いちじん
鳥、と言えば、真っ先に思い浮かぶのは、ハトである。
神社に数多くいる、ハト。
野外にいる鳥の中で人懐っこさで頂点に立つと思われる、ハト。
自転車を乗って三十分ほどで辿り着く神社に、幼い頃は友人とよく遊びに行っていた。
目当ては、ハト、である。
甘酒やおせんべいが売っている休憩所も兼ねた売店で、三十円の駄菓子を買って、ちょっと摘まんでは、残りは全部ハトのえさにしていた。
まずは、少し近づいて、少し駄菓子を投げる。
駄菓子にハトが群がる。
次に、少し駄菓子を両手に乗せて、腕を前に掲げて、動かない。
ハトが駄菓子だけ奪っていく。
少し駄菓子を両手に載せて、腕を前に掲げて、動かない姿勢を辛抱強く続ける。
何羽ものハトが腕やら頭に乗ってくる。
駄菓子をすべてあげ終える。
しかし持っている風に拳を作って、動かず、棒立ちになる。
何羽ものハトが腕やら頭に乗ってくる。
ひどい時には、全身フンまみれになって、きったないと、友人と笑いあったものだ。
今なら、ご免被る行為なのだが、幼い頃はフンなどものともせず夢中になって、ハトに会いに行っていた。
今も道路でたびたび見かけるハトではあるが、素通りするだけ。
だった、
が、
その日はどうしてか、ハトに釘付けになった。
柔らかく小さい羽根を二、三枚、空に舞わせながら、
力強く羽ばたいて、雄々しく空へと駆け上がるハトに、
どうしてか、見慣れた光景に、鳥肌が立った。
なんだかなあ、
しゃがんで、膝を抱えて、しばらくして片腕だけ解いて、片手だけ、ハトに向けたくなった。
(2020.1.24)




