第一章 20話
本日の投稿です。今日も昨日と同じく、投稿はこの1話のみです
竜馬は公爵家の4人と共に昼食をとっていた。
初めは普通に午前の感想やエリアの戦い方について話していたが、その話題が終わるとエリアがこんな事を言い出した。
「そう言えばリョウマさん、先程何を考えてましたの?」
「先程? 何の話ですか?」
「先程、景色を見て勿体無いと仰ってたじゃありませんか」
その言葉を聞いて竜馬の動きが固まる。
「い、いや、特に何も……」
そして出た言葉は誤魔化そうとしているのが明らかだった。竜馬は祖父母という言い訳が使えない突然の言い訳は下手くそだった。当然、その点は皆にバレる。
「怪しいですわ、とっても」
「嘘が下手じゃのぅ」
「何か、言いにくいことなのかい?」
「言いたい事があったら、言っていいのよ?」
竜馬は誤魔化しきれなかったと理解し、観念した。
「僕がギムルの街に着く前の馬車で話した事、覚えてますか? その……塩の話です」
「ああ……なるほどね。大丈夫だよ、ここに居るのは僕たちとセバスとアローネとリリアンだけだ。アローネとリリアンも口は硬いし、他の者は離れた場所で食事をしているから」
「そうですか。それでは話しますが、僕が錬金術を使えるのは知ってますよね?」
「うん、聞いたね」
ラインハルトがそう答えるが、竜馬の意識はアローネとリリアンに向いていた。
錬金術という言葉にアローネとリリアンは多少驚くが、嫌悪感を抱いているようには見えず、竜馬はホッとした。それから竜馬は話を始める。
「で、ですね。この鉱山、廃鉱になるんですよね?」
「そうじゃ。既に手続きも終わっているぞぃ」
「それがどうかしたの?」
「鉄、まだ採れると思います。錬金術を使えば」
その言葉に今度は竜馬以外の動きが固まる。
「それは、本当なのかい?」
「はい。ガナの森の岩塩から毒を抜いた話をしましたよね?」
「聞いた」
「同じように、捨てられていた土から鉄を取り出すんです。あの赤い土の色は鉄錆の色なんです。例えば剣を水につけて、手入れをせずに放置したら錆びますよね?」
「当たり前だね」
「同じように土に含まれていた鉄が錆びて、あの色になってるんです。ですからあの中に鉄が入っている事は間違いないと思います。あの土を1回か2回錬金術の分離にかければ、鉄のみを抽出出来ると思います。ただ、もう廃鉱になった鉱山から大量に鉄が出たら大騒ぎになるでしょう? 普通に掘ったんじゃありませんし、錬金術だと問題があるのでは……と思って、勿体無いと思ってました」
「確かにそうだが…………リョウマ君、出来そうならやってみてくれないか? 騒ぎにせずに、合法的に売る方法ならある」
「良いですよ」
竜馬は快く了承した。そして食後、ほかの護衛が再び魔物討伐に向かってから、竜馬たちは行動を始めた。竜馬が錬金術に必要な魔法陣、円の中に四角を書いただけの図形を描き、一抱えもある土魔法で作った石の器に捨てられた赤土を入れて、魔法陣の上に乗せる。
「では、始めます。危ないので絶対に陣の上には乗らないで下さい」
リョウマがそう言って魔力を陣に通すと魔法陣が輝き出し、光る陣の中から外へと器と土が押し出されて行く。そして光が消えたとき、陣の中には銀色の砂状の鉄が残った。
竜馬はそれを確認したあと更に、手早く描いた丸に五芒星の魔法陣に銀色の砂状の鉄を乗せて陣に魔力を流した。
この魔法陣は錬金術の『結合』に使う魔法陣だ。術者がイメージでき、かつ元々の物質と結合後の物質について知っていなければならないという制限はつくが、これにより術者は陣の上の物質を結合させひと塊にしたり、複数の金属から合金を作ったりできる。
竜馬はこれで抽出した鉄分をひとつのインゴットに変えた。それを確認して鑑定で調べるとこうなった。
鉄のインゴット
混じり気のない純度100%の鉄の塊
これで間違いなく鉄であると分かったので、竜馬はラインハルトに成功したと伝えてインゴットを手渡し鑑定させた。
「本当に、鉄が出来た………………すまない、リョウマ君」
