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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2019.4.
62/2214

勇者の条件




「離せ!くそ親父!」

「いーやーだー!」

「離せっつってんだろうが!」

「はーなーしーまーせーん!智子が勇者をやるって言ってくれるまで離しません!」

「勇者なんかやらないし!そもそも勇者いるし!私は魔王のとこに行くの!魔王のとこに行って!」

「勇者らしく魔王退治!」

「違うわ!魔王に会って!この頭に咲く莫迦げた花を取り外してもらうの!」

「大莫迦者!」

「泣くなうっとうしい!」

「泣きます。泣きますよ!父さんは。せっかく勇者の証である頭上の花をよりにもよって魔王なんかに取り除いてもらうなんて。父さん許しません!」

「許さなくて結構!さっさと離せ!さっさとこの毒々しい花とおさばらすんの!普通の女の子になんの!なんか村のみんなに同情的な眼差しを向けられるの終わりにしたいの!」

「ばっかもの!それは己の煮えたぎる熱い血潮と仲間の穢れなき純白の魂を表しているそれはそれは有り難い守護花なのだぞ!」

「違う!どー考えても!これは毒花だっての!離せ親父!」

「勇者と言ったら離します!」

「誰が言うか!」

「おやおやおや。こんな道端で怒鳴り合いなど美しくないな」

「おまえは!弟の倅」

「勇者ですよ」

「ふん、莫迦者め。勇者は、ほれ、私の娘がなるのだ」

「なりません!」

「無理強いはよくないな」

「貴様!」

「あ、ありがとう……」

「ふふ。目を開けておくれ。可愛い人」

「いえ、ちょっと、あなたの両頬の光で目を開けられません」

「ああ。すまない。魔王族を倒すのにこの両頬の鏡が必要でね…よし。カバーを付けたから大丈夫だよ。それにしても見事な花だね。ビューティホウ」

「!あなた勇者でしょ。この花をどうにかして取り外せない?」

「申し訳ない。僕にはどうにもできないよ。でもそのままでいいじゃないか。可憐な君を引き揚げてくれるビュウティホウな花じゃないか」

「はあ。じゃあやっぱり、魔法使いのおばばの予言通り、魔王に取ってもらうしかないわね。ありがとう。私、行くから」

「待ちなさい智子!勇者と宣言してからじゃないと、その花の効力は発揮せんぞ!」

「しなくて結構です!さよなら莫迦父!もう会う事はないでしょうね!」

「ま、待ちなさい!智子!いや、勇者智子!勇者智子!ゆーうーしゃーさーとーこーがーいーまーすーよー!」

「連呼すんな!吹聴すんな!」

「まあまあ御父上」

「誰が御父上だ!叔父上と呼べ!」

「失礼叔父上」

「ふんっ」

「僕が智子さんについていって、彼女を護りますよ」

「はぐらかされんぞ!おまえは智子の勇者の花をかっさらいたいだけだろうが!」

「流石叔父上。けれど、彼女は要らない。僕は要る。利害は一致している」

「ぐも!お、おまえ、なにを!?」

「一時間もすれば自由の身ですよ。それまではご辛抱ください、叔父上」

「待てぃ!」

「そうそう。父上から伝言ですよ。私の一族こそが正当なる勇者、だそうです」

「まがい物めが!」

「失礼します」




「武器も持たない女性一人では危ないですよ、智子さん」

「さっき言ってたの聞こえた…協力し合いましょうか?勇者様」

「はい、よろしくお願いします……けれど、惜しい。本当に貴女に似合っているのに。そうだ、この先に硝子の町がある。そこで、最高級の腕を持つ職人に模倣花を創らせて、貴女に差し上げます。いや、やはり、それではだめだ。そうだ、僕が模倣の力を会得してその花の姿形だけでも造形して、貴女に差し上げますよ」

「さっさと魔王のとこに行くわよ」 




(2019.4.24)



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