一日の夏の変化
ジリリリリリィ。
暑い日差しに影が帯び、冷風は頬と足を撫でて行く。
これを感じられるのは、夏の熱と、それを耐え抜いたからこそ生み出された汗による産物か。
昼にはかしましい蝉の鳴き声も鳴りを潜め、一匹がもの悲し気に告げる夕刻。
世界が優しさを垣間見せる時刻。
ほっと、無意識に出るのは、安堵の溜息か、一日を過ごした充足感故の笑声か。
まだまだ日は残っているというのに、
昔の話。
今のご時世、昼の灼熱にクーラーなしで耐え抜く事は不可能であるか。
ならば、このご褒美とも称される産物を味わう事も不可能か。
熱く、暑く、涼しく、冷たく。
夏ほど激情に富んだ季節はないだろう。
年を超えるたびに増していく激しさは、脅威とも名付けられるほど。
世界は変わる。
果たして、自分も変わる。
しかし、世界のように激しくはなれない。
雄々しく最期を飾れないものか。
華々しく最期を魅せられないものか。
あの頃のように、
「お互い老いたな」
「こうやって並んで茶を飲むくらいにな」
「弟子の具合はどうだ?」
「そろそろ一人前、か。おまえの方は?」
「ああ、そろそろだな」
「後方に立つか?」
「誰が。高みの見物、になるかもなあ」
「文字通り?」
「文字通り」
「そーゆーやつに限って、なかなかなあ」
「まあ、一回戦の勝敗くらいは聞きたいよな」
「無理だろう。一緒に居るわけだし」
「いいんだよ、直に顔を見せなくたって」
「便利だしな、今」
「おうよ」
「じゃあ、その便利さにあやかって勝負すっか?」
「今日は負けねえ」
「今日も勝つ」
「夕陽をバックに活き込んじゃってまあ」
「未来予想図?」
「いやいやいや、ないないない。ぜってーない。自分ら、クール乾燥系じゃん。未来におまえの姿はない。断言してやる」
「自分、クール粘着系だから」
「嘘つけ」
「ま、明日からよろしくで。ヒーローさん?」
「お手並み拝見。ヒーローさん」




