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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2019.1.
57/2264

雪と雷




 風や、

 雨や、

 雪に。

 雷が触れた時、どのような現象をもたらすのか。


 風は、音。

 いかづち。


 雨は、光。

 いなびかり。


 では、雪は?

 

 雷が雪に触れた時、どのような現象がもたらされる?






 最初は、淡雪。

 柔らかくちぎった、冷たい綿菓子。

 無風だったので、寄り道をせずに、ふわふわと上から下りてきた。


 次は、霙。

 だいぶ解けてしまい、底にかろうじて遺るかき氷。

 横殴りの風によって、武器に化ける。

 

 次は、牡丹雪。

 はなびらの形状か、美しさの象徴か、春への切望か。

 籠められた想いの数虚しく、淡雪と化す。


 その嘆きか。

 空に暗雲立ち込める。

  

 その最中。

 

 いかづち。

 いなびかり。

 間を置かず。

 なる。


 雷が、雪に触れる時、どのような現象をもたらすのか?


 答えは、どんな現象ももたらさない。


 雷は雪に触れられないが為。


 雷は、

 雪に隠されるか、

 もしくは、

 雪を飾るか、

 そのどちらかである。 

 

 雪が降る。

 この刻ばかりは、主役になれず。


 悔し紛れか、激昂か。

 いかづちが鳴り。

 いなびかりが成る。

 間を置かず。


 風と雨の力を借りて。


 雪を彩る。



 


『本日(1/26)の天候から。雷のタイムログがなかった。光ったらすぐ音がした。めっさ怖かった。次の日。つまり本作を書いている今日(1/27)。雪と雷の漢字の由来が気になったので、漢語林で調べた。 

(雪)

 篆文は、雨+彗(音)。

 音符の彗は、はききよめるの意味。

 雨で洗い清める、そそぐの意味を表わす。

 また、セイに通じ、ほそくこまかいの意味、こまかく軽いゆきの意味を表わす。

 甲骨文は羽毛のような雪片の象形。

(雷)

 篆文は、雨+畾(音)。

 音符の畾は、重なるの意味。

 いなずまが直線を重ねたように走るさまから、かみなりの意味を表わす。


 【新版漢語林〈2色刷〉】より。』


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