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第21話 正直な話。

 正直な話。

 わたしは優太お兄様と結婚がしたくないだけなのよね。

 お兄様は良い人だ。兄として、大好き。

 でも、イマサラ従兄だから結婚はできるなんて言われても、感覚的に無理。

 兄は兄。


 だから、就職して、逃げるつもりでいた。


 可能であれば、大学四年間で優太お兄様以上の素敵な男性と恋に落ちることが出来れば……と、ちょっとは思っていたけど。


 大学では、先輩方や同期の皆様によるカルチャーショックで、恋どころじゃなかったし。


 いや、おもしろかったけど!

 すごく充実していたけど!

 日本のアニメや漫画はホントサイコー!


 お父様とお母様には諦めてもらって、お兄様にはお兄様の好きな人と結婚してもらって、お兄様は養子にでもすればいいでしょう……って、思うんだけど。


 お父様とお母様は、どうしてもわたしとお兄様を結婚させて、優太お兄様と本当の家族になりたいとか願っている。


 無理無理の無理。


 兄弟愛、家族愛と、恋人的な恋愛は違う。


 初恋もまだのわたしに、そんなことを言われても説得力はないかもだけど。


 でもねえ……、優太お兄様の妻となって、夫婦生活あれこれで、子どもを産んで育てるとか……無理。


 だから、わたしとしては、この異世界に転移させられて、ここで暮らすのも吝かじゃない。


 この世界で就職して、定住するのでもいいかなーって思っている。優太お兄様のことはちょっと気がかりだけどね。


 でもカリンちゃんは違う。

 ようやくつかめたモデルの仕事を、いきなり取り上げられたからね。この世界の皆様に対しては、初めから拒絶対応。

 日本に帰るために仕方がないから聖女をやって、宝珠修復までは承諾したのに。


 勝手に、第三王子と婚姻なんて言われたら、そりゃあブチ切れますなーってカンジよねえ。


 まあ、王様も大変よね。

 あと勝手に引き合いに出したイグニス副団長にもあとで謝らないと。


 そのイグニス副団長はと言えば……。壁際で、控えていますね。

 でも耳がちょっと赤い。

 細マッチョ様なのに、愛いなあ……。


 キーファー第三王子のせいで、グタグタになった出立式だけど。


 ま、そこはさすがに一国の王様というべきか。

「聖女が結界を張りなおした後は、その功績を称え、可能な限り望みを叶えよう」とか何とか、まとめてくれた。


 ……可能な限りってつける辺り、さすが王様だけどね。


 真っ白に燃え尽きた感のキーファー第三王子もさりげなーく控室に押し込んでおくよう、王様が指示を出して。


 予定調和のように、聖女様御一行は、出立。


 わたしとカリンちゃんは、侍女代わりの女性騎士の人と一緒の馬車に乗って。

 あー、さすがに長旅にローズとかを連れていくわけにはいかなかったけど、わたしたちのお世話に侍女とかメイドは必要って言われて。

 妥協案として、女性騎士の人を、お付き代わりに連れてきたってカンジ。


 一人は目はマグノリアさん。背が高い。すらっとした体つきの女性。青い髪をポニーテールにしている。


 もう一人はカメリアさん。背は低い。白にオレンジ色が混じる髪の毛を二つ分けの三つ編みにしている。あら、髪の色が誰かと似ている……って、ジョナサン君か。姉弟とか親族とかかな。顔立ちも似ているような……。

 ま、いいか。

 二人とも頼りになりそうな女性騎士様です。


 それから別の馬車には白の魔法師団の皆様は、わたしとカリンちゃんの馬車の前の馬車。

 わたしたちの後ろには、荷馬車。

 青の騎士団の皆様は馬車ではなく、それぞれが馬に騎乗する。


 ひらりっと馬にまたがる様子は格好良くて。


「うわー、騎士の皆様カッコイー」


 なんて、カリンちゃんが言って。

 わたしも「凛々しいですね」と微笑みを向ける。


「ほ、ホントですか!」


 青の騎士の皆様が、馬に乗って、わたしたちの馬車に近寄ってくる。


「ほんとーですよー。騎士様たち、みなさんすっごくカッコイー」


 どうやら騎士や兵士というのは、この国ではモテない職業ナンバーワン・ナンバーツーを争うらしく。

 普段褒められていないのであろう騎士様たちは、嬉しげに頬を染める。

 細マッチョ集団のテレ顔……。推せる……。


「さ、先ほどの出立式の時は、聖女様のお国では、その、俺たちのような騎士がモテるとか……」

「そうですよー。強い男で気配りできる人がモテますからね~。第三王子みたいなナヨナヨした俺様は論外です!」


 わあ、カリンちゃん、言う言う。嘘じゃないけど嘘だよね。

 価値観は色々です。個人的な価値で言うと、わたしとカリンちゃんの好みは割と似ている感じかなあ……。

 歴史上の人物で言うと、


 カリンちゃんの好みは、戦国時代の武将、背が高く弁舌が爽やかで容姿は並ぶものがないという直江兼続だそうです。正統派イケメン武将だね!


 わたしは……、三国志というか、正史のほうじゃなくて演戯のほうのイメージかなあ。美周郎という名の通りイケメンの周瑜が好みです。

 奇才! イケメン! なのに、諸葛亮先生に翻弄されてしまうあたりのショボさがたまりません! あ、褒めているよ!


 なんて、騎士様とはちょっと違うけど、昔の武将とか、中国の英雄とかの話を続けたら。

 青の騎士の皆様は「聖女様の国に生まれれば……」とかすごく悔し気。


 盛り上がりすぎて、イグニス副団長から怒られた……。あわわわ……。

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