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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2018.11.
47/2265

一つの願い




 三歩進んで二歩下がる、

 どころの話ではないだろう。

 

 決死の勢いで、ひとたび跳躍して、


(例えば、それが僅かな距離であったとしても)


 これは致し方なしと、全速力で逃げて、


(例えば、殺傷力を与える獰猛な獣に追われるが如く)


 何もかもに嫌になって、ひとりになりたいと引き籠って、


(例えば、春を望む睡眠中の植物のように)


 疲れたと、涙を流して




 幾度も。いくどもイクドモ。

 凝りもせずに、繰り返す。


 好転したかと思えば、暗転。

 暗転かと思えば、好転。

 これも凝りもせずに、幾度繰り返すのか。


 幾度繰り返せば、

 変われるのだろうか。


 変わりたくない部分が大きすぎて。

 諦めか、受け入れか。

 どちらにしても、疲れること、山の如し。

 下手をすれば、大気圏突破である。 


 他人から見れば、莫迦な事で悩んでいるなと呆れられよう。

 そんな事、己がよく知っている。

 知っていてもなお、繰り返すのだ。

 愚かにも、




 いつしか。

 最初からではなかったはず。

 青春を迎える年になってから、か。


 通い合わせる為の言葉を言えずに、

 こんなにも年月を経てさえも一方通行の言葉しか投げられず、

 それでもごくまれに、言葉を重ねて、

 これから、ミリ単位でも通い合わせる事ができるのかなと、


 ただただ、映像を共にし、映像をきっかけに会話をし、時に弾ませ、時に口論し、時にただ、時を共にし。

 交わす言葉は少なくても、これだけでもよかったのかなと、


 どうなりたかったのか、

 答えは出ているようで、出せずにいて。


 ただただ。

 寂しい思いが込み上げて。

 ただただ。

 あなたの姿が目の止まる場所にあってくれたのならと。


 こうすればよかった。

 ああすればよかった。

 そんな後悔はないのだ。


(あなたはそう思わないかもしれないが)


 ただただ、

 あなたの姿が、目の留める場所にあってくれたのならと。

 願わずには、いられないのだ。

 喚き叫ばずにはいられないのだ。

 涙を流し続けるだけしかできないのだ。




 愚かにも、








「---いてよ」




 空にも水にも流れずに。

 石の中に閉じ込められないで。

 この庭に埋まっていてよ。





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