ぎるしな。」


「ですよねー。神様はこの際つけちゃえーって感じだったんですけどねー。流石に止めましたよねー。」


「軽いな神さま。」


「全く困ったもんですよー!」


「この親にしてこの子あり感がするがな。」


「え?なんでですかー。」


「………。よし、いい機会だ。コイツらいい経験値になりそうだしな。」


「無視しないでくださいよーーー!」


一度死んだが、象を投げ飛ばす事はできた。その事実を確認できた事は大きい。


「俺はこの怪物たちに勝てる。」


うおおおおおおおおぉぉぉぉーーーー!!!!!!


自分を奮い立たせら為にめいいっぱい叫ぶ。それに呼応するように巨大な動物達も咆哮を上げた。


「うおーーーーーー!」


ついでの天の声。


「お前は何もしねーだろうが!」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「やりましたねー!」


「ハア、ハア…。ああ。魔法つえー。」


総勢55体の化け物じみた動物達。中には魔法を使ってくる輩もいた。死んだ回数ジャスト50回。魔法で30回程やられた。


戦利品・魔法1種


「割りに合わないなこれじゃ。」




【強化魔法・強化視覚】


視力を上げ、視野を広げ、動体視力、視覚情報の同時処理能力を向上させる




始めの時に相手の攻撃を兎に角避け続けていたのが功を奏して得た魔法。覚える迄に37回死んだ。


「いやいやー。覚えてからは中々素晴らしかったですよー?慣れてからは2度しかやられていないですしー!」


「1度でもやられてたらアウトだよ普通。ちょっと感覚おかしくなってくるなこれ。」


だがしかし、規格外のこの星ならこれくらいが普通なのかもしれない。この怪物を簡単に倒せるようでなければ町に行っても直ぐにやられてしまうかもしれない。大介は町出るこの5102年の間にとことん強くなる事を決めた。


「まぁ、強くなる以外に森を出る道もなさそうだしな。」


「あーー!勝手に自己完結しないでくださいー!私もいますからねー!!」


「分かってるよ。お前はなんでも知ってるんだろ?」


少し呆れたように大介は言った。


「はい!何でも知ってますーー!」


大介は目の前に広がる無数の倒れた怪物達に目を向ける。


「……じゃあ。料理の仕方を教えろよ。」


「え?」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜





5000年後


【とある草原地帯】


「きゃあぁぁーーー!!!」


「や、やめてくれぇ!!!」


10人の盗賊達が一台の馬車を襲っていた。馬車には家族が4人。父、母、娘に息子。そして馬2頭。


「うるせぇーー!叫んだって誰も来ねぇーって言ってんだろーが!」


「4人はどうします?」


「連れて帰って売っちまえば金になるさ。おっさんは売れねーが。臓器はあるだろう?」


家族はその言葉に益々震え上がる。


「何やってんだよ。」


突然する声に盗賊10人と家族4人は漏れなく振り返る。


「臓器がどうとか言ってたな?」


「ああ?何だテメーは。」


「その方は。ちゃんと臓器提供の承諾書にサインしたのか。」


「はあ?」


がははははははははははは


盗賊達は突然突飛な事を言い出す半裸で、下はボロボロのズボン?と言えるのかもわからない皮を纏った男を見て笑い出す。


「承諾書なんざ要らねーんだよ!」


「じゃあ無理やりか。」


「当然だろうが。…ん?こいつ…」


魔力がゼロだ。


その言葉にさっきまで笑いに包まれていた空気が一瞬やみ、


「ぷっ!」


わはははははははははははははははははははははは


「道理で気配に気づかなかったわけだ!」


「マジかよこいつ!こんな憐れな奴見た事ねー!」


「そんな奴いるのかよー!!」


「嘘だろ!?」


また馬車の周りは笑いに包まれた。方や、そのボロボロ男はボソボソと、


「コイツら何で笑ってんだ?」


などと独り言を言っている。


盗賊の、恐らくボスらしい男がボロボロの男に近づいていく。


「おー何と憐れな少年か。上は無く下はボロボロ。終いには誰もいない空中に話し掛けてしまう始末。」


男は更に顔を近づける。


「生きる価値も無い君を、せめてもの情けで、一思いに殺してやろう。どうせ生きててもいい事なんて無いだろう?」


がははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは


「丁度いい見せしめだ。お前ら次騒いだらどうなるか……。コイツで手本を見せてやる!」


腰にしていた剣を抜き、ボロボロの男の顔面めがけて斬りかかる。


「え。」


ヒュンッ


剣は男の頰をかすめた。男は驚き、声も出ない様子だ。手下の盗賊達はやっちまえーと騒ぎ立てる。


「ははは、何ビビってんだよ。今のは只の脅しだぜぇ?次が本番だ!」


言うが早いか、盗賊は再び剣で男に斬りかかった。未だに男は驚いたままだ。


「え、遅過る…。」


「あ?」


言いながら男は剣を寸前でかわし、盗賊頭の懐へ入り、拳で腹に一撃。食らった盗賊頭は思い切り後ろへ吹っ飛んでいった。


「「「はああああ?!?!」」


盗賊達はまだしも、襲われていた家族4人まで声を上げる。


「あまり遅いから何かあるのかと思ったのに、何もなかった。……まさか!お前たち魔力を隠していないのか?!」


「何言ってやがんだコイツ!」


「魔力隠しなんてする意味ねーだろーが!魔力は力だ!誇示してナンボだろうが!」


「おい。どう言う事だよ。……『知らないですーー。』じゃないだろうが。何でも知って、ん?ああそうか。そう言う事か。つまりお前らは…」


弱いって事だな。


「「「なんだとテメー!!!!!!!」」」


そう叫ぶと盗賊達は一斉にボロボロ男に飛びかかる。


「俺たちは泣く子も黙るA級犯罪集団コザブーモ一味!頭を倒したからって調子に乗るな!」


「Aってアルファベットの一番最初じゃねーか。」


ドカッ


バキッ


ドスッ


次々と一発KOされていく盗賊達に4人はあっけに取られていた。


「お前で最後か。」


「くそーー!!!!」


バキッ


顔面に一発ノックアウト試合終了。


「そりゃ強いのもいれば弱いのもいるよな。最初の人には悪いことしたな。ちょっと本気で殴っちまった。」


ボロボロの男は手を2、3度パッパと払った。


「つえー!アンタめっちゃつえーな!!」


襲われていた4人の内1人、見た目からして15から16くらいの少年に近寄り、話しかける。


「こら!先に礼を言うのが礼儀でしょう!」


そう言って、その少年の頭を叩いたのは母親。対して叩かれた方は「分かってるよ…」と不満気にぶつくさと愚痴たれている。


「本当にありがとうございます!」


続いて父。ニコニコと人が良さそうな人だ。


「いやいや。偶々通りかかっただけなので。」


しかし、感謝されるのは嬉しいようで中々にやけている。そして、じゃあ。と言ってその場を離れる。


「何と礼をしたらいいか。あ、行ってしまうのですか?」


「ん?はい。」


それが何かと言いたげな口ぶりで男は返す。


「せめてお名前だけでも教えて頂きたい!」


「俺は館大介。一応17歳。好きな食べ物はチョコレート。嫌いな食べ物は熱い物、辛い物。食べてみたい物はラーメン、あと…」


「あああーめっちゃきた。予想よりめっちゃ喋る。」


「何処へ行かれるのですか?」


今度は娘と思しき人が話しかける。


「町です。とにかく町。そこで俺は学校に行きたい。」



自由で最強な男、大介の波乱の物語が始まった。











少し書き直しました。

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