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第二章 15話

2014/2/23の投稿です


 翌日


 俺は朝一番で店に顔を出し、店に問題がない事を確認してから廃坑に行く。


 廃坑に来て今日も防水布を作り始めたはいいが、また手持ち無沙汰になった。昨日何をするか考えてるうちに眠ってしまったからな……何も思い浮かばない。前世ならラノベとかゲームして時間を潰せたんだが……


 貰った布はもう全部処理した、昨日30反やってしまったから、今日は残りの20反。昨日より早く終わってしまった……どうするかな……スライムの訓練もしたし……




 そこで今日はスカベンジャースライムを集めてキングスカベンジャースライムにし、1対1で戦ってみた。


 今のキングスカベンジャースライムのスキルはこれだ

 スキル 病気耐性Lv7 毒耐性Lv7 悪食Lv8 清潔化Lv8 消臭Lv8 消臭液Lv6 悪臭放出Lv8 養分還元Lv7 物理攻撃耐性Lv5 肥大化Lv5 縮小化Lv6 ジャンプLv3 暴飲暴食Lv4 体術Lv2


 スカベンジャースライムにも物理攻撃耐性がついた影響か、キングスカベンジャースライムの物理攻撃耐性レベルが1上がっていた。体術もスカベンジャーは1なのにキングスカベンジャーは2だ。


 スカベンジャー1匹と比べたら全体的にスキルレベルが上がっているし、確証は無いが合体の際に1匹1匹のスライムの経験か何かが加わり、レベルが上がるのだろうか?



 ちなみにキングスカベンジャーとは格闘技で戦ったが、物理攻撃耐性レベル5の効果は高く、かなり攻撃が効き辛かった。体全体に弾力が出て、体で攻撃とその衝撃を受け流すのが上手くなっていたんだ。まだまだ技術は未熟だが、防御に関してはかなり優秀だ。


 力だけは割と本気を出してみたけれど、耐え切る事が出来た。俺の力のステータスはB、一応一流冒険者の力だ。それに耐え切れるなら中々の耐久力だろう。


 難点は攻撃力の無さだ。肥大化で大きくなれば質量も増えて押さえ込む事には向いているが、スライムの筋力? はそれほどでもない。はっきり言って、打撃に威力が無い。


 こればかりは仕方が無いので体を触手状に伸ばさせ、それを鞭のように使う打撃や、それを相手の攻撃してくる動きに合わせ腕に絡ませて肥大化で相手の体に密着し、相手の勢いと体の弾力を利用して投げる背負投げもどき等、幾つかの技を教えた。


 キングスカベンジャースライムには相手の攻撃を受け流して身を守り、相手の力を利用した投げ技で戦い、相手が倒れたら肥大化で押さえ込むという戦法を基本にして貰おう。




 これでそれなりに時間は使ったが、布がまだ乾ききらない。なんかやってればいいんだが、ハマると本気で時間を忘れるからな……スライムと散歩でもするか。


 そう思ってスライムを集めて外に出ようとしたら、いきなり契約したスライムの1匹の様子がおかしくなった。従魔契約の効果である程度の状態は掴めるが、何が起こっているのかは分からない。


 何だ?


 急いで問題のスライムが居る場所に駆け寄ると、様子がおかしかったのはメタルスライムへの進化実験のために捕まえたスライムだった! 体がブルブルと動き続けているが、体調が悪い訳では無さそうだ。となると……


「まさか、進化か!?」


 進化出来るようになるのはまだ先だと思っていたが、それしか思い浮かばない。


 予想より大分早く、俺はそう叫んでしまった。その瞬間スライムの動きが止まり、微量だがスライムから魔力を感じた。スライムから魔力が出て再び吸収されていく。それを数十度繰り返しながら、次第に色が変わっていき、最終的に銀白色のスライムになった。


 無事に進化したのか? 状態は普通だ。何の異変もない。しかし体の色がメタルスライムの色じゃない。メタルスライムは鈍色だが、このスライムは光沢のある銀色だ。俺は急いで魔獣鑑定を使い、情報を見る。すると……


 アイアンスライム

 スキル 硬化Lv3 物理攻撃耐性Lv2 ジャンプLv1 消化Lv3 吸収Lv3 分裂Lv2


 出た情報ではアイアンスライムという名前だった。スキルはメタルスライムと同じようだが、硬化のレベルが1つ高い。アイアン……鉄か……鉄を食べさせてたからこうなったんだろうが……


「メタルスライムも鉄を食べてたよな?」


 同じ物を食べてるのに、なんで違いが出るんだ?


