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「じゃあ、竜馬君にあげる力を決めようか!」

「そうね、まず竜馬君にはもう武術系の才能は要らないと思うから、予定通り魔法系の力を与えましょう。……と言っても、竜馬君って魔法系の才能もかなりあるみたいなのよね……」

「本当ですか!?」

「うん、本当よ。理由も分かったし」

「スキルはこの魔力感知・操作・回復速度上昇だけですし、魔力もたった172ですが、本当に才能あるのでしょうか?」

「向こうの世界ならともかく、地球人でそれは異常よ。実は言ってなかったけど地球は魔法が失伝して久しいから魔力は0で当たり前、魔法関係のスキルを持ってる人なんて普通地球には居ないのよ」

「そうなんですか?」


「そうそう、霊感が強いって人や長い修行をした人の極々一部に魔力感知を持ってる人が居るくらいだよ。それを操作出来る人は地球にまず居ないし、魔力回復速度上昇なんて向こうの世界の人でも滅多に持ってないレアスキルだよ? 地球生まれでそれは凄すぎるよ……そうだ! 竜馬君にあげる力の1つめ、魔法の全属性適性にしない?」

「おお、良いのぅ!」

「そうね、良いかも」

「あの……なんか物凄いチートな気がしますが」


 竜馬のその言葉を聞くと3神の神はニヤリと笑った。


「それ、ここに来た人皆言うんだよね」

「全属性っていかにもチートっぽいってね」

「ひねりがなくてつまらんと言った奴もいるのぅ。悪目立ちする等、皆似たような理由で誰も全属性は選ばんかった。じゃがの、実は向こうの世界では全属性持ちは珍しいが、取り立てて騒ぐ程の事ではないのじゃ」

「そうなんですか?」


「うむ。生まれつきの者もそれなりに居るし、やろうと思えば訓練で誰でも全属性持ちになれるからの、国の騎士団なら生まれつきが10から20人位は居るじゃろう。おまけに全属性持ちは使える属性は多いが、その分満遍なく訓練すると1つの属性の成長が遅い。1つ1つが弱い全属性持ちの魔法使いと1つの属性しか使えないが強力な魔法を放てる魔法使いなら後者が重宝されるぞぃ」

「器用貧乏になりやすい、と……」

「いかにも」

「そんな訳で、大して大きな力じゃないし取っておけば?」

「……そうですね、では全属性をお願いします」


「わかった、OKじゃ。お主は下位属性の火・水・風・土・無、中位属性の雷・氷・毒・木、上位属性の光・闇・空間が使えるようになるぞぃ。ほかには何か欲しい能力はあるかの? まだ大分余裕はあるぞ? 今あるスキルを伸ばす事も出来るが、既にこれ以上伸ばす意味も無さそうじゃしな……」

「魔力の底上げは出来ますか?」


「出来るがお主は本来魔力0のはずの地球人で172じゃからな……向こうに行った際に相当高い魔力を体に宿すはずじゃ。それを更に底上げすると、もはや人間とは言えぬ存在になるぞ?  向こうの基準は一般人が100、魔法も使う戦士等が500~700、普通の魔法使いが1000~5000、宮廷魔道士で 10000~50000じゃ。そして向こうに行く者はわれらが体を構成した時点で最低でも10000の魔力を宿すのじゃ、その後本人の素質と訓練で増える事もある」


「君の場合ならまず間違いなく増えるね、それも半端じゃなく」

「本当に?」

「ええ。0に何をかけても0でしょう?それと同じように、本来地球人は魔力を持てないの。可能性が0じゃないけど、私たちは君以外に1度しか魔力を持った地球人を見た事がないわ。それでもたった1の魔力だったのよ?」


