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第一章 6話

 翌日


 ~Side 竜馬~


 俺は予定通り、公爵家一行について行き、2時間程で森から出た。馬車があると言っていたから何処にあるのかと思えば、執事のセバスさんの空間魔法、ディメンションホームの中に入っているという。


 セバスさん、空間魔法使えたんだ……それに、俺はまだディメンションホームは使えないから分からなかったが、馬車まで入るんだな……


 俺がそんな事を考えているうちにセバスさんは馬車を4台も出した。どんだけ容量あるんだ、あの魔法。


 俺が驚いていると、お嬢様がイタズラに成功したように笑う。


「あれは私達が乗るためだけの馬車ですの。荷物は別に、まだまだセバスのディメンションホームの中にあるんですのよ?」


 まだあるんかい!


 一人で脳内ツッコミを入れていると、奥様に手を引かれ、公爵家の4人と同じ馬車に乗せられた。


 馬車は6人乗りで、公爵家の4人+俺で5人、もうひとりはセバスさんが乗り込んできた。


 ちなみにスライム達は馬車の屋根に付いている簡易荷台に乗せて貰っている。本来は車内で飲み食いする酒やつまみなどの贅沢品を置く場所らしい。


 せっかく同じ馬車に乗っているのだから思い切ってセバスさんに聞いてみると、セバスさんは空間魔法の他は水魔法しか使えないが、どちらも上級魔法まで使える国でも有数の魔法使いらしい。


 空間魔法の上級を使えると聞いたら、もしやと思ってもうひとつ聞いてみた。


「上級の空間魔法……『アナザーワールド』は……使えますか?」


 俺がそう聞くとセバスさんは感心したように俺を見た。


「おや、よくそんな魔法を知っていましたね?」

「従魔……街の人に怖がられやすいです……召喚術の代わり……空間魔法で出来るか……祖母に聞いたら……大型魔獣はアナザーワールドでなければ無理と聞きました」


「召喚と送還の代わりを空間魔法で? 出来るの? セバス」

「理論的には可能ですな。ディメンションホームは空間を歪め、安全に休める部屋を作り出す魔法ですから、内部での魔獣の生存は可能です。アナザーワールドも同じく。しかしそれを召喚・送還の代用として使うという発想はありませんでした。中級以上の空間魔法を使える従魔術師にしか不可能な方法ですが、召喚術と同等の周囲の安心感は得られるかと思われます」


「ほう、それは素晴らしい。所によって対応は変わるが、従魔術師は肩身の狭い思いをすることが多いからな。少しでもそれが減るなら周知・検討すべき案だ」


 え、誰も考えついてなかったのか? ……そう言えば神様も最初は3人で話し合ってたし、誰も思いつかなかったのかもな……


「リョウマ様のご質問ですが、私はアナザーワールドは使えない事はありません。ですが、好んで使う魔法ではありませんな。アナザーワールドは空間魔法の最高難度の魔法でございます。これが使える空間魔法使いは空間魔法使いの目標、最高峰として尊敬を集めますが……それだけなのです」

「と、言いますと?」


「実はアナザーワールドはとても使い勝手の悪い魔法なのです。アナザーワールドを使えるようになるまでには3段階の手順が必要になります。1段階目は空間 魔法による広大な空間の作成。この段階でアナザーワールドの広さが決まります。そしてその広さは術者の魔力量に依存します」


「……魔力を多く持つ人は広く……少ないと狭く……なるんですか?」

「その通りにございます。それに加え、第一段階を行った術者は、全ての魔力を出し尽くし疲労困憊、酷い方は気絶の上数日寝込む事までございます。更に第一段階が失敗していた場合、空間は作成されず初めからやり直しになるのです」


 水の泡って訳か……


「第一段階に成功した後、第二段階に移りますが、第二段階は作成した空間と自らのいる場所を繋ぐ門の作成です。こちらも大量の魔力を消費する上、失敗したらやり直しとなります。