「アイアンが鉄、で、メタルは金属……!!」


 俺はハッとした、そしてすぐさまメタルスライムの餌用の石材を取り出し、鑑定する。


 石材(赤土)

 鉱山で捨てられていた土砂を土魔法で固めた物。含有金属:酸化鉄、酸化アルミニウム


「やっぱりか。忘れていたな……赤土で酸化鉄は覚えてたけど、酸化アルミニウムが含まれている土もあったんだ……」


 昔道路工事のバイトの現場で後輩が言っていた。確か良い所のお坊ちゃんで、なんで道路工事のバイトなんかしていたのか分からない奴だった。あいつの親父さんが社会勉強のためにって無理矢理自分の会社のバイトをさせたんだったか?


 多分そうだ。あいつは無理やりバイトさせられて、サボりたいからって仕事の休憩時間が終わる直前に会話や雑学を披露して時間稼ぎをしていた奴だった。俺は仕事の邪魔だと思ってあいつの話は大半を聞き流してたが……まさかこんな所であいつの話が役に立つとは……


「メタルスライムは鉄のみではなく、アルミニウムも食べていた。もしかしたら他の金属も入ってるかもしれないが……」


 俺はすぐに錬金術でレンガから鉄とアルミを抽出、アイアンスライムとメタルスライムの2匹を呼んで分けてやった。


 するとアイアンスライムは鉄しか食べなかったが、メタルスライムは鉄もアルミも食べた。


 俺はメタルスライムを呼び寄せて撫でてみる。


「お前、金属に関しては雑食? だったんだな……アイアンスライムは鉄だろうけど、お前の体どうなってんだ? 鉄とアルミの合金だったりするのか? よく知らないが」


 メタルスライムに問いかけてみるも、当然返事は無かった。


「まぁ、なんにせよ進化条件は分かったか。そういや俺、初めてスライムの進化を見たな……」


 実はスライムの進化を見たのは今日が初めてだったりする。今までは何故か俺が寝ている間に進化してたんだ。餌をしっかり与えていれば大体半年以内に進化するが、その間いつ進化するかが分からないから、徹夜で観察も出来なかった。


 しかし、進化の際に魔力を吐き出したり吸い込んだりしてたな……これは……いかん、今考えるとまた帰りが遅くなりそうだ。何か別の事を……



「そういえば、鑑定についても少し分かったかな?」


 どうやら無属性魔法の『鑑定』は、どういう仕組みかはわからないが、ネットの検索のような情報の出方をするようだ。漠然とこれは何か? と思って使えば名前しか出ないし、ただ詳細な情報が欲しいと思っても簡単な情報しか出てこない。


 しかし、この前の汲み取り槽掃除の時は天井を鑑定したら殺菌という単語が出た。汚物を鑑定したら病原菌なんて言葉が出た。


 この世界の人にはそんな病気の知識は無い。となると使用者の知識を元に、使用者の知識量の差で出てくる情報が変わるのか?


 何度か試してみると、細かく調べるには細かく知りたい内容を、自分の知識で分かるように思い浮かべるとより詳しく出てくる事が分かった。


 例えばこうだ。この石材の重さ、そしてその中の鉄とアルミニウムの含有率及び量は?


 石材503.9g(赤土)

 鉱山で捨てられていた土砂を土魔法で固めた物。

 含有金属: 酸化鉄4.2% 21.1638g,酸化アルミニウム5.1% 25.6989g


 ここまで詳しく出てきた。これもイメージがより詳しくなったからだろう。これは使える! …………か?


 詳しい情報を得られるならその方が良いが、今の所は特に必要でもないな……今度セルジュさんの所に持っていく鉄のインゴットの重さをグラム単位で揃えるか?