「0から1になる時点で大きな壁があるんじゃ、しかしお主はそれを超えて更に魔力を増やしておる、本来ありえん事じゃ」

「では魔力の底上げは不要として、向こうに行って簡単に死なないために防御や回復の魔法を覚えたいです」


「そうじゃ、回復魔法を忘れておったな! よしよし、OKじゃ。防御は各属性にそれぞれ防御用の魔法があるが……少々マイナーじゃが、結界魔法でいいかの?」

「結界! 勿論です!」

「ほい、OKじゃ。……まだまだ余裕があるのぅ」

「そうですか?」

「うむ、お主の魂が強いからのぅ。儂らの力を受け入れる器も大きいんじゃ。ここはいっそ特殊な魔法もとってみんか?」

「特殊というと?」

「付加魔法や錬金術、召喚術や従魔術ね」

「付加や錬金、召喚はある程度想像できますが、従魔術とは?」


「魔物を捕まえて契約して操る術よ。テイムとも言うわね。操る魔物によっては強力だけど、宿とか入りにくいかも。取るなら召喚術の方が良いわ、召喚術があれば必要な時に召喚、必要なければ送還出来るから」

「それ取っても良いけど、なんか中途半端になりそうだよ? 従魔術ならもう一つ何か取れそうだよ?」

「確かにのぅ」

「……召喚術の代わりを従魔術と空間魔法で代用できませんか?」

「「「え?」」」


「従魔術で捕まえ、魔物の召喚・送還を空間魔法で行う事は出来ませんか?空間魔法で倉庫みたいな魔獣が待機できる場所を作り、そこに普段は入っていて貰い、必要な時に出てきて貰うというのはどうでしょう」


 竜馬がそう言うと3神はなにやら固まって話を始めた、そして数分後。


「竜馬君、今の案は可能だけど、ちょっと問題がある」

「何でしょうか?」

「小型ならともかく、大型の魔獣ともなるとかなり大きな空間を作らないといけないんだけど、それはアナザーワールドっていう空間魔法の中でも上級に入る魔法なんだ」

「小型、中型なら問題ないのですか?」

「うん、それなら中級のディメンションホームって魔法で作れる部屋で大きさはなんとかなるよ。ただ、空間魔法は上位属性の魔法だから、中級の魔法は人に見られると目立つよ。空間魔法下級のアイテムボックスや短距離転移程度なら問題ないんだけどね」


「その程度なら大丈夫でしょう。できる限りこっそりやりますよ」

「うん、じゃあもう一つどうする? いっそ身体能力をさらに強化とか他の武術系に行く?」

「武術は今の私に身についている物でも、向こうで通用するんですよね?」

「勿論、むしろ技に関してはそっちの方が多彩なんじゃないかな?」

「では武術系の取得はなしで、今まで鍛えた技でやっていきます。あと、俺の薬学の知識は向こうの薬草なんかにも対応してますか?」

「ええ、向こうの基本的な知識とスキル関連の知識はあなたの持つスキルのレベルに応じた知識が向こうに到着したと同時にわかるようになるわ。勿論今あなたが持っている知識・技術はそのままでね」


「なるほど、分かりました。それでは錬金術を下さい」

「それで良いのか? 魔法は訓練の必要があるからすぐに完全にとはいかんぞ?」

「はい、身を守る方法はいただきましたし、回復魔法も貰いました。武術に関しては問題なさそうですから、魔法は追々、自力で訓練をしたいと思います。錬金術は薬学と一緒に使えば何か面白そうですから。それに薬草の成分を抽出したりして、もし現代の薬に似たものを作れれば安心ですから」


