第52話 サポート要員のつもりだったのよ、わたし
サポート要員のつもりだったのよ、わたし。
主役は、聖女として召喚されたカリンちゃん。
そのカリンちゃんだって、四か所の宝珠を治せばお役御免だって感じで。
三か所はなんとかなりそうだから、あと一ヶ所でオッケー。
じゃあ後は、日本に戻って、個人的な問題を解消する……と思いきや。
いきなり、わたしが勇者でした……なーんて、爆弾をいきなり投げないでよ神様!
「と、とりあえず、カリンちゃん」
「はい、お姉様」
「夢は、夢ということで。いくら二人で同じ夢を見たからって、それが本当のこととは限らないということで」
「はい」
「この話は二人きりの秘密……」
「はい! アイリスお姉様!」
ありゃ? カリンちゃんが、ふふふふふ~って、すんごく嬉しそうに微笑んだ。
「あたしとお姉様の二人きりの秘密……。嬉しい……」
わあ! 百合の花が咲く? 違う?
「仲良しの女友達と二人きりの秘密なんて……、夢だったわ~」
あー、カリンちゃん、真っ当な女友達、できない環境だったものねぇ。うんうん。
とにかく秘密にしておいてもらえればいいかー。
あー……。
勇者とか言われると、この世界で就職なんて気が薄れますね……。荷が重い……。世界なんて背負えないよ。わたし、自分の就職問題と結婚したくない問題で精いっぱい。異世界を救うとか、勇者とかなんて完全にキャパオーバーです。
四か所の宝珠を治して、日本に帰って、わたしお父様やお母様と対決ね!
就職先、地元で探さないで、カナガワとかトーキョーに出よう。うん、そうしよう。
元々、そう決めたんだしね。
お父様とお母様と対峙するために、この世界でカリンちゃんを助けて、心も鍛えて。
優太お兄様とは結婚しない。
お父様とお母様の意に反しても、自分の道を歩く。
「とりあえず、あと一ヶ所。北の宝珠を治して、それで、カリンちゃん、一緒に日本に帰ろう」
カリンちゃんが「はい!」って答えてくれた。
「日本に帰ったら、あたし、まずお姉様の北九州まで行きますねー」
にっこにっことカリンちゃんが笑う。
「あ、いや。わたしがカリンちゃんのほうに行くよ。ヨコハマとかトーキョーとか。そっちで就職先見つける」
「お姉様! いいんですか⁉」
「うん、だって、芸能活動するなら、カリンちゃんは首都圏のほうが有利でしょ。それにわたし……家族とか縁を切ることになるかもしれないし」
結婚はしません。ごめんなさい。
親の決めた道は選びません。
今まで育ててくださって、ありがとうございました。
優太お兄様も、わたしと結婚とかじゃなくて、ご自分が愛する相手を見つけてください。お父様とお母様をお願いいたします。
四十九回目の就活失敗。
そして、この異世界召喚。
それを糧に、わたし、新しい場所で、新しい人生を歩む。
大丈夫、一人じゃない。
大切なお友達が出来た。
「そのためには最後の一つ、北の宝珠もがんばって修復しよう!」
カリンちゃんと手を取り合って。
がんばろー、おーって言ってみたけど。
北は……北の宝珠は……、氷原にあるとのことでございました……。寒そう……。




