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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2019.11.
91/2264

あがき




 手の甲の手首の内付近。

 骨に沿って十円玉を二枚並べたくらいの範囲。

 私はよくこの部分を拭き忘れる。


 手荒れがひどくなってからも。

 水を扱った時、湯を扱った時。

 他の部分は念入りに布で拭き取るのに、


 どうしてか、この部分だけは拭き忘れる。

 



 この程度、拭かなくても自然乾燥するだろう。

 認識の甘さが手荒れと繋がったのだ。


 しかし私は果たしてどうして。

 手荒れになると認識してもなお、

 害になると自覚してもなお、


 この部分を見過ごすのだろうか。




 この程度。

 それどころか、認識さえしていない部分を、見過ごした先にある後悔。

 害が慣習となってからでは遅い。

 私はこの手荒れから学んだはずなのだが。


 水分を丁寧に拭きとっても、 

 手袋をしても、

 こまめにハンドクリームをつけても、


 どうせ、


 見過ごすのは、

 どう対処したって、どうせ症状が現れると知っているからだろう。


 無駄だと。

 どうしても拭い去れないその思考が、拭き忘れを生じさせるのではないだろうか。


 無駄だと。











「あー、また拭き忘れている」



 初動を間違えたのか。

 どう足掻いたとしてもこうなる運命だったのか。


 果たしてどちらでも、私はどうしたってどうしても。

 無駄だろうがどうだろうが。


 痛みのない手を取り戻すために、拭き零しがないようにするだけだ。 




(2019.11.10)




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