「そうか、ならば良い。……さて、本当に予定よりだいぶ早く終わってしまったな……嫌な奴程長く居座るのに、なぜ気に入った奴はすぐに出立の準備が整うのじゃろうな……」

「お別れだね……」

「残念だけど決まりでね、与える力が決まると、そう時間を待たずに向こうに行く事になるのよ」

「そうですか……名残惜しいです。このご恩は一生忘れません」

「気にするな。お主の人生じゃ、好きに生きるが良い」

「私たちはずっと見守ってるからね」

「面白い事をやって見せてね~」


「まずは出来るだけ安全な森に送ってやるからの、安心すると良い」

「最後だし、わがまま言っても良いのよ?」

「口調もそんなに丁寧じゃなくていいし」

「最後くらい素を出さぬか?」


「……そうで……そうだな。ありがとう。やっぱり形だけ、上辺だけの礼儀作法はバレるか」

「人間なら滅多な事では気づかんよ。わしらは神じゃからな、気づいて当然じゃ」

「スキルに礼儀作法Lv7ってあったしね。凄いよ、Lv7の礼儀作法スキルなんて王族や貴族でも滅多に居ないよ」

「それを聞いて安心した。人付き合いがどうにも苦手でね。形式通りのやり取りで済む礼儀作法だけは何とかなった。これだけでも出来たから、かろうじて社会人として通用してたんだ。そうそうバレて貰っちゃ困る」


「最初っからそれでも別に良かったのに~」

「神にいきなりタメ口聞くわけにもいかないだろ……」

「度が過ぎれば不快だけど、君のは全然大丈夫よ。それに、私の心は広いんだから。なんてったって女神ですもの」

「そうか」

「向こうに行ってからの活動方針はあるのかの?」

「心配事があるなら、吐き出しちゃいなさい」

「聞いてあげるよ~?」


「そうだな……対人関係だな。俺は今まで39年、人付き合いが上手く出来なかった。異世界に行っても俺は俺だ、異世界に行ってそれが変わるとは思えない。……正直、人付き合いには疲れた。上っ面を取り繕うだけの付き合いでもな、いっそ隠居でもしようかとも思ったが……」

「そうしたいならするといい。それも人生じゃ」

「それと同時に、異世界を歩かないのも勿体無いとも思ってるんだよ。どうすっかねぇ……」

「なら、しばらく隠居して考えつつ、気が向いたら旅に出れば?」

「は?」


「どのみち向こうの世界で最初に着くのは森だよ。街中に転移したら大騒ぎになるかもしれないし。だから、その森にしばらく住んで、そのあと街に行けばいいじゃない。どうせ魔法とかの実験もするんでしょ?」

「あー……確かに」


「ゆっくりでいいさ。君は真面目だから与えられた選択肢は全部やろうとするみたいだけど、1つずつ、気の向くままでいいんだから。最終的に全部出来なくても良いのさ」


「あなたは1度死んでるのよ? それこそ本当に生まれ変わるの、前の人生とは違う、自分の好きなように生きていいじゃない。特に向こうに行った直後は子供よ? 身を守ること以外は考えずにパーっと遊ぶくらいでちょうどいいのよ。魔法の練習でも楽しみなさい。あ、でも向こうに行ってすぐに全部は使えないけど、 地球の知識があれば飲み込みは早いはずだから、焦らないでね?制御を重視すると良いわよ」


「うむ、それがよかろう。万一盗賊が居っても、お主ならそこらの盗賊団に遅れを取ることはまず無かろうて」

「……気楽に、気の向くままに、か。……なら、森で生活できそうならしばらく森に篭っていよう。少しばかり気が楽になったよ、ありがとう」

「もし街に行くようになったら、こまめに教会に足を運ぶといいよ。僕たちと会う事はできないけど、信託のスキルを手に入れれば極短時間の会話は出来るようになる可能性があるから。Lvが高いほど長く、頻繁に話せるようになるよ」


