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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2019.6.
75/2213

梅酒と紫陽花 2(完)




 白の素面。

 水の爽快。

 薄紅のほろ酔い。

 真紅の酩酊。

 縹の泥酔。

 昏睡は論外。




 一年に数十日間。

 すべての梅の実が萌黄から黄金となり、自然と地に着くまでの間。

 とある一軒家に神様が滞在する。


 神様を出迎えるのは、こじんまりとした庭の住民。

 低い梅が、実を控えめにならす。

 小さな泉が、細かに湧き続ける。

 高やかな紫陽花が、夜ごと色を変える。


 自然と落ちた黄金の梅の実が、音なく泉に沈んでは浮かび、梅酒の泉に変わる。

 神様はてずから梅酒を酌み、共に飲もうと紫陽花と客人を誘う。


 梅雨の季節であった。




 白の素面。

 水の爽快。

 薄紅のほろ酔い。

 真紅の酩酊。

 縹の泥酔。

 昏睡は論外。


 

 

 いつ頃であったか。

 この宴席に誘われたのは、

 淡い恋心に気づいたのは、


「いつになったら告白するのか」

「……できるか、莫迦者め」


 神様が梅酒を大いに嗜めば、紫陽花は梅酒を少なに嗜む。

 神様が梅酒を少なに嗜めば、紫陽花は梅酒を大いに嗜む。

 己は、いつも中間かそれより下を保つ。

 白か、水か、薄紅か。

 

「いつになったら、己は縹になれるのやら」

「なるな、莫迦者。せいぜい、真紅だ」

「なら早く真紅にさせろ」

「勝手になっていろ」

「なれるのなら、なっているさ」


 縹に白。

 残念ながら本日は両極端で終わる双方の世話を焼かずに済むのはいつになる事やら。

 

 


 

  

 


(2019.6.9)




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