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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2020.1.
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111/2513

いちじん




 鳥、と言えば、真っ先に思い浮かぶのは、ハトである。

 神社に数多くいる、ハト。

 野外にいる鳥の中で人懐っこさで頂点に立つと思われる、ハト。




 自転車を乗って三十分ほどで辿り着く神社に、幼い頃は友人とよく遊びに行っていた。

 目当ては、ハト、である。

 甘酒やおせんべいが売っている休憩所も兼ねた売店で、三十円の駄菓子を買って、ちょっと摘まんでは、残りは全部ハトのえさにしていた。

 

 まずは、少し近づいて、少し駄菓子を投げる。

 駄菓子にハトが群がる。


 次に、少し駄菓子を両手に乗せて、腕を前に掲げて、動かない。

 ハトが駄菓子だけ奪っていく。


 少し駄菓子を両手に載せて、腕を前に掲げて、動かない姿勢を辛抱強く続ける。

 何羽ものハトが腕やら頭に乗ってくる。


 駄菓子をすべてあげ終える。

 しかし持っている風に拳を作って、動かず、棒立ちになる。

 何羽ものハトが腕やら頭に乗ってくる。


 ひどい時には、全身フンまみれになって、きったないと、友人と笑いあったものだ。

 今なら、ご免被る行為なのだが、幼い頃はフンなどものともせず夢中になって、ハトに会いに行っていた。



 

 今も道路でたびたび見かけるハトではあるが、素通りするだけ。

 だった、

 

 が、


 その日はどうしてか、ハトに釘付けになった。


 柔らかく小さい羽根を二、三枚、空に舞わせながら、

 力強く羽ばたいて、雄々しく空へと駆け上がるハトに、

 

 どうしてか、見慣れた光景に、鳥肌が立った。


 なんだかなあ、


 しゃがんで、膝を抱えて、しばらくして片腕だけ解いて、片手だけ、ハトに向けたくなった。

 





(2020.1.24)




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