第二章 20話
2014/2/26の投稿、2話目です。
休憩が終わり、その後訓練を再開する……と思いきや、訓練はこれで終わりだそうだ。
「もう2人とも感覚共有の使い方は分かっただろうから、後は各自で時間をかけて慣れるだけさ。リョウマ君はここからエリアの演奏を聞いてのんびりしてくれ。親バカと思うかもしれないけど、エリアは楽器の演奏が上手なんだよ」
「演奏? 何故いきなり?」
どういう事だ?
「この前、リムールバードの話はしましたわよね?」
「はい、皆さんがこの街に来た目的ですよね?」
「そうですの。リムールバードは飛ぶのが早いですし、風魔法を使います。だから生きたまま傷つけずに捕獲するのがとても難しくて、滅多に見られませんの。でも、リムールバードは魔獣だからテイムが出来るんですわ!」
なるほど、可能ならテイムもする気なのか。……それで何故楽器が出てくるんだ?
「それと演奏に関係があるんですか?」
「大有りですわ。リムールバードのテイムに演奏は必要不可欠ですもの」
そうなのか? と思っていた俺にセバスさんから補足説明が来た
「リムールバードは体内に魔力を多く持っており、高い知性も持ち合わせています。そのため普通に契約を行おうとしても契約の際に抵抗され、契約が出来ないのです。
しかしリムールバードは大変音に敏感な魔獣でして、美しい鳴き声で仲間との意思疎通と判別をします。その習性を利用し、従魔契約の前に音楽を奏でて気に入られた場合、契約が出来るようになるのです。気に入られると仲間と思われるという説が今のところ最も有力な説であり、現時点でリムールバードをテイムする唯一の方法が演奏なのです」
流石異世界、俺の常識を超えた捕獲方法だな! 演奏で仲間と認めさせるとか……
「そんな方法で契約するんですか、知りませんでした」
「成功率が非常に低いため、眉唾な話だと思っている方もいらっしゃいますが、この方法以外で契約できた方が居ると言う話を聞いたことは御座いませんので1番可能性の高い方法でしょう」
「そういう訳で、エリアも演奏を披露して契約を試みるんだ。今日の午後はその練習さ」
「リョウマさんはそこで聞いていて下さいまし。眠っても聞かなくても構いませんが、帰ってはいけませんわ」
どういう事だ? ちゃんと聞けと言うならともかく、聞かなくてもいいけど帰るなって……
そこでふとセバスさん達を見ると笑って俺を見ていた。
……………………あ、まさか!!
「気づいたようじゃの?」
「リョウマ君が連日働きすぎるから、ちょっとお休みして貰おうと思ったのよ」
「リョウマ君の店が完成間近だった時、僕たちの部屋に来たのを覚えてるかい?それから少し考えていたんだ。リョウマ君は魔獣討伐から店作り、そして店の新人を雇ってその間に冒険者ギルドで依頼も受け、更にここの見回りと防水布作りをしていたと聞いてね。まともに休みを取って無いじゃないか。その上昨日は店に暴漢が来たのだろう? その対処でこれから更に忙しくなる可能性もある。だからその前に、今日の従魔術の訓練を口実にして仕事から離させて貰ったよ」
「リョウマ様の仕事量を教えられる範囲で関係者の方々にお伝えした所、皆様からはリョウマ様が休みを取る事に快く了解を頂いています」
「いつの間にそんな事を……」
全然気づかなかった。
「今日は私達がしっかり見張りますわ。絶対に仕事はさせませんからね」
「こんな休ませ方では気が休まらんかもしれんが、無理にでも休ませんと体を壊す恐れがあると思ったのでな。今後もこの調子で仕事をするようなら、無理にでも儂らの家に連れてゆくぞ」
「ご心配お掛けしました」
「君は無理をしてないかもしれないけど、常人が君の仕事量をこなし続けたら間違いなく体を壊す。無理をしている自覚が無いだけかもしれないから気をつけなさい」
「という訳で、今日リョウマさんは無理矢理にでも休んで頂きます。では、私は演奏を始めますわ」
何時になくエリアが強引だな。……普段から強引か? ……天真爛漫と言うのが正しいだろう。
そう思っている間に、エリアはセバスさんからバイオリンを受け取り、弾き始めた。この世界にもバイオリンがあるんだな。もしかしたら転移者が持ち込んだのかもしれないな。
それからエリアの演奏が始まり、俺はエリアの演奏を聴く。
エリアの演奏は上手かった。ゆったりとした曲調で、リラックス出来る。
そして一曲弾き終わると、俺に感想を聞いてきた
「リョウマさん、私の演奏はどうでしたか?」
「上手でしたよ、本当に」
お世辞抜きでな。俺も前世では貰い物のギターを弾いてたが、そこまで上手くはなかったと思う。楽器が違うから比べられないし、俺にはそれほど音楽の知識がある訳でもないが、聞いていて気持ちの良い演奏だった。
俺の簡単な感想でもエリアは喜んだ。そして今日はそのままエリアの演奏を聴きつつ、割と人懐っこかったルォーグやスライム達を撫でつつ、のんびりした時間が過ぎていった。
また、新しく捕まえた3匹を撫でながら、少しずつ魔力放出してを吸収させていた所、ここで1匹に反応があった。それに驚き声が出る。そしてその声で演奏していたエリアが演奏を止めて俺の方を向く。他の皆さんもだ。
「おっ!? 来たか!」
「何ですの!?」
「リョウマ君、突然どうしたの?」
「何が来たんじゃ?」
「スライムの進化です!」
その言葉に俺が撫でていたスライムに全員の目が集まる。そのスライムはアイアンスライムの時の様にブルブルと震えていたのがピタリと止まり、魔力の放出と吸収を繰り返す。
それと同時に色の変わっていく姿に、皆スライムから目が離せなくなっている。
次第にスライムの体色が茶色くなっていき、進化が終わった。魔獣鑑定してみると
アーススライム
スキル 土魔法Lv2 土属性耐性Lv8 土属性魔法吸収Lv1 ジャンプLv1 消化Lv3 吸収Lv3 分裂Lv1
だった。土魔法を使えるスライムになった! 実験成功だ!!