ラインハルトは鉄が出来た事に驚き、呆然とし、意識を取り戻すとすぐに竜馬に頭を下げた。突然のその行動に竜馬は戸惑う。
「え!? 何でいきなり謝るんです!? 頭上げてください!」
その言葉にラインハルトは頭を上げるものの、申し訳無さそうな顔をして口を開く。
「その、な……金を生み出すなんて事を言う詐欺師も多いからね、君が詐欺を働くとは思わなかったが、鉄ができるとも思えなかった。君を信じてやれなかった、すまない」
その事がようやく理解できた竜馬は、すぐさま気にするなと伝えるが、中々ラインハルトは納得しない。最終的にラインバッハやエリーゼが取りなすまで謝り続け、許し続け、平行線の会話が続いた。そして話が終わったとき、セバスが口を開いた
「ラインハルト様、この鉄なのですが……」
「そうだった! この鉄の販売の用意を……」
「いえ、残念ながらこれは売れませんな」
「なに? 何故ダメなんだ?」
「これは確かに本物の鉄ですし、リョウマ様の錬金術は素晴らしいのですが、この鉄は純度が高すぎるのです」
そう言われてラインハルトとエリーゼとラインバッハが改めてインゴットを鑑定し、それぞれ残念そうに溜息を吐く。そしてその3人の表情に、何がダメだったのかと竜馬が聞いた。
この世界で販売されている鉄は、最高純度の物でも1割程の不純物が混ざり、粗悪な物になると4割以上も不純物が混ざっている物もある。そこに純粋な鉄のインゴットが現れれば大変な問題が起こると予想された。売れない事はないが、このインゴットを作った鉄の製法を求めて多くの者に狙われる事が明白なのだ。
そう説明されて、自分がやらかした事に竜馬は気づく。が、それと同時に解決法も思いついた。
竜馬はすぐに丸に六芒星の魔法陣を描き、その上に先ほどのインゴットと鉄を抽出した際に出た土を陣の上に乗せ、陣に魔力を通す。
六芒星の陣は『混合』のための陣である。これを使うと複数の種類の物質を偏り無く混ぜられるのだ。竜馬はこの陣により、インゴットの中に不純物を混ぜ込んだ。するとインゴットの色が黒に変わる。そして鑑定してみると……
鉄のインゴット
不純物が10%ほど混ざった鉄の塊
となり、これをラインハルト達に『鑑定』させると再び驚かれるが、これなら売れると大喜びだった。
その後ラインハルトはセバスと鉄の売り先の検討に入ったため、午後の魔獣退治は竜馬、エリア、エリーゼ、ラインバッハの4人で行う事になった。
「まったくあやつは……儂の作った街をより良くしようとしてくれるのは嬉しいが、ああなると暫く使い物にならんわぃ」
「お父様ったら……」
「娘とリョウマ君をほったらかしちゃうのは困るわねぇ。そう思わない?」
「僕も原因の一端ですからなんとも……それにラインハルトさんは仕事熱心なだけですから、怠け者より良いじゃないですか」
竜馬は自分も何かに集中すると他の事が見えなくなるため、ラインハルトを責める事は出来なかった。
「それはそうだけど……あ、ついたわ、ここよ」
竜馬とエリアは2人に案内されて大きめの坑道の入口についた。すると
「さて、ここからは2人が主に行動を決めて頂戴。私とお義父さんはあなた達に付いて行くわ。危なくなったら助けるけど、それ以外の手助けは無しよ」
「これはエリアに経験を積ませるための物じゃし、リョウマ君は既に経験豊富じゃからの、悪いがリョウマ君も口出しはエリアに相談を受けた時だけにしてくれるかの?」
といきなりエリアは課題を出された、しかし実戦は初めてでも今まで彼らの訓練を受けてきたエリアは。
「分かりました、頑張りますわ」
と素直に従っていた。いきなり2人に課題を出されるのは慣れているのだ。そしていよいよ坑道へ入ったが。
「暗くて、よく見えませんわね」
夜闇や薄暗い森での狩りをしていた竜馬と違い、エリアはあまり前がよく見えていない。
「リョウマさん、夜などの狩りはどうしてましたの?」
「長くやってると、だんだん見えるようになりますけど……こちらが近づいてるのがバレても良いなら光魔法のライトを何回か使えば問題無いです。バレないように行動するなら無魔法の探査を使うといいです。魔力を感知されて気付かれる可能性もありますが、ライトよりはバレにくいです」
