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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2018.7.
17/2265

華美ではない異種間物語




 告白やら抱擁やらキスやら涙やら。

 お涙頂戴、かつ、異種間恋愛ものでのハッピーエンドに付きものなのは、心情吐露に接触過多に細胞譲渡。

 これらの言動に必要な条件は一つ。

 華美であれ。





「呼び寄せたかと思ったら、寝ておる」


 偶然か、はたまた意図的か。

 こいつの事情がどうであれ、呼び寄せられた時点で、拒絶が許されない雇用関係成立。

 不愉快極まりないのは、その強制力と雇われた人物だけが原因ではない。

 この灼熱の地獄と化した土地もその要因だ。


 以前とは比べるべくもない上昇した気温。

 常に結界を張っていなければこの身は持たない。

 私だけではなく、この地の者も。当然こいつも。


 宇宙服のように厳重な防備服に身を包まなければ、生きてはいけない。


 この身を直に晒す事など、できはせず。

 華美な物語を紡ぐ事は叶わない。


 姿も声も、互いに届きはしない。

 眼前に居るにもかかわらず。


 相手の意思は、この地に呼び寄せられてわかるだけ。

 あとは文字でのやり取りのみ。



 結界に、防備服に、文字が浮かんで意思のやり取り。


 滑稽な姿の御開帳である。



【今日も雪ダルマだな】


 就寝中の文字が消え、先の文字が浮かび上がる。


【涼しいなあ】

【今日は何をする?】


 外見だけで涼しくなれるとは安いやつ。

 毎度思うが文字には出さず、お馴染みのやり取りを繰り返す。


【火犬の暴走を止める】

【また保護か。人のやる事はわからんな。明日の我が身も知れぬのに】

【わからんこそだろ】

【自らの危険を冒して?】


 もしも死んだとして。

 死んだ時でさえ、お互いの姿も声もわからずじまい。

 刹那に蒸発して、塵も残らない。


 どちらともに。

 残るのは無機質な文字だけだろう。


【おまえが居れば最強負けなし】

【くだらん】


 心底思う。

 くだらない。


【足を引っ張るなよ、あるじさま】

【だーから、それやめろって。言ってんだろ。名前は、】


 くだらない。


 無機質な文字は飽いたなど。




(その名を文字にする事はない)


(呼ぶのは、どちらかが消える刻だ)











「あれ、俺も雪んこ?うお、もう召喚された。じゃあ、またな」

「・・・・・・・・・いや、うん。まあ、いいや」






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