 第二段階までが準備のようなものでして、第三段階からは門を開け、出入りするだけの通常の使用になりますが、この門の1回の開閉には5000~10000の魔力を消費します。この10000という数字は魔力を数値化したものです。


 大体王宮に仕える宮廷魔術師になるには、最低でも10000前後の魔力が必要になる事を考えていただくと分かると思いますが……国の中でも優れた魔力量を持った魔法使いが、1回使っただけで倒れる程魔力を消費する魔法です。とても乱用出来る物ではありません。


 おまけに、そんな苦労をして空間の容量を用意して何を入れるのかという点も使い勝手の悪いとされる理由ですね」

「どういう事? 広ければもっと沢山物を入れられるのではないの?」


「はい、入れられます。しかし、普通の家具や旅行のための物を収納するだけならば、中級のディメンションホームで十分なのです。アナザーワールドでなければ入れられない物等、それこそ王宮や要塞程の大きさになります。そうなると今度はどうやって入れるのかという問題も出てきますので、結局、魔力の無駄が大きくなるだけで役に立たないのですよ」

「そうでしたの……」


 結構デメリットあるな……まぁ多少のことは承知の上だし、とりあえずは中級のディメンションホームで良いだろう。俺の従魔はスライムだし。


 そんな事を考えていたら、セバスさんがフォローを始めた。


「しかし、使い勝手が悪いのは入れる対象を物で考えた場合の事です。ドラゴン等の大型の魔獣であれば城ほどの大きさのものも居ります。そういった魔獣をテイムした場合の魔獣の待機場所としては有効であるかもしれません」


「そうですか……ありがとうございました」

「いえいえ。この程度の事でよろしければ、何時でもお聞き下さい」

「そういえば、リョウマ君の使える魔法属性は何だい? 土と空間は聞いたけど、お風呂を魔法で沸かしていたみたいだから火と水も使えるんだよね?」

「祖母は全属性だと、言っていました」

「全属性か、珍しいね。何か特別に伸ばしている属性は?」

「土と空間を主に……他は火や水……生活に使える物を中心に……満遍なく」


「ふむ……それに加えて、従魔術、結界魔術も使うんだよね?全属性持ちは器用貧乏になりやすいから注意するんだよ?」

「分かりました」


 そう言えば神様の手紙にもあったな、その注意。


「……私はなにかおかしな事を言ったか?」

「え?」

「リョウマ君、少し笑ってたわよ?」


 あ、顔に出てたか……


「昔、祖母に同じ事を言われました……回復魔法や錬金術にも……手を出しましたから」

「そうだったか、何か変なことを言ったのかと思ったよ」

「しかし、錬金術とはまた珍しい物に興味を持ったのぅ……」


 そう言えば何故か錬金術に関する情報は少なかったな、聞いてみるか。


「珍しいですか?」

「錬金術師など、今ではそう見かけんわぃ。昔、金を生み出す等と言って詐欺を働く連中が跋扈したせいで大分数を減らしたからのぅ。数百年前に錬金王と呼ばれる男が居て大きな利益を出したと言われておるが、その後はパッとした発見も発明も無いからな」


「一説には、錬金王によって生み出されたのが錬金術の原型であるとされ、その後、利益を求めて錬金王の後に続こうとした者達によって生み出されたのが現代に伝わる錬金術とされています。しかしその技術は錬金王のそれとは違い大きく劣る物であったそうで、今では単なる詐欺の口実にまで落ちぶれ、錬金術は学ぶ者も居らず、風前の灯なのですよ」