「私、探査はうまく使えませんの。リョウマさん、使えますの?」
「使えます」
「どうやってますの? 私は意識を広げる感じだと習ったんですが、良く分からなくて」
そう聞かれると竜馬は少し考えて、土魔法で石の器を作り、水魔法で水を生み出して器に入れる。
「これを見て下さい」
「これがどうしたんですの?」
竜馬は器をエリアに見せ、その中心に足元の石を落とした。すると水に波紋が浮かぶ。
「中心の石が自分で、波が魔力の流れ。自分を中心に魔力を波にして知りたい範囲に広げるように、そしてそこに魔物がいたら」
竜馬は器にいくつかの小石を入れてから水魔法で波をしずめ、もう一度中心に石を落とす。すると水面に波紋は生まれるが、小石で波が阻まれる所が見える。
「こういうふうに波が魔物にぶつかって途切れる。それが魔獣や人が探査に引っかかった時の反応として」
「なるほど、わかり易いですわ、えっと……『探査』!」
エリアが早速探査の魔法を発動した。その瞬間膨大な魔力がエリアを中心に周囲に撒き散らされる。
「少し先に沢山何かが居ますわ!」
「成功したみたいですね。でも、魔力を込めすぎです。無駄が多いですし、魔法使いが居たらまず間違いなく気付かれますよ」
「そうですか? 練習が必要ですわね」
「探査は前衛と兼ねて僕が担当します。エリアは魔法に集中した方がいい」
「わかりました。お願いしますね、リョウマさん」
竜馬は頷いて探査を発動させる。するとエリアの言った通り、進行方向には大量の魔物が居るようだ。
「この先、道幅が広がって大きな空洞になってます。そこの天井をびっしりと埋め尽くすように魔物の反応があります。天井に居るようなので、ケイブバットでしょうか?」
「天井に居るならケイブバットじゃろうな」
「でも、天井を埋め尽くす程となると、エリアには厳しいかしら?」
「的が小さい上に飛ぶのが速いからのぅ。1匹2匹なら良い練習になるが……」
「なら、一つ実験をして良いですか?」
「「「実験?」」」
「はい。上手くいけばケイブバットを一網打尽に出来るかもしれません」
そして竜馬はケイブバットの生態を確認しつつ説明をする。
その結果、ケイブバットの生態は地球のコウモリとなんら変わらない事が分かった。そこで竜馬が提案したのが音だ。魔法で大きな音をケイブバットが居る場所に叩き込み、気絶させようと考えたのだ。
竜馬は森での生活中に音に関する魔法を幾つか編み出していた。
獲物に忍び寄る際に周囲の音を消す『サイレント』、逆に鳴らした音や声を大きくする『ビッグボイス』、遠くに音を届ける『ウィスパー』、『ビックボイス』の訓練中に失敗して鼓膜が破れそうになるほどの爆音を生み出してしまった『スタンサウンド』、そして『スタンサウンド』と『ウィスパー』の組み合わせで編み出された遠隔非殺傷制圧魔法『サウンドボム』だ。
『サウンドボム』は非常に強力で、大きな音を立ててしまうという欠点はあるが、これを森に居たブラックベアーの頭めがけて放った所一撃で熊の鼓膜を破り気絶させた魔法だ。竜馬はこれを叩き込めばコウモリにも効果はあるだろうと踏んだのだ。
問題は大きな音を出して坑道が崩れないか、周囲に他の人がいないか、ケイブバットを仕留められなかった場合の3つだ。
竜馬がそこの所をラインバッハに聞いてみると、この坑道は土魔法で固められているので崩落の心配はほぼ無いという答えが帰ってきた。周囲に人が居ないかどうかは探査の魔法で確認できる。ケイブバットを仕留められなかった時の対策は、竜馬がスライムによって行うことで解決した。
竜馬はディメンションホームからビッグスティッキースライムを出し、肥大化で坑道を塞がせ、更に網の目になるよう指示を出す。スライムはその通りに指示に従い、進行方向に粘着性の網が張られた状態になった。そして竜馬は結界魔法でスライムの網の先から最後尾にいるエリーゼを包み込むように、外部の音を内部に届かせない遮音結界を張る。
「探査………………よし、誰もいません。準備が整いました」
「いつでも良いぞ」
「では、『サウンドボム』」