「了解、街に行ったら忘れずに行くよ。また話そう」

「うん、待ってるよ」

「そうだ、3神の名前を教えてくれないか?」

「おお、そういえば教えてなかったのぅ、これは失礼した。儂は異世界“セイルフォール”の創造神にして最高神、ガインじゃ」

「僕は生命の神、クフォだよ」

「私は愛と癒しの神、ルルティアよ」

「ガイン、クフォ、ルルティアだな。覚えた。何時になるかは分からないが、必ず神殿には行こう。約束する」

「その時は話し相手になって貰うからね」

「儂らも暇じゃしの、ほっほっほ」


 そうガインが笑ったと同時に、竜馬の体を光の粒子が包み始めた。


「……時間みたいだな」

「うむ、そちらの世界の小説にある“テンプレ”のようにいきなり落ちたりはせんから安心せよ」

「さて、もうなにも言い残したことは無いかな?ここを逃すと次に話せるまで、人の基準だとかなり時間がかかるよ」

「そうだな……何度も言うが3神には感謝してる。それから……そうだ、何で俺は向こうの世界で魔力や魔法系のスキルを持ってたんだ?」


「あー……それはねー……」

「お主、父親に強制された訓練を死ぬ前日まで続けておったじゃろ?」

「習慣化してたからな。時間が取れない事もあったが、ある程度は」

「その中でも瞑想は毎日欠かさずに行っていたじゃろ?それが原因じゃよ。それで無意識のうちに魔力を感知、魔力を得て操作し続けていたんじゃ。それを只管続けたせいで、お主は無意識にただでさえ少ない魔力を使い切る生活を続けていた。その結果が魔力回復速度上昇のスキルじゃな。他にも原因があるよう じゃが、異界の神である我らにはよく分からぬ」


「そうか……ありがとう、それだけ分かっただけでも十分だ。もう俺は生まれ変わる、地球の事は関係ないんだろ?」

「そうよ、別に気にしなくて良い事ね」


 ルルティアがそう言うと同時に光が強くなった。


「あ、そうだ。俺、結局何で死んだんだ? 普通に寝てた筈なんだが、心臓発作とかか?」

「違うよ、頭を打ったことによる脳内出血だよ」

「え!? 俺そんな覚え全く無いぞ!?」

「うん……そうだろうね……」

「儂もあんな死に方をする奴はお主しか見た事がないわぃ」

「あのね……あなた、言いにくいんだけど、クシャミしたのよ、何度も」

「……は?」


「4回じゃったな。クシャミをしたところで枕がズレて、最後に床に頭を打ち付けたんじゃ。お主の布団、安物のうっすいヤツじゃったから、あまりクッションにはならんでのぅ……」

「目が覚めるほどじゃなかったんだけど、それがきっかけで脳内の血管が幾つか切れてね。それで夜が明けるまでに出血で脳が圧迫されて、ご臨終……」

「なんちゅう死に方してんだ俺は!! 何だそれ! 頭を打って出血って聞いたから事故か階段から落ちたか?って必死に考えていたら……クシャミ!? 寝てる時のクシャミが原因で死んだのか俺は……それが一番納得いかんわ!!!!」


「お、落ち着くんじゃ……」

「その……なんて言ったらいいかわからないけど……」

「納得いかない気持ちはわかるわ、でも、もうしょうがないじゃない……」

「………………そうだな……はぁ……死因:脳内出血、原因:クシャミ。……今日あった事で1番驚いたよ……」


 そう言った所でまた光が強くなった。


「む……どうやら準備が整ったようじゃな」

「時間だよ、最後がこんな話で締まらないけど」

「元気で、楽しくやっていくのよ?」

「ああ、わかった……本当に、本当にありがとうございました!!」

「うむ! ではゆくぞ! いざ、新しき世界への道を開かん!」

「あなたに我らの祝福を!」

「次の旅路に光あれ!」

「「「新たな生を楽しみなさい!」」」


 その直後、竜馬は一際強い光に飲まれる。その光が消えたとき、既に竜馬はそこに居なかった。


「……無事に行った様じゃの」

「力も問題なく与えられてるわ……魔力に至っては凄まじいわね……予想以上よ」

「転移先の森は極端に強い動物も魔物も居ない比較的安全な森だし、大丈夫でしょ」

「うむ。じゃが、これからしばらくは彼を見守ることにしよう。万が一の事があっては心苦しいからの」

「そうね、あの子には幸せになって欲しいわ」

「そうだね。不幸な人は世界中にあふれる程居るけど、彼の場合、不幸の毛色が違うからね……」


「まったく、地球の神は何を考えていたのかしら! 生者の運命に手を加えるだなんて!」

「おそらく竜馬君は、本来何らかの形で大成する人材だったはずじゃ。おそらくは武術家としてかの? その運命に手を加え、出会う人の殆どを悪意に満ちた者に変え、あったはずの道を閉ざされておる」