「錬金術師は秘密主義で不気味なイメージがありますわ。他の魔法関連のギルドも多少秘密主義な所はありますが、錬金術師は度が過ぎるのです」


 何か良いイメージないみたいだな……まぁ地球に昔居た錬金術師と似たような経緯みたいだけどな。


「錬金術を学んだ事……言わないほうが良い……でしょうか?」

「そうじゃの、その方がよかろう」

「分かりました」


 返事をすると、お嬢様が聞いてきた。


「リョウマさん、実際錬金術師って何をしてますの?」


 何をっていわれてもな……


「他の錬金術師を知りません……だから分かりません……僕に出来たのは……岩塩を精製する事位」

「岩塩? あの付近で採れる岩塩は毒があって食べられない商品価値の無い物だが。それで何か出来るのかい?」


「あの岩塩には……土の中の鉱物が多く含まれてます……それが人の体には毒になります……その鉱物を岩塩から取り除けば食べられます……僕がやっていたのは……あの岩塩から鉱物の毒を取り除いて……食べられる様にする作業」

「そんな事が出来るのかい!?」

「出来ます。僕の家に泊まった時の料理……アレに使われている塩は全て……あの崖で採れた岩塩」


「凄いじゃないか! それが可能ならあの塩を商品として……いや、だめだ。あの付近の岩塩がダメなのは数年前に周囲に知れ渡っている。売り出しても買う者が居ないだろう」

「そうなんですか?」


「ああ。昔、森の奥まで入った冒険者が崖の岩塩を見つけたが、それを誰にも報告せずに自分で採取して産地を偽って売り捌いたんだ。


 狩猟、採取は特定の地域以外は自由に認められているけど、欲の深い貴族は自分の領地に岩塩が見つかったりしたら独占しようとするからね。それを嫌ったんだ。それで黙って自分だけが利益を得ようとして、産地を偽った。そして売りさばかれた岩塩は大勢の病人を出して、その冒険者は捕まって処刑されたよ。


 大きな騒ぎになったから、この国中のどこでもジャミール領のガナの森の岩塩は危ないって知れ渡ったんだ。元々ジャミール領は岩塩を商品として扱っていなかったから、領には影響がなかったのが幸いだよ」


 異世界でも産地偽装ってあるんだな……


「あの崖は元々……小量しか岩塩が採れません……多くの需要に応えられません……市場に流せば……豊富に安全な岩塩が取れる産地……競争で負けると思います……ジャミール家と近くの村だけで使う分なら……採れると思いますけど……」

「そうか……残念だ」


 そんな話をしている間も馬車は時折休憩を挟みつつ進んでいく。そして夕方になってきた頃、御者をしていた男性から声がかかる。


「皆様、ケレバンの街が見えてきました。もうじき到着いたします」


 中継地点の街についたのか。俺はてっきり今日は野宿かと思ったんだが……

 ん? 待てよ? 俺、身分証とか無いぞ……


「あの……」

「何かございましたか?」

「身分証……僕……無い……大丈夫か……?」


 落ち着け俺! 二週間前から多少マシになってたのに! 慌てたらまたカタコトになった……


「ご安心下さい、身分証がない方には仮証が発行されます。簡単な審査だけですので、問題ありませんよ」


 ああ、良かった……しっかし早く何とかしたいわ……この喋り。

 そう思っていると無意識にため息を吐いていて、奥様に大丈夫かと心配された。


「大丈夫? 心配いらないわよ、何が来ても私達が守るからね。街は怖くないわ」

「あ……」


 何か勘違いされた、一応訂正しておこう。


「今のは、違います。街の事じゃない、です」

「そう? なら、どうしたの?」

「実は……言葉です。変でしょう?僕……今……喋り方……」

「……そうねぇ……」

「3年間……人と話していなくて……2週間前……ラインハルトさんが来た時に……上手く言葉が思い浮かばなくて……自分でも……驚きました……あれから……2週間……スライムに話しかけて少し戻りました……でも……まだ、変です……中々治らなうぷっ!」


 何だ!? 奥様!? 抱きしめられた!!?