その瞬間、結界の外では凄まじい爆音が坑道内に鳴り響いた。
坑道の天井に居たケイブバットの殆どは驚き逃げる事も出来ないまま殆どが気絶していきかろうじて意識があったものも飛ぶ事が出来たのはほんの10匹足らずだった。そしてそんなケイブバットのうち何匹かはフラフラと飛んで壁にぶつかって落ちる。竜馬達のいる道に入ってきたケイブバットも居たが、それはスティッキースライムの網に絡め取られて動けなくなった。
「どうやら成功ですね、行きましょう」
4人が結界とスライムの網を解除しケイブバットのいる場所に向かうと、そこには地に落ちた大量のケイブバットが坑道の地面を埋め尽くしていた。
「ほぅ、これはまた凄いのぅ」
「ケイブバットは特に危険じゃないけど、倒しにくくて面倒な魔物なのよ。それをこんなに簡単に仕留める子は初めて見たわ」
「凄いですわ、リョウマさん!」
「実験が成功してよかったです。あ、これスライムに食べさせても良いですか?」
「リョウマ君が仕留めた魔物じゃ、好きにするといい」
「ケイブバットには特に売れるような部位もないしね」
そう言われて竜馬はビッグスティッキースライムに分離するよう指示を出し、364匹のスティッキースライムに全てのケイブバットを食べさせた。そして竜馬はそれによりスティッキースライムが分裂出来る状態になった事を確認したため、宿に帰ったらすぐに分裂させることを決めた。
その後は竜馬とスライムがサポートをしつつ、エリアが魔法で坑道に居るスモールラットを狩る作業が1時間程続いた。
それを終えて4人は坑道から出る。4人は少し休んで次の坑道に向かおうとしたが、そこにラインハルトがやって来た。そして
「リョウマ君、売る鉄のサンプルとしてもう少し鉄のインゴットを作ってくれないか?」
と言ったので、竜馬は3人と別れインゴット作りをする事になった。
インゴット作りはすぐに終わったのだが、3人は既に廃坑の中。手持ち無沙汰になった竜馬は一人で何処かの坑道に入るかとも考えたが、スティッキースライムの分裂と契約の作業を始めた。
しかしそれも1時間程で終わってしまう。そうなると本格的に何もする事がなく、竜馬はそれから全てのスライムをディメンションホームから出し、訓練をして過ごしていた。
竜馬は土魔法で作った石の棒や素手でスライムに殴りかかり、スライムはそれを避けるか防御する。
竜馬は森に居た時から時々こうしてスライムを鍛えている。スライムは弱い魔物だが、スライムの半液体の柔らかい体と体内の核を傷付けられなければ死なないという性質は非常に優れた特徴だと考えていたのだ。
スライムは体内なら核を何処にでも移動させられるので、竜馬に蹴られる時は核を蹴られる面とは反対側に移動させ核を守り、半液体の体で衝撃を逃がす。蹴り飛ばされた場合は着地の時にも同じようにして衝撃を逃がす事でダメージを無くす事が出来る。
テイムした当初は無理だったが、長く共に過ごすうちに器用な動きが出来るようになったスライムを見て、竜馬はこの訓練を始めた。
格闘技の要領で剣を振り下ろしてくる相手の懐に潜って切先を躱し、剣を振り下ろされた事で近づいた相手の剣を持つ手に絡み付く技。半液体の体を活かし、相手の武器による攻撃を受け流す技など、回避や防御を中心に考えて教えている。
更に攻撃方法も普通のスライムは体当たり位しか出来ないのだが、竜馬のスライムは伸ばして触手のようにした体を鞭のように使ったり、武器による攻撃を捌いて反撃する手のように使える個体も居る。今では伸ばした体で槍や棒術もどきを使うスライムまで出てきている始末だ。
余談だが、訓練をしている竜馬とスライム達を見たリリアンが、明らかにスライムのする動きでない動きを目撃して、自分の目を疑っていたのに竜馬は気づいていなかった。
リリアンはこの後セバスに『スライムは格闘技が出来るものなのですか?』と聞いて体調と頭を気遣われる事になる。竜馬のスライムの話だと言って誤解は解けたが、スライムが格闘技を使うという事は常識的に考えてありえない事なので信じられず、セバスに『リョウマ様のスライムはとても器用な動きをされますから、何かがそのように見えたのでしょう』と言われて納得し、忘れる事にした。