 それともセルジュさんにこの世界で出回ってる鉄のインゴットで質が良い物を取り寄せて貰って、それを鑑定して俺が作るインゴットの手本にするか? 俺が作るインゴットが目立たなくなるならやる価値はあるが、今の所鑑定はあまり使う事が無さそうだな……今まででも十分だったし。


 それから俺は防水布の乾燥を待つ間、1つ500g純度80%の鉄のインゴットとアルミのインゴットを作り続けた。


 そして防水布が乾いたらさっさと回収し、街に戻りセルジュさんの店に防水布を納品した。


 その後、用意して貰った布300反を受け取って宿に戻ったが、半端な時間だ……エリア達も宿に居ないみたいだし。


 そこで店に向かう事にした。今日は依頼を受けるにはもう遅いし、店の様子を見てみよう。






 店に行くと相変わらずの人。というか、またお客が増えてる?


 従業員用の通用口から入って、休憩室に……誰も居ない。まさか全員総出でやらないと間に合わないのか?


 そう思って店舗に続く扉を開けると、出稼ぎ3人娘の1人フィーナさんが居た。


「店長、お疲れ様です」

「お疲れ様です。誰も休憩室にいなかったんで、忙しいのかと思って」

「暇じゃないですけど、それほど忙しい訳でも無いですよ。何と言っても人数が居ますから。最近お客さんが多くなる時間帯が判って来たんで、それに合わせて皆で対応してるんです」


 あら、俺が店ほっぽってる間に皆さん完全に仕事に慣れてらっしゃる。この分だと心配と俺は要らなかったな。


 そう思ってから、ふと気づく。


「あ……」

「どうしたんですか?」

「クリーナースライム、分裂の準備が整ってますね」

「え?」


 クリーナースライムにとってこの洗濯方法は食事でもある訳で、連日大量の食事をしていたクリーナースライムは分裂が出来る状態になっていた。


「今洗濯してるスライムが増えるんです。その準備が整ってますから、ちょっと増やします。もっと洗濯の効率が上がりますよ」

「本当ですか! 凄いです!」

「凄いのはスライムですよ。こっちは気にしないで、仕事に」

「はい!」


 そう言って手近な洗濯済み洗濯物を持って駆けていくフィーナさん。


 さて、俺もやるか!


 それからクリーナースライムの分裂と契約を行い、クリーナースライムの数が計54匹になった。クリーナースライムはなかなか分裂しないのに、1度に2回分裂した個体が10匹も居た。


 やっぱりこの仕事で毎日大量に食事しているから増えるのが早いな。それにクリーナースライムを分裂させたら、数が増えた分作業が格段に早くなった。作業効率は倍以上だろう。この効率を無駄にする手はない。


 俺も居る事だし、接客出来る人は接客に回って貰った。接客担当はカルムさん、カルラさん、フェイさん、リーリンさん、マリアさん、そしてフィーナさんだ。そして俺とジェーンさんが洗濯物運びを行なった。


 クリーナースライムの増加と窓口の増加で処理速度が向上したため、どんどんとお客を捌けていく。


 そうしているうちにピークの時間帯は乗り越えたようで、従業員の皆さんは交代で休憩をとり。俺は軽く店の周りの手入れをして過ごした。


 その後、今日も無事閉店する事が出来た。


今回はスライム関係の話が多かったですね。スライムの話をようやく書けました!


竜馬はキングスカベンジャーの防御力を中々と評価しましたが、そんなもんじゃないです。今の時点でかなり手強いですよ。竜馬の基準が少しずれています。


それに、スライムがアイアンスライムに進化しましたね!メタルスライムは金属を何でも好き嫌い無く食べるスライムでした。



あと、赤土に含まれていた酸化アルミニウムですが、ルビーやサファイアの主成分だったりします。


錬金術の結合で作った酸化アルミニウムの結晶コランダムに、混合でクロムを不純物として混ぜると赤いルビーに、鉄とチタンを混ぜると青色のサファイアになります。


ですが、本編ではやらないと思います。もうお金は十分ですし、宝石大量生産で稼いでもつまらないと思うので。


やるとしても1度、何かで大金が必要になった時でしょうかね?全く使う機会が思い浮かんでいないので、このままお倉入りになる設定かもしれません。


今後もよろしくお願いします。



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