「大丈夫よ! リョウマ君! ゆっくり、ゆっくり治しましょう。ぐすっ……もうあなたは一人じゃないの」


 泣いてる!? ……ってきがついたら奥様だけじゃなくてお嬢様も男性陣も目が潤んでる……なんで………………そうか、これは事実だけど、客観的に聞いたら俺めちゃくちゃ淋しい奴じゃん。3年間まともに人と話さずに言葉がすぐに出なくなったからって、スライム相手に会話の練習するとか……


「大丈夫です! ……森に住むのを決めたのは……自分ですから……」


 その後しばらく、少し落ち込んだだけで大丈夫だと言い続けたが、効果はなく。俺は門につく直前まで奥様に抱きしめられていた。



 その後セバスさんとラインハルトさんが外に出て門番と何かを話していたが、どうやら俺の仮証の件を話してくれたようだ。


 俺は奥様達と門番の詰所に案内された。……いや、本当は呼ばれたのは俺だけだったんだが、奥様が心配だからと言ってくれてね……かなり無理矢理だったな……案内人も目の前の人も顔真っ青で震えてる。名も知らぬ人達、ごめんなさい……巻き込んで……


「で、ででで、では、このすす水晶にふれってくださいませ」


 滅茶苦茶どもって、声裏返ったよ、この人。俺も人の事はいえない変なしゃべりだけど……


「はい」


 俺は素直に水晶に触れた。すると途端に水晶から青い光が発せられ、目の前の人の顔が驚愕に満ちて、視線が水晶と俺の顔を行き来する。


「き、君、ちょっと奥へ来てくれ」


 何かあったか? 確か青い光は無罪のはずだが……そこにセバスさんと奥様が割り込んでくれた。


「何か問題がございましたか?」

「光は青でしたわね? 問題は無いはずですが?」

「たたた、確かに光は青でした! しかし、賞罰に! 賞金のかかかった盗賊の討伐記録、が、あったので、確認と賞金の支払いをしたたいのです!」


 それを聞いて落ち着く奥様と納得するセバスさん。しかし確認と支払いは2人の目の届くここで行われることになった。


「で、では聞くが少年、君はその年で盗賊を倒した事があるね?」

「はい」

「水晶の出した情報では、君が赤槍のメルゼンを討伐したとあったが、事実かね?」


 いや、わかんねぇよ。誰だそれ?


「誰が、その人か……分かりません」

「真っ赤な槍と鎧を着た男だが、記憶にないか?」


 その一言で思い浮かんだ男が居た。確かその槍は良い物だったから即アイテムボックスに入れたんだった。


「あります。アイテムボックスに槍があります……証拠になりますか?」

「あるなら見せて欲しい」


 そう言われたのでアイテムボックスからその槍を取り出して目の前の男に渡す。その男は全体を見回してから、槍を構え……男が魔力を槍に流したのを感じた瞬間、槍の穂先から赤い炎が吹き出た


 なんじゃありゃ!? あの槍あんな機能あったんかい……俺にもできるかな? 今度やってみよう。


「間違いない、赤い槍で、炎を放つ魔法武器。赤槍のメルゼンの槍だ。いま賞金を用意しよう」


 男が俺たちを案内してきた兵士に指示を出すと、兵士は急いで駆けていった。それを見送っていた俺に男が声をかけてきた。


「しかし……よくメルゼンを討伐できたな。あの男は何度も冒険者や騎士団から逃げおおせている男で、実力は確かだ、差し支えなければ、どうやって討伐したかを教えてくれないか?」


 そう言われてもな……俺、大した事してねえんだよ……


「盗賊に襲われて……倒したら死ぬ前に……仲間に裏切られたと言ったから周囲を探したら……洞窟で酒盛りをしてた」

「そこを襲ったのか?」

「違う。僕は従魔術師……酒樽の中に……ポイズンスライムを送り込んだ」

「なるほど。よく分かった、感謝する」


 そこにちょうどよく先程の兵士が賞金を持って来たので、仮証と賞金を受け取ってアイテムボックスに入れ、俺達は詰所を出た。護衛の人達は先に宿の方に行っている様に指示を出されていたらしく、外には居なかった。ここからは徒歩で宿まで行く。お嬢様に街を見せるためらしい。