閑話休題
一通りスライムの訓練を終えて休んでいる竜馬の所に、エリア達3人がやって来た。
「リョウマさん!」
「エリア、訓練は終わったのか?」
「ええ、今日の訓練は終わりですわ。それよりリョウマさんにプレゼントがあるんですの」
「プレゼント?」
「ふふふ……リョウマ君なら気に入るんじゃないかしら?」
エリアとエリーゼがそう言うと、ラインバッハが石でできた箱を持って来た。土魔法で作られた箱らしい。
「中身は魔獣じゃ、弱い魔獣じゃが、開ける時は気をつけるんじゃぞ」
魔獣と聞いて、竜馬は用心しながら蓋を開ける。次の瞬間、竜馬は中に入っていた魔獣に目を奪われる。
「スライム?」
中に入っていたのは鈍色のスライムだった、明らかに普通のスライムではないが、竜馬は今まで見た事のないスライムだった。
「メタルスライムというスライムの上位種の1つよ。偶然見つけたから捕まえてきたの」
「ありがとうございます! 嬉しいです! 新しいスライムがまた1種類……」
竜馬は3人に礼を言い、スライムの観察を始めてしまう。その喜びように3人は喜んで貰えて良かったと思うが、そのまま観察を始めてしまった竜馬に少々苦笑いする。
「スライムとはいえ魔獣じゃから、先に契約をしてしまった方が良いぞぃ」
ラインバッハのその言葉で思い出したように竜馬は従魔契約をした。その後は帰るまで錬金術で赤土から鉄を取り出し、メタルスライムに与えて、鉄を食べるのかを観察していた。
その結果、メタルスライムは鉄の塊は食べにくいようで時間をかける必要はあるが、錬金術でインゴットにする前の砂状の鉄はあっという間に食べる。
竜馬はおそらく土を食べ、その中の鉄でメタルスライムに進化したのだろうとアタリをつけた。
そしてメタルスライムに食べさせた物と同じ砂状の鉄を餌に、1匹のスライムをおびき寄せて捕獲・契約した。このスライムに鉄を与え続け、メタルスライムの進化条件が鉄であるかどうかを調べるためだ。このスライムがメタルスライムに進化すれば、仮説は実証される。
その後そろそろ帰る時間だと言われた竜馬はラインハルトに許可をとり、メタルスライムの餌用に赤土を大量に採取してディメンションホームの一角に確保した。
赤土をクリエイト・ブロックでレンガ状にしてスライムで運搬したのである。これで大量の赤土を確保したはいいが、竜馬は久しぶりに魔力切れが近い時に起こる気だるさを感じていた。
そんな状態で馬車に乗り込み街に向かっていると、竜馬はラインハルトからこう言われた。
「疲れている所悪いけど、ちょっと付き合ってくれないかな? 今日の鉄やスライムの糸、それから君が開発した防水布を売るのに協力してくれる人の所に行きたいんだ。信用できる相手だから、リョウマ君の事も紹介しておこうと思ってね」
竜馬は少々疲れているだけなので、特に問題はないと思い了承した。
それから1時間程で馬車は街に到着し、1件の大きな商店の前に止まった。
「これはこれは、公爵家の方々揃い踏みでようこそいらっしゃいました」
竜馬達は店に入るとすぐに奥の大きな部屋へと通され、すぐに肥満とは言えないもののなかなか恰幅のいい体型の男がやって来た。
「久しいな、セルジュ」
「はい。公爵家の方々には良くして頂いていますが、なかなかこうして顔を合わせる機会は取れませんからな。皆様お元気そうで何よりでございます。
そちらの方は初対面ですな。私、セルジュ・モーガンと申します、このモーガン商会の会頭をさせて頂いております」
「リョウマ・タケバヤシと申します。縁あってジャミール家の方々のお世話になっております。よろしくお願い致します」
竜馬の言葉使いにセルジュは驚くも、笑顔を見せる。そして竜馬も笑顔を見せる。話し方は少々テイマーギルドのマシューに似ていたが、セルジュにはマシューから感じた嫌悪感が無かったからだ。
こうして竜馬とセルジュの挨拶が終わり、本題に入る。
明日も1話は投稿します。
これからもよろしくお願いします。




