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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2019.4.
64/2264

古典名歌選 山里と春の夜の夢



 

 花に群れ

 水に沈み

 茶に埋れ

 雪に失い


 道が道と呼べず


 たとえば


 花びらではなく花の形を保っていたのならば

 水の底に金銀財宝が眠っていたのならば

 枯葉の合間に食料が隠されていたのならば

 雪を踏む先に新たな命が芽吹いていたとしたら


 道なき道を進もうとはしなかっただろうか

 踏み出す意志さえ、持ちはしなかっただろうか

 彼の人は

 私を訪ねはしなかっただろうか


 やおら向ける視線の先に

 土の道はなく

 木の道もなく

 石の道もなく

 化の道もなく


 曇天から逃れたのか

 曇天を退けたのか

 曇天を裂いたのか

 曇天と協したのか


 両の眼を射す夕焼けのように

 道はなし

 一本さえも

 

 であるのにどうしてか、


 どうして彼の人は私の元へ訪れられるか

 

 毎年毎季節

 証は流されゆくと言うのに

 どうして、か、




「目が覚めましたか?」

「…ああ」


 微笑んで、彼の人を見るようで、できているであろう道を見ようとしたら

 やはり道はなく

 夢かと呟けば、

 莫迦ですかと微笑まれた




(2019.4.25)



[山里は雪ふりつみて道もなし

 けふこむ人をあわれとは見む]

(平兼盛)


[山里は雪が降り積もって、道もなくなってしまった。今日訪ねてくれる人があれば、素晴らしいと思うことだろう]



[春の世の夢の浮き橋とだえして

 峰にわかるる横雲の空]

(藤原定家)


[春の夜のはかない夢がふととぎれ、覚めやらぬ目をやると、峰にかかる横雲が左右に分けられていくあけぼのの空よ]


『かっこいい文章を書きたかったんだそのいち。か、な。いや、いつも心にかっこいい文章!枯葉=茶にしたけど、茶でもいいけど、もっと別の一字を考え出したい』


【参考文献 : 新総合図説国語 改訂新版 東京書籍株式会社(高校の時に使っていた教科書)】



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