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第7話 召喚から早くも二週間。

召喚から早くも二週間。

こちらの世界の生活にもだいぶ慣れました……と言えるかどうか……。


とりあえず、ヨーロッパのお城か歴史的建造物って感じの離宮に住まわしてもらっているわたしです。


部屋は、ホテルのスイートルーム並みの豪華さ。

寝室、リビング、衣裳部屋、浴室なんかに分かれている。

リビングの壁は花柄の壁紙。天井にはきらびやかなシャンデリア。リビングの外っていうかバルコニーも、ダンスくらい踊れそうなほどの広さ。

しかも、侍女とメイドと護衛付き。


朝起きて、広いベッドの上でもそもそしていると、侍女のローズとメイドのフローラが入って来て、一礼をする。

フローラがカーテンを開けてくれる。窓も開けて、部屋の空気の入れ替えもしてくれる。ありがたいなあ……なんて、ぼんやりしていたら、外から金木犀に似たほのかで優しい甘い香りが部屋の中にまで漂ってきた。


「おはようございます、アイリス様」

「おはよう、ローズ。フローラ。いい香りね……」

「オーランティアクスの花の香りでございますね」


ローズが答えてくれた。

金木犀の学名は、たしか、オスマンサス・フラグランス・オーランティアクス。

とすると、多分、名前が違うだけで、この世界にも金木犀、もしくは似た品種の植物があるんだろうな。


季節も、この世界も日本も同じくみたい。今は秋で、もう少ししたら木々の葉っぱが紅葉する季節。それで冬が来て、春が来る。うん、同じ。


寝起きの頭でぼんやりと考える。すると、ベッドの近くに寄ってきたローズがわたしに言った。


「今日のお召し物はいかがいたしますか?」

「えーと……いつもの白のシャツと濃紺のスカートで。靴はハーフブーツ」

「かしこまりました。では、お召し替えを。フローラ、用意して」


わたしの意思を確認したり、常にそばに控えたりしているのが侍女のローズ。

で、ローズの指示に従って、実際にわたしが着る服を用意したり、お茶を入れたりするのがフローラ。


わたしはフローラが用意してくれた服を着せてもらう。

成人式の時のお着物の着付けみたい。

訪問着とか、お稽古着とか。

そういう着物だったら、わたし、自分で着ちゃうんだけど。

さすがに、成人式の、盛りに盛ったお着物。美容師さんに着付けて貰ったしねえ。

ドレスの着方、分からないし……って、こっちの世界の服、たとえシャツとかワンピースだとしても、一人で着れない複雑さ……。

リクルートスーツの下に着る白いシャツとは完全に別物。超豪華。

豪華絢爛なシャツって何⁉ って感じだけど。


まず、フリルがいっぱい。裾が広がったデザイン。ボタンは装飾的に配置されて……っていうか、本当に装飾品だもの! 

……服を着た後洗濯するでしょ。その洗濯の時に、ボタンは全部取り外すのよ!

昔のヨーロッパでは、もともとボタンは「その日の気分に合わせて付け替える」ものだったって、本で読んだことがあったけど。

この世界でのわたしの服も、毎回違うボタンに付け替えてくれている!


しかも、工芸品のようなボタン!

螺鈿とか、彫刻とか。金の枠みたいなのに宝石がはめられているタイプとか!

シャツも肩周りや胸元には刺繍や装飾が施されて。立体感や豪華さが引き立てられました~みたいになっている。

一人で着るの、無理です。うっかり傷でもつけたらと思うと怖い。弁償できないよ。


大人しくメイドのフローラに着せてもらいます。

脱がせてもらうのも一人じゃできません。そのくらいがっちがちです。

ありがとう……。ローズとフローラがいないとき替えすらできない……って、二人がお休みの時は、別の専属じゃない侍女とメイドがやって来るけど……。


ちなみに専属護衛もいる。

青の騎士団から派遣されている護衛が三人。

ティエリー氏とレスリー氏とブルーノ氏。

着替えの時は廊下に出ていてもらうけど、それ以外の時はたいてい部屋の壁際に控えている。

さすがに寝室には入ってこないけど、今はもう、リビングのほうには控えているんだろうな……。

みんな青マント。

でも長さが違うのよね。


聞いてみたら階級が上がるほど、マントの長さも長くなるんだって。

白の魔法師団の場合だとマントじゃなくてローブだけど。


ああ、たしかに、ジョナサン君が着ていたローブの丈は短かった。

ブロニーおじいちゃんのは床まで着くくらいずるずると長かった。


何かこう……ガッツリ階級があって、区別がすごい。

覚えられるかなーと思っていたけど。

基本、この世界……というか、このフィッツジェラルド神聖王国というトコロは、偉い人ほど着ている服の丈が長いらしい。それから色別。


王家の色は紫と金。

護衛とか要人警護がメインの騎士団は青。

魔物と戦うとか、前線に出るのは赤の戦闘兵団。

結界を張ったり、異世界から聖女を召喚したりするのが白の魔法師団。

魔法を使って敵を倒すのが魔法戦闘兵団は黒。


こんな感じに色分けされているのよね。


元々わたしが着ていた黒のリクルートスーツだと……魔法を使って敵を倒すのが魔法戦闘兵団……というか、戦闘なんかでは歩兵とか、斥候とか、土木作業員とか、そんな感じの下っ端集団の一員に見られるから着ないほうがいいって言われて。


ううう、フィッツジェラルド神聖王国は服装規定がめんどくさい……。

じゃあ、何を着たらいいんだーってことで、ちょっと前に、侍女のローズに聞いてみた。


「アイリス様は聖女様ではないので、金の色を身を纏うわけにはまいりません」

 

カリンちゃんはプリーテスローブっていうのかなあ……? 天然シルク百パーセント! みたいな滑らかな光沢のある白いローブを着ている。

紋章とかが金の糸で刺繍されている装飾帯とか前垂れとか? これまた名称は分からないけど、長い飾り布とかをかけている。

わたしは聖女じゃないから、それ、着るわけにもいかない。うん、理解。


聖女のサポート要員っていう役職は、フィッツジェラルド神聖王国にはなかったみたいなの。

だから、わたしの立場は微妙で。

どうしようってカンジだったらしい。


で、結局。

白の魔法師団預かりの身だけど、青の騎士団の護衛対象でもあるという感じに収まったらしい。


着ている服で階級が分かる世界ってのは、覚えれば見分けが楽かもしれないけど。

カテゴリーから外れた場合は、難しくなるのよね。


とりあえず、レースがふんだんに使われている服かドレスを着ていれば、身分的に高位っていうことだけはわかるんだって。


結果、白のひらひらレースがふんだんに使われた服とか。

騎士団の関係者だけどちょっと外れているよーって感じに青系統だけど、真っ青じゃなくて、紺色とか淡い水色とかにする。やっぱりフリルとかひらひら系のスカートとか。

ドレスにするなら白と濃紺の組み合わせとかになった。


ちなみに、王族の皆様の色は、紫と金色の組み合わせ。

あ、でも、紫と金の組み合わせでなければ、たとえば、紫だけとかなら、王家の人以外でも使用は可能なんだって。

そう、男爵令嬢のはずなのに、紫色の指輪をしているとかだと、そのご令嬢は王族の誰かの愛人さん……とか。うわあ、怖!



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