「そして本来彼が得るはずだった幸せをピンハネ……それか自分の信者か何かに与えてるのかもしれないけど。神というより悪魔のやり方だよ? あれ」

「地球では信仰心が薄れていると聞くが、それほど辛いのかのぅ? なんにせよ本来あるまじき行為じゃがな」


「彼の異常な耐性系スキルのレベルの高さは神が与えた苦難だったから、普通よりレベルが上がりやすかったのね」

「竜馬君には言えなかったけど、神の力の影響を受けてたから本来得るはずのない魔法スキルを持ってたんだよね」

「向こうでは地球での分も幸せにしてやろう。異存無いじゃろ?」


「勿論。僕は生命の神として、前世を必死に生き抜いた彼に生存術Lv5のスキルを授けるよ」

「大丈夫? 彼の器に入りきるの?」

「大丈夫大丈夫、彼が元々持ってたサバイバルLv3に力を加えて改変するから。元々同種のスキルを持ってた分、簡単かつ安全だよ……というか、何度見ても異常なスキルだよね……平和な日本でよくここまでサバイバルのスキルレベルを上げたよ。罠とか日常生活の何処で使ってたんだろう……」


「…………どうやら生活費を抑えるために公園でひっそりと鳩を捕まえて持ち帰り、食べていたようじゃの。周囲に見つからぬように行っていたため隠密術も上がっておるようじゃ」


「日本の常識から考えると、それ完全にアウトだね。まぁそれが出来たから39まで生きてられた部分もあると思うけど」

「セイルフォールではすぐに馴染めるだろうから良いじゃない」

「確かに、セイルフォールは彼に向いた世界かもしれないね……っと、じゃあ彼が目覚める前に生存術を与えるよ」

「私も愛の女神として、人間関係に恵まれる加護を与えておくわ」

「儂は低すぎる運を人並みより少し良い程度に戻しておくとしよう……顔は……超イケメンはやめて割とイケメンで優しそうな感じにしてやろう。あやつは女慣れしてないからのぅ、いきなりモテても逆に困るじゃろうて」


 それから数分3神はその場で目をつぶり、立っていた。それが終わると3神は目を開け、話をはじめる


「さて、次は持ち物じゃな。こっちは基本的な物だけで良いかの?」

「大丈夫でしょ、生存術あるし」

「ではそれはそれでいいとして、素性の設定づくりね。セイルフォールで問題なく、かつあの異常な耐性レベルを説明できる内容にしないと」


「幸いと言っていいのかどうかわからんが、苦痛耐性と精神耐性が8と9じゃ。あまり突っ込んで聞かれる事はあるまいよ」

「人に見られたらまず同情されるレベルだからね」

「心が壊れていないのが奇跡だからのぅ。古傷を抉る真似は理由がない限り、する者は居らんじゃろ。最低限の常識があればな」

「ひどい環境に長い間置かれていた少年が、人間不信になり街に行かずに森で暮らしていたという設定でどう?」

「細部を詰める必要はあるが、大筋はそれで良いじゃろ。異世界の事じゃが、経緯は似たような物じゃしな」

「実際に軽い人間不信気味だしね」


「よくあの環境で大きく人格を歪めずにいられたわよね……」

「うむ……多少の人格の歪みはあるが、セイルフォールでは個性の範囲で通るじゃろ。日本の道徳も持っておるし、道を踏み外すことはまず無いじゃろう。あくまでセイルフォールの常識でじゃが」

「それは仕方ないよ。向こうは地球と違って危険な世界だもの。人殺しだって躊躇ってられない」

「そうじゃの……詳細を詰めるか」


 それから彼らは話し合い、彼ら自身も世界を渡って自分達の居るべき世界に帰っていった。


2014/3/11一部修正を加えました。

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[一言] 「このこ恩は、一生忘れません。」 ってか、あなたまだ一生始まってないから〜!
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