「リョウマさん、どうなりましたの?」
「アーススライムという、土魔法を使えるスライムに進化しました」
「ほう、これまた珍しいスライムになったのぅ」
「リョウマ君、アーススライムもかなり希少なスライムよ。一体どうやって進化させたの?」
そう聞かれたので俺は方法を教えた。そして方法を聞いたエリアや奥様が試してみるが、出来なかった。
属性を変化させた魔力を放出できなかったのだ。どうしても放出する際に魔法になってしまうそうだ。
どうやら変化させた状態で魔法にせずに魔力を放出するにはかなり精密な魔力の制御能力が必要らしい。俺は魔力操作スキルLv4があったから少し神経を使う程度だったが、奥様達では無理だという結論に至った。
それが悔しかったのか、エリアは演奏の練習をやめて魔法の制御訓練を始めた。
今後魔力操作スキルを習得してからやり直すそうだ。
その間俺は他の2匹にも魔力を与えて進化させる事に成功した。
これでアーススライムが2匹、そしてもう1匹はダークスライムというスライムになった。
ダークスライム
スキル 闇魔法Lv2 闇属性耐性Lv8 闇属性魔法吸収Lv1 ジャンプLv1 消化Lv3 吸収Lv3 分裂Lv1
その後、魔力切れが近くなったので再びスライムを撫でつつのんびりとしていた。
そんな時、何となくクルーバードを飛ばしたらホーンラビットの群れを見つけたので、店の人たちへのお礼に狩って肉を持って行く事にした。
するとラインハルトさんやエリア達も手伝ってくれるらしい。
まず俺が弓で数匹仕留めつつ、スティッキースライムやラインハルトさん達が待機している方に追い込んだら簡単に狩りは終わった。
その後はブラッディースライムに全て血抜きをして貰い、エリアに氷魔法で凍らせて貰って、ラインバッハ様が土魔法で作った箱に結界魔法の防寒結界をかけ、その中に入れてアイテムボックスに保存した。防寒じゃなくて保冷結界に改名しようかな? もう改良して別物だし。
そんな事を考えつつエリア達の下に戻り、クルーバードを鳥籠に戻して契約を解除した。
そのまま連れて行って良いのよ? と奥様に言われたが、丁重にお断りした。確かに便利だが、クルーバードの視界が無い現時点でもそれほど困ってはいない。必要なら自分で捕まえよう。
それからそろそろ帰る時間となったが、俺は魔力を使い過ぎたようで、帰りの馬車で眠ってしまった。その後1度宿について目を覚ましたが、魔力切れのせいか? それとも自分ではそれほど思っていなかったが、疲れが溜まっていたのだろうか? その日は結局そのまま部屋に戻りベッドで寝てしまった。
今日のお誘いはエリアのワガママではなく、公爵家の思いやりでした。
店の方は護衛でガッチリ守られています。店の営業の邪魔にならないようにこっそりと。
そしてとうとう出ましたね、魔法を使うスライム!
やっと出せたと作者はほっとしています。ちなみにこんなに早く進化したのは、単に主人公の魔力が膨大だからです。主人公がたった3匹に2日間魔力切れまで魔力を注ぎ込んだら……ねぇ?
主人公の魔力は全快した状態だと198,000、それが二日分で396,000。それを3匹で分けて132,000。竜馬が膨大な魔力を与えたせいでこんなに早く進化しました。




