表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/48

第39話 昨日、ラマ・グラーマに乗って

昨日、ラマ・グラーマに乗って、山の中腹……富士山で言うと五合目あたりの拠点で一泊した。

今日はその先、富士山でたとえると、七合目のあたりまで進むとのこと。

七合目には拠点その二が、既に設置してあるらしい。

ホント準備ありがとうございます!


「標高がありますからね。聖女様とアイリス様の体力を鑑みれば、いきなり山頂まで進むのは厳しいかと」


イグニス副団長の言葉通り。

ただラマ・グラーマに乗って、揺られているだけなのに、ゼイゼイハアハアと、荒い息を吐いてしまう。


あー、体力云々というよりも、高度に体が慣れていない感じ。高山病が心配になる。


ええと……、フィールドワークの授業の時に何かの本を読んだ記憶が……。

えっと、たしか高所順応には千メートル上げるごとに休養日を一日入れる……だったような。でも体調を鑑みて数日置いたほうがいいとかだったかな。

書物よりは、自分の体と相談……とした方がよいかも。


とにかく七合目の拠点その二で、テントを張って。

特に何をするわけでもなくただ過ごす。ごろごろとして、体を慣らすだけ……なのに。

でも、これが大変で。


……ご不浄に行きたいなーなんて、思っても、トイレを済ませられるような場所……、男性陣の視線から遮られる場所に行くのに半刻くらいかかるのよ……。

一日どころか三日か四日は休みたい。

テントの回復力をもってしても、そのくらいかかりそう。


一応次第に、横にというか、平行移動するならなるべくゆっくり歩けば大丈夫になってきた。

けれど、さらに高度に行けと言われると……。まだ無理。山頂なんて、とてもじゃないけど無理。しかも。


「ここからさらに上に行くには……、もうラマ・グラーマは使えないので、歩きになりますが……」


使えないということは、それだけ傾斜が厳しいってことで……。

七合目から山頂まで、ホントの登山!

申し訳なさそうなイグニス副団長。乗って移動じゃなくて、自分の足で登山!

山靴とか、ハーネスとか、何もないけど、とにかく登れって?

エベレスト登頂みたいな感じだったらどうしよう……。

い、命の危険は……。あ、ああ、白の魔法師団の皆様の魔法頼み?

うわあ……。

それよりも瞬間移動とかないの⁉ パッと行って、パッと帰ってくるような。


「ま、魔法でなんとかなりませんか……?」


縋るようにナイジェルさんを見ても「一時的に、体調を回復しても、さらに上に行けば、また具合が悪くなりますからね。結局、体を高度に慣らしていくしかないんですよ」とのご回答。


いや、そうじゃなくて、瞬間移動とか、そういう高度な魔法はないのかなーって。

召喚なんてのができるんだから、瞬間移動くらい……、できてたら、わざわざ馬車やラマに乗ったりはしないか……。


「う、ううう……カリンちゃん、行けそう……?」

「無理無理の無理……。騎士の皆さんだけで神殿に行って、宝珠をここまで持ってきてくださいませんか、ってお願いするレベル……」


カリンちゃんの案を採用ってわけじゃないけど。

山頂の神殿というか、さすがに山の上じゃ、神殿なんて大きなものじゃなくて、祠みたいなモノらしいけど。

その祠まで、先遣隊が向かうことになった。


「とりあえず、青の騎士と白の魔法師数名で、祠まで行ってみます。宝珠が、持ち運びできるようなら、聖女様に祠まで行っていただくのではなく、こちらにお持ちいたします」

「よ、よろしくお願いします……」


ナイジェルさんをリーダーにして、出発して約十日。

ようやくわたしもカリンちゃんも、この山で、比較的まともに動けるようになってきました……。

で、先遣隊として向かった人たちのうち、数名が帰ってきた。


「報告いたします。祠が……。あるはずの場所に行ってもなくなっておりまして……」

「え?」


どういうこと?

まさか、祠に手足が生えて、どこかに移動した……わけじゃないよね。


「溶岩が流れ、それと共に、祠も流されたのではないかというのが、ナイジェル氏の考えで」


えっと、山頂の火口から噴火した溶岩。その溶岩流に流されて、宝玉は祠と共に、流されていった……ということ?


「ナイジェル氏、他の団員たちは、祠を探しに行っております。聖女様ならびにイグニス副団長は、ここではなく、山の中腹のほうの拠点でお待ちいただけないかと」

「……そう、だな。少しでも下れば、アイリス様と聖女様のお体の負担も減る。では、そうしよう」


連絡に来た人たちは、少し休憩するとまた、ナイジェルさんのいる捜索隊のほうへ戻るとのこと。

とりあえず、あと十日ほど捜索をしたら、拠点その一に戻るということだった。


わたしたちはイグニス副団長の指示の下、キャンプを撤収。

山を下るにつれて、体というか呼吸が楽になる。

とりあえず、拠点その一、山の中腹、富士山で言うところの五合目で待つ。

このあたりなら、体調も大丈夫。

うーん、でも、また山の上のほうに上るのなら、体を慣らさないとなーというわけで、五合目から六合目のあたりを登ったり下りたりして、体を鍛えるっていうか、整える。


鍛えた後は、もちろん温泉!

このために生きている!

というほどじゃないけど、お風呂の入れるっていいわー!


そんなわけで、テントレベル6、五右衛門風呂付テント、常設でっす! しかも、二つ。


片方は、わたしとカリンちゃん、マグノリアさんカメリアさんの女子四人専用で使う女子テント。

もう片方が、騎士団の皆さんと魔法師団の皆さんで使ってもらう男子テント。


ふっふっふ。団員の皆さん順番に、お風呂に入ってもらうことにしたの。

最初はみんな「何だこれ⁉ でかい樽に湯が⁉」とかびっくりしていたけど。

一度二度、繰り返して入ってみると「あー……、風呂は良い……」と順番が来るのを首を長くして待つようになった。

指定の人数以上がお風呂に入ると、お湯は循環されなくなってしまうけど、消えてなくなるのではなく、その場に残るから。

残り湯で、お洗濯とかもしているらしい。

ま、男子テントは皆さんで好きに使って下さい。

毎日一回、出し入れしているから、残ったお湯は使いたい放題です。

男子テントはなんか休憩所みたいになっているわー。


探索に出ているナイジェルさんたちには申し訳ないけど。

拠点その一で待機しているわたしたちは、割と気楽に、風呂に浸かって、しっかり食事をとって……になっている。ご、ごめんね!


そして十日後。

もうすごく、ボロボロというか、ものすごく汚れたナイジェルさんたち、捜索隊の皆さんがやってきた。


ナイジェルさんなんか、色っぽいお兄さんはどこ行った的な浮浪者みたいになっている。髭は生えているし、ご面相はいかついし。


「と、とにかく、テントに入って! あ、順番でお風呂に入ってください!」


捜索隊の皆さんが順番にお風呂に入って。それで、お茶とかも飲んでもらって、一息ついてもらった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