第40話 アイリス様のテントスキルは……
「アイリス様のテントスキルは……、本当に、素晴らしい……」
ナイジェルさん以下、捜索チームの皆さんから、しみじみと言われました。
「いえ、このくらい。大変な捜索作業とか、設営作業とか、捜索隊の皆さんと先遣隊の皆さんのほうが、わたしなんかよりも何十倍も大変ですし」
「いえ、仕事ですから。それよりも宝珠ですが……」
探しても、見つからなかった。
「再度調べなおしですね。人海戦術になると思いますので、青と白だけではなくて、赤の戦闘兵団と黒の魔法戦闘兵団からも兵を徴用します」
そういえば、そんなグループもあったかな?
色分けされていて、分かりやすい身分差の世界なんだけど……。
それで、わたしの就職活動用スーツは色が良くないって言われたんだよね。
えーと、主な色遣いを、ちょっと復習。
王家の色は紫と金。白い色とか他の色も纏うけど、メインは紫と金の組み合わせ。
だから、キモ美少年のキーファー第三王子のマントの色は紫色だったし、着ている服も白いスーツに金糸で重厚な刺繍とかだった。
青の騎士団。イグニス副団長やマグノリアさん、カメリアさんの隊ね。本来のお仕事は要人警護らしい。
メインの色はもちろん青。マントの色も青。と言っても、青一色の服ではなく、白シャツに青マントとか、黒い色とかが飾りに入る。
白の魔法師団。
ナイジェルさんに、ジョナサン君。ブロニーおじいちゃんと、こちらは魔法を使うエリート集団ね。聖女様に結界の張り方を教えたり、異世界から聖女を召喚したり。いろんな魔法を使ったり。探索とか、結界張りとかもするらしい。魔法学校とかがあって、教師として魔法を教えたりもしているらしいけど。
で、わたしとかカリンちゃんは今まで直接会ったりしていないけど。
赤の戦闘兵団と、黒の魔法戦闘兵団ってグループがいるとか。
直接魔物と戦ったり、最前線に出るのはホントは赤の戦闘兵団のお仕事らしい。
ただ、赤の人たちはみんな平民ということで……。
聖女様に付き従うからって、見栄えとかも必要。それに名誉ってことで。
だから、平民出身者で構成されている赤の戦闘兵団は除外されたって。
うーん、身分差とか、貴族の思惑とかがあるのねー。
本来、こういう現場に出向くのは青の騎士団のお仕事ではない……らしい。
その割に、さくさくと動いているのはやっぱりイグニス副団長の手腕かな。
本来の青の騎士団は、護衛とか、守る専門。
王城の廊下で直立不動になっているのはみんな青の騎士。
魔法師も同じように、身分差がある。
貴族の血筋の場合、白の魔法師団にご入団。
平民の皆さんは黒の魔法戦闘兵団入り何だって。
つまり、黒を纏っている皆さんは、魔法師だけど、白よりも下っ端。
なるほど……。
で、名誉ある青と白の皆様だから、火山帯で宝珠を探すなんて作業に不慣れなんだって。
下っ端兵士、働けって?。
身分のある世界だから、しかたがないかなあ……。
郷に入りては郷に従え。
下っ端の皆さんを働かせて、わたしとカリンちゃんがごろごろしているのは、どうもね、気分的にね。申し訳ないんだけど。
山の斜面での捜索、しかも溶岩アリなんて場所で、就活女子やモデルの女の子が役に立つとは思えない。むしろ足手まといになるかも。
だったら、体を休めつつ、山に体を慣らして、体力をキープ……のほうがいいよね。
「どのくらいかかりそうか?」
と、イグニス副団長。
ナイジェル団は顔を顰める。
「さあ……。流れだした溶岩流に乗って、祠が流されてたとして。流されてたのは、山頂から隣国へ向けて。フィッツジェラルド神聖王国側ではないということくらいしかわかりませんでした」
うわあ……。範囲が広すぎる。
富士山で例えるのなら、山頂から溶岩が流れ出た。山梨県側に流れたため、静岡県側は無事です。だから、要救助者は、山梨県側にいるはずです……。
そんなこと言われてもねえ。
探し出せる気がしない……。
下っ端兵のみんな、ごめんね……。
よろしく頼みます……。
「せめて、調査人員の入れ替えをする時は、わたしのテントスキルで回復したり、お風呂に入って行ってください」
テントでの支援と、そのテントのスキルアップ。それから、できることと言ったら……吉報を祈るくらいかな。
食事とか洗濯とか、生活的なことは青の騎士の皆様がてきぱきとしてくれるので。
あ、そうそう。いつの間にか、五合目の拠点に侍女と雑役女中が! 手配されていました!
男性騎士に、わたしとかカリンちゃんの服の洗濯、させるわけにもいかないし!
ありがとおおおおおおお!
いや、今まではね、こっそり……ではないんだけど。
実は、テントに脱いだ服入れて、テントを仕舞って、出すと……、何故か着た服とか下着とかも、新品同然になっていたのよ……。
ありがたいスキルだけど。
テントが自動浄化されるついでに、服や下着まで浄化……?
自動洗浄機能付き……?
ま、キレイになるのはいいことです。
そんなこんなで、宝珠もしくは祠が見つかるまで、わたしもカリンちゃんもだらだらと。
テントの中のベッドに横になっておりました……。