 ちなみにメルゼンとやらの賞金は小金貨700枚だった。700枚か……急に金持ちになっちまった、どうすっかね……ここ3年の生活のせいで全く使い道が思い浮かばない。とりあえず、付いて来てくれた皆さんには礼を言っとかなきゃな。


「ありがとうございました。皆さん」

「いいのよ~、遠慮しないで」

「しかし、まさかあのメルゼンを仕留めておったとはのぅ」

「そんなことより早く街に行きましょう!」

「こらこら、落ち着きなさいエリアリア」

「だって、こんなに大きな街は初めてですもの!」

「そうなんですか?」


「ええ、昨日も言いましたが私、今回が初めての遠出ですの。そしてこの街はジャミール領最大の商業都市ですのよ? この街より大勢の人達がいる場所はなかなかありませんわ!」

「そうですか」


 確かに人は多いんだが、日本の東京を知っているとどうも少なく思えるな。駅や満員電車に比べたら全然少ない。……そういや初、異世界の街なのにあまり感動が無いな。古めかしい建物は珍しいが、取り立てて騒ぐほどの事でもない。っておい、お嬢様、慌てすぎだ。


 行き交う人の流れと言うほどでもないが、それなりの人の動きにお嬢様がさらわれていく。こういう街を歩くのに慣れてないのが丸分かりだ。このままじゃ危なっかしいので急いでお嬢様を捕まえに行く。


「お嬢様、こっちです」

「あ、ありがとうございます。すごい人ですわね、誰かにぶつかってしまいそうです」


 何か興味があるものを見つけたら、このお嬢様変な所で止まるんだよな……道の真ん中でもお構いなしに。


 そんな世間知らずっぷりを隠す事なく披露しているから、面倒なやつらがやってきた。


 後ろから1人お嬢様の左肩にぶつかる軌道で歩いてくる女、お嬢様の腕を引いてその女とぶつからせないようにする。


「危ないです」

「っと…………チッ……」


 女はぶつからなかったお嬢様と、お嬢様の腕を引き寄せた俺をチラリと見、舌打ちをして立ち去った。やっぱりスリ狙いだったか。


「あら、ありがとうございます。あら? あれは何ですの?」


 また……今度は進行方向の路地に1人か、お嬢が路地に着く前にお嬢を捕まえて抱えるように引き寄せる。


「飛び出すと危ないです」

「えっ!?」

「うおっ!?」


 俺がお嬢様を引き寄せたせいで、路地から出るタイミングを外した男が転がり出てきた。


「路地から出てくる人……居ます。気をつけて下さい」

「あ、ありがとうございます……」


 お嬢様に一声かけて、俺は男の方に寄って声をかける。


「大丈夫ですか……? お怪我はありませんね……?」

「ンだァこのガ……!?」


 男は声をかけた俺の襟首を左手で掴もうとして来たが、俺はその手を右手で跳ね上げると同時に掴んで、左手を相手の肘裏に掛け、自分の体でお嬢様に見えないようにした上で相手の腕をひねり、相手の体勢を崩す。相手が転びそうになって動揺し、言葉が止まるが完全に転ぶ前に支え、視線を合わせてもう一度声をかけた。


「お怪我は、ありませんね?」

「お、おう……すまねぇな、手ェ貸してくれてあんがとよ……」

「お気を付けて」


 全く、失敗したからっていきなり子供に絡むなや……中身はおっさんだけどな。最近自分が子供なのかおっさんなのか分からなくなってきたな……


「リョウマさん! あちらへ行ってみましょう!」


 まだ行くのかよ! っつーかいつまで付いてくるんだ犯罪者ども!!


 それからしばらくはスリ、強請、誘拐を狙う破落戸どもからお嬢様を守る事に骨を折らされた。何故か公爵家の皆さんは何時でも対処できる用意を整えてるのに、あえて俺に任せてるみたいだし……というか、この街治安悪いわ~……


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