第25話 カリンちゃん、聖女の力の使いかた
「カリンちゃん、聖女の力の使いかたとか、お城で習ってたんだっけ?」
「あ、うん。よく分からないけど、とにかく祈れって。えーと、戻れって感じに」
祈れ……。割とテキトーなのね。
「じゃあ、なおれ~、もどれ~、修復しろーとか、そんなのでいいのかな?」
「わからないけど、とにかくやってみるね」
「うん、任せた!」
カリンちゃんは壊れた宝珠を両手で包むようにして触れて。
それで……目を瞑って、一心に祈っていた。
すると……。真っ白い光が、カリンちゃんの手から溢れて出て。宝珠を包み込んで……。その光が、もっともっと大きくなって、神殿を飲み込むくらいに大きくなって……。
浄化の光って、こういう感じ?
暖かくて、気持ちがいい。
まるで、温泉に浸かっているような感じ。
ふんわりとした気分の中。わたしは何故か幼い頃を思い出していた。
幼稚園に通う直前の時期。優太お兄様と一緒の幼稚園に通うって楽しみにしていたのに、違うって言われて。
わたし、大泣きしたのよ。
「優太お兄様と一緒の幼稚園がいい」って。
でも、優太お兄様は男子幼稚園だったし、わたしが放り込まれたのはお嬢様系女子幼稚園。
幼稚園から帰ったら、ずっと一緒に遊ぼうって優太お兄様が言ってくれて。
お兄様に抱き着いた。
懐かしい思い出。
ああ、わたし、お兄ちゃんっ子だったんだよねえ。
小学校に通っても。
中学生になっても。
優太お兄様にべったり甘えていた。
思い出の甘さに浸っていたら、ふっと、その甘さが途切れた。
カリンちゃんが宝珠から手を離して、へたり込んで。
マグノリアさんとカメリアさんが、左右からカリンちゃんを支えていた。
「大丈夫ですか、聖女様!」
ぐったりとして返事もないカリンちゃん。宝珠はきれいな淡い光を放っていた。
「とにかく運んでっ!」
「はいっ!」
カリンちゃんを青の騎士の皆さんに抱き上げてもらって。
海側までもどる。
えっと……、回復量(中)のほうがいいだろうから、レベル6のテントを出す。カリンちゃんをベッドに寝かせる。
だけど、カリンちゃんはすぐには回復しなかった。
「うーん、回復量(大)とかじゃないとキビシイか……」
わたしがもっとテントのスキルを上げていたらよかった。
そうしたら、一瞬で回復とまではいかないけれど、少しでも早くカリンちゃんを回復させてあげられたのに。
結局カリンちゃんは二日間眠ったままだった。
三日目に目は開けたけど、水とか果物の絞り実とかしか飲めなくて。
一週間経って、ようやくベッドから起き上がって、食事がとれるようになった。
「あー……、お姉様のテントがあってよかった。なかったら死ぬわ……。頭痛がすごかったし……。まだ体が泥みたい……。しんどい……」
げっそりと痩せたカリンちゃん。
「ごめんね、もっとレベルが高かったらすぐに回復……」
「お姉様のせいじゃないっていうか、お姉様がいてくれてホントよかった。地獄に引きずりこまれるくらいの痛みと疲れ具合だった……」
「とにかくカリンちゃんは、完全に回復するまでしばらくテント生活ね」
「うん、そうする……。グダグダごろごろさせて……」
幸いというのか、宝珠がなおったので、結界的な何かが発動したらしい。
もう蛇も出ないし、安全そのもの。
カリンちゃんの体調がすぐにでも元に戻れば。
一緒に南の島で、バカンスができたのかも。暖かな日差しを浴びてのんびり足を海につけて……。
でも、一つ直しただけで、こんなにも体調が悪くなるのなら。
わたしのテントスキル、可及的速やかに回復量をあげないと!
カリンちゃんの入っているレベル6テントだけは固定して、もう一つ出させるもののほうを、出したり引っ込めたりを繰り返した。
でもなかなかレベルアップはしなかった。
うーん、ゲームとかみたいに、初期はガンガンレベルが上がるけど、だんだん上げるスピードが落ちてくる感じなのかな。
回復量(大)になるまではどれくらいかかるんだろう。
あと三つも宝珠は残っているということは、カリンちゃんは少なくともあと三回こんなにも大変な頭痛になる。
わたしのサポート機能、マジでがんばって!
祈りが通じたのかどうなのか。
カリンちゃんが回復した後だけど、テントスキルは上がった。
「具現化スキル『テント』 LV7 回復量(中) 一日に八人分だけ、身体能力や魔力を回復可能。追加備品、簡易ベッド二人分。オプション機能としてつぼ型風呂セットと温泉のお湯(少な目)(循環湯)」
……待って。
つぼ型?
風呂セット?
とにかく、具現化したテントの中に入ってみる。




