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第19話 まあ、いろいろあって、もうすぐ出立式

 まあ、いろいろあって、もうすぐ出立式。

 それまでの期間、カリンちゃんには異世界召喚系のライトノベルのお約束をいろいろと話しておきました。

 悪役令嬢系『ざまぁ』とかもね。

 それから、もし、万が一、キーファー殿下になんか言われたら、それの反論とかに役に立つかなーって。


 ま、究極な話、キーファー殿下がカリンちゃんに近寄るのなら、宝珠なんて知らん!

 ……で、済むと言えば済むんだけど。


 そうすると、日本に帰れないようだから。


 結局、キーファー殿下はカリンちゃんには近寄るな! って、厳命するしかない。

 でも、拒否すれば拒否するほど、思いを募らせるのがストーカー体質の男子……。


 やらかすよね。

 絶対に、やらかすよね。


 戦々恐々。


 カリンちゃんがきっぱりと「キーファー殿下のことは好きじゃない。寧ろ嫌いだから近寄るな」って言ってるのに。

「照れているだけだろう」って自信満々なキーファー殿下。

 ある意味すごいな……。

 ここまで自信過剰ってことは、多分キーファー殿下は今まで女性にモテモテだったのかな。

 より取り見取り、選びたい放題。

 だから、自分からアプローチした女性が断るはずはない。拒否してみせるのは恥ずかしがっているだけとか。そういう思いこみが激しいのかなーって。


 とりあえず、ローズに聞いてみる。


「ねえ、ローズ。キーファー殿下って、女性にモテる? ああ、王族だから云々、性格云々は置いておいて、顔のつくりだけで聞いているんだけど」

「もちろん王族の皆様はそれぞれお美しいですが……、王太子殿下よりは、第二王子殿下、第二王子殿下よりは第三王子殿下のほうが人気は高くございますね」

「やっぱり、顔? フィッツジェラルド神聖王国の美形の基準って、金髪の長い髪に、美少年顔……、ええと女性的っていうか、中性的な顔のつくり?」

「はい」

「じゃあ……たとえばだけど、イグニス副団長みたいな大きくて、男性的で、眼光の鋭い方は……」

「……失礼ながら、恐ろしく思ってしまいますわね」

「あらら……」


 イグニス副団長、イケメンだし、空気読めるいい男なのになあ……。

 もったいない。


「やはり、男性は、神話の女神もかくやと思われるほどの麗しさや嫋やかさが好まれますね……」


 ああ、曜日の名前の……。


「なるほど、だからキーファー第三王子殿下は、自分のお顔に絶対的な自信を持っているのねぇ」

「外見だけを申し上げるのであれば、我が国一番の美貌……でございましょう」


 そうか、一番か……。うーん……。


 ま、あれこれと考えていても仕方がないか。

 旅には第三王子は同行しないってことで話が付いたから……。しばらくは離れていられるしーって思ったのに。


 そうはいかなかった。


 そう、やらかしたのよ。キーファー第三王子殿下が。


 日本とかでもよくサプライズのプロポーズをやらかす人がいるよねえ。

 相思相愛のカップルなら、サプライズも嬉しいとは思うんだけど……。

「サプライズはあまり好きじゃない」という女の人だっているよねえ。


 なのに、キーファー殿下は思っちゃったらしい。

 大勢の前で、大々的にプロポーズをすれば、カリンちゃんだって、喜ぶだろうって……。


 馬鹿かな、殿下。

 それともよっぽど自分に自信があるのかな?


 超が付くほどの美少年から「結婚してくれ」と言われたら、断る女性はいないとでも思っているのかな……。


 自信過剰ですねえ……。


 ま、それはともかく。

 出立式には、当然国王陛下、王妃様、王太子殿下、第二王子殿下、第三王子殿下、それぞれの婚約者、それから、高位貴族の皆様とか、護衛の青の騎士の皆様とか、大勢いらっしゃるんですよね。


 大広間みたいなところっていうか、謁見の間?

 玉座に座っている国王陛下。その玉座までは赤い絨毯が敷かれてある。

 絨毯の左右には大勢の貴族が身分の順に、列になって、立っていて。

 聖女仕様のプリーステスローブを着たカリンちゃんが、絨毯の上を、しずしずと進み一礼。


「聖女の役目を果たします」


 とか言うの。


 やりたくないコトをさせられるのは業腹だけど、しかたがないって妥協。

 修復し終えたら日本に帰してねって、再度、陛下に対してカリンちゃんが言いだそうとしたら……。


 キーファー第三王子がいきなり言ったのよ。


「父上! カリンが宝珠を修復し終えた後は、この俺様とカリンとの婚姻を認めてください! 俺様に相応しいのは聖女たるカリンだけだ! ハリエットとの婚約など破棄する!」


 ハリエットって誰? キーファー殿下の婚約者だったっけ……なんて、突っ込む間もなく。


 カリンちゃんが激怒した。


 必ず、この愚物の第三王子を除かねばならぬと……と思ったかどうかはわからないけど。

 般若みたいな顔になって、国王陛下の返答より早く、叫んだ。


「ふざけるな! ブサイク野郎がっ! 気持ち悪いその顔を、あたしの前に晒すな!」


 あー……、いきなり言っちゃったか。

 やんわりと断るとか、もうできないくらいに激怒。


 いや、いろいろねぇ。話し合ってはいたのよ、キーファー殿下対策を、カリンちゃんと。


 ローズとかにも聞いたけど。

 実は、キーファー殿下って婚約者のご令嬢がいるって。


 だったら、そちらのご令嬢との婚約を破棄なり解消なりしないと、カリンちゃんに大々的にプロポーズはできないよね、だったら、出立式ではやらかさないよね。宝珠を修復して、帰ってきた後が危ないかなーなんて。


 なのに、出立式で、いきなり国王陛下に婚姻の許可申請とは……。

 カリンちゃんがキレても仕方がない。


 だけど、カリンちゃんも言葉が悪いなあ……。

 不敬罪とか言われたらどうするの。

 と思ったけど、カリンちゃん、更にドン!


「キモイ! 近寄るなっ! アンタと結婚するくらいなら、この場で即座に自害するっ! 宝珠なんて、絶対に修復してやるもんか!」


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