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3柱の神は自らの世界に帰ってから、2人の老人の魂を呼び出した。
「……んだぁ? ここは?」
「どこなの……!! ティガル!? ティガルなの!?」
「メーリアか!? お前死んだはずじゃ!?」
「気づいたかの?」
その声で老人2人は後ろに居た3柱の神に気づいて振り向いた。
「誰だてめぇら!」
「待ってティガル!……貴方方は、神様では?」
「よくわかったの? そのとおりじゃよ。2人は儂らがここに連れてきた」
「私は歳で、夫に看取られて死んだはずですもの。ここに居るということは、ティガルも?」
「ああ……よりによってあのクソみてぇな村長が最後に見た面だよ。で、あんたら何で俺たちをここに連れてきた?」
「僕らはね、2人の名前を貸して欲しいんだ」
それから3柱の神は2人に世界の魔力の枯渇、魔力を異世界から補充していたこと、その際にやってくる異世界人の事などの事情を話した。
「なるほど……つまり今回異世界から我々の世界に来た人が強いスキルを持っているから、怪しまれないように我々の弟子であった事にするのを許して欲しいと言う事ですね?」
「そうじゃ、元の世界で高い能力を持った武術家じゃったが、魔法にも才能があってのぅ……」
「そこに転移者に与えられる特典まで加えたら、天才の域を超えてしまうのよ」
「武術関連には全く手を加えてないけど、魔法の方は幅広い種類の魔法を使えるようになってる。これからの訓練次第では急成長するしね。おまけに武術と魔法を両立させるとなると普通じゃまず無理なレベルになる。そこで2人が拾った子供として、生活の中で技術を教え込んだ事にしたいんだ。それに……」
「これが彼のステータスじゃ」
目の前に表示されたステータスを見て2人が驚愕する。
「おい、何だよこいつ……」
「耐性スキルがこんなに……」
「うむ、耐性スキルのレベルが特に異常での」
「どうやら、向こうの世界の神が意図的に彼に不幸を与えて、彼が得るはずだった幸せを掠め取ったみたいなの。おかげでかなり厳しい生活を続けていたわ。この耐性系スキルの数々は私達が与えた物ではないから、消せもしなくてね。向こうに行ったらどうしてここまで耐性系スキルを持っているのか、聞かれないとも限らないわ」
「だから、私達が居た村ですか」
「確かにあの村の連中は周りが危険なのを良い事に、子供や戦えねぇ奴を当たり前の様に虐げる屑ばっかりだったからな。だが、バレねぇのか? 誰かがうちの村人に聞けばそんなガキがいたかどうかなんて分かるんじゃねぇか?」
「その心配はない。あの村はお主らが死んだ後数ヶ月で滅びた。もうあの村には誰もおらんわぃ」
「何だと!?」
「どういう事でしょうか?」
「あの村の者はお主らが作った武器と薬を売る事で大きな利益を得ていた、お主らが死んだ後は利益が大幅に減り、最終的に立ち行かなくなったんじゃよ」
「2人が死んだ後、村長が今までみたいな収入が無くなるからって大慌て。流れ着いた行くあての無い人や村で生まれて身寄りが無くなった子供が奴隷商人に売られていって、次第に非合法の奴隷商人に依頼して村人まで売り始めて、それがバレて大騒ぎ。村長は村人に殺されて、村人は村長が溜め込んだ金を奪って街に逃げようとして仲間割れで大勢死んで、生き残りは奴隷商人に捕まって売られていったから」
「ッチ! どこまでも救えねぇ連中だな」
「村民内の身分差と下の身分の者への搾取は、150年続いたあの村の因習じゃからな。よく150年ももった方じゃろ」
「確かに……それなら問題はなさそうですね。私は構いませんよ」
「俺もいいぜ。どうせ俺らは死んだんだ。そっから先は関わりのねぇこった。生前は武神なんて呼ばれてたが、正直どうでもいい称号だったからな」
「もし出来れば、その子に私が完成させられなかった研究を引き継いで欲しいですが……」
「分かった、彼に伝えておこう。彼がどうするかはわからんが、それでもいいかの?」
「ええ、勿論です。どうするかはその子しだい。これは私の我侭ですもの」
「だったら俺が隠した武器やメーリアの本のありかをそいつに教えてやってくれや。俺が死ぬ前、村の連中に渡したくねぇモンを隠した場所、あんたらならわかるだろ? メーリアの研究を引き継ぐなら、絶対に必要になる。俺の武器も、誰かが使ってこそだからな」
「確かに、聞き届けたよ。2人の協力に感謝するよ」
「お礼に2人は来世も巡り会えるよう、手配するわ」
「まぁ、ありがとうございます」
「なんでぇ、死んだあとに名前貸すだけでそんな事してくれんのか。それならありがたく受け取っとくぜ、異世界人のガキにも感謝だな!」
その後2人は3柱の神に見送られ、次の命として生まれ直す準備に入った。そして3柱の神は最終的にできた設定を書き記した手紙を竜馬に送り、しばらく魔力の補充された世界を点検する作業をして、彼らにとっていつもどおりの時間を過ごし始めた。




