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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2019.6.
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禁断の果実




 生命の色を凝縮した色とは、眼前の果物を指すのではないだろうか。

 二日前には見せていなかったその色を前にして、思わず唾を呑み込む。


『いいかい。これからはもう食べてはいけないよ。食べたら、』


 食べたらどうなるの。

 恐ろしいことになるよ。

 常になり神妙な顔はけれど、不気味に思うよりもおかしくて吹き出してしまい、余計な怒りを買ってしまった。


 一日前の出来事である。


 


 あれを食べられるのならば、死んでも悔いはない。

 そう思わせる魅力があるのだ、今の果物には。


 どうしよう。

 きっと食べたら死ぬんだわ。

 死んで、私の王子様が来なければ死んだままだわ。


 自分で想像しておいて、やはり吹き出してしまった。

 今の私は箸も転がればおかしな年ごろなのである。


 ううん。まあ、いいか。

   

 手を伸ばして、果物をもぎ取り、一切の躊躇なく。

 歯を立て、顎を動かし、かじりついた。

 瞬間、断末魔の悲鳴が耳を直撃した。


 自分の出した声だと、認識は、できなかった。










「食べるなと言ったのに」

「ひどいよ。なら渋柿みたいに渋いよって言ってくれたらよかったのに。うう。口の中が渋い。何を飲んでも渋い。あんなに美味しそうな色だったのに」




(2019.6.18)


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