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第12話 たまたま……なんとかってアニメの

「たまたま……なんとかってアニメの、なんとかっていうお嬢様キャラと、わたし、そっくりだったみたいで……」

「アニメオタクの人につかまった?」

「うん……」

「それは災難……」


わたしは首を横に振った。


「カルチャーショックだったけど、世の中にはこんな世界があるのねって、わたしの世界は広がった……」

「マジですか、お姉様」

「ライトノベルとか、コラボカフェとか、カラオケでキャラソン熱唱とか。推しの聖地巡礼とか、サバゲーとか。全部が全部わたしの知らない世界……」

「いきなりディープな世界の扉を開いたのね……」

「楽しかった……」

「カルチャーショックを受けつつも、相手の思考を受け入れるお姉様素敵……」

「ありがとう、カリンちゃん……」


楽しい大学生活はあっという間に過ぎた。

永遠に、大学のみんなと遊んでいたかった。


だけど、三年生になり、四年生になり……。


結婚の二文字が重く圧し掛かってきた。


お母様は隙あらば、わたしをブライダルフェアとかに連れて行くし。


世間知らずのまま嫁ぐなんて無理。せめて数年、就職して社会を知ってからにしてほしいって頼み込んで猶予を得たけど。

……お父様の会社に入社して、お兄様の秘書をやりなさいなんて。

また、狭い世界に逆戻りだよ……。


「……お姉様が、就職試験に落ち続けた理由、それじゃないの?」

「え?」

「地元で有名な企業の社長令嬢が、別の会社の就職試験を受けたら、そりゃあ、社長同士の繋がりがあって、お宅の娘さん、うちの会社の試験受けに来ましたよ。でも、お宅の会社に入るんですよねーってならない?」


あ……。なる……わ……。


「き、気がつかなかった……」

「そういう純朴さというか、世間知らずのお嬢様っぷりも、お姉様の良いところ……」


ううう……、無理にほめなくてもいいよカリンちゃん……。


「ああ……。わたし、この世界に召喚してもらってよかった。いや、巻き込まれただけかもしれないけど。とにかく、神に感謝……。この世界に就職……」


両手を胸の前で組んで。実在するかもどうかも分からない神に、わたしは真摯に祈りを捧げたわ……。



とにかく。

色々あったけど、わたし、異世界に召喚されて、しあわせです……って、そんな感じに持っていきたい。


わたしが突然、元の世界からいなくなって、警察沙汰とかになっているかもだけど。

そっちは、今、なんにもできない。

お父様や優太お兄様が心配しているかもだけど。……十年くらいは時間を開けたい。その間に、お父様が諦めて、お兄様も自由恋愛で、好きな人と結婚しててくれれば……って思うんだけど。



どうかな?

望む通りにいくかどうかは分からないけど。


とりあえず、カリンちゃんと一緒にこの世界で生きて働きましょう。


「まあ、よく分からないけど。結果オーライだし、よくわからないテントスキルとやらも、レベルアップするみたいだから。目下、やるところはスキルのレベルを上げることかなー」


一人二人の回復だけじゃきっと足りない。

だって、宝珠を直しに異世界道中。つまり、遠出。旅。

魔法のある世界なんだから、魔物もいるんでしょ?

だったら、回復(小)だけじゃなくて回復(大)までは最低限出来るようにならないと。


あと、ゲームとかアニメでよくあるケアルガ……だったかな。パーティ全体回復も欲しい。戦闘不能になったキャラクターを復活させるリザレクションとかも必須だよね。


あ、旅に出るんなら、いわゆる生活魔法全般も欲しい。お風呂入れないとか、野営とか。そんなときのために浄化魔法! 

それから、結界的な感じのも……なんて、あれこれほしいものはあるけど。


スキル『テント』ってそこまでできるのかなあ……。

どうなんだろう。

とにかく、スキルアップが課題よね……。


神様、もしもいらっしゃるのなら、どうぞよろしく。


それから、大学の先輩たち、同期の皆様にも感謝を!


異世界に召喚される前に、いろんなファンタジックな知識を教えてくれてありがとう!


魔王討伐でも結界展開でも、知識だけは豊富になった……って、あ……。


「聖女様の宝珠修復の旅に同行。つまり、長時間の馬車の旅? それとも歩き?」


今ここにいる中で、詳細を知っていそうなのは……。


「イグニス副団長。宝珠の場所とか、だいたいでいいので教えてください。場所が言えない場合なら、そこまでの交通手段でもいいです。馬車なのか馬なのか、徒歩なのか。それが知りたいんです」

「はい、馬車が通れる道があるところは馬車で。そうでない場合は、我ら騎士団の馬に同乗していただきます。馬の入れない場所もありますので、その際は歩きとなりますが……」

「わかった、ありがとう。ということは、わたしもカリンちゃんも、山道とか足場の悪いところとかを歩けるだけの体力と筋力が必要ってことね」


ライトノベルとかで、聖女様や王女様がダンジョンの最下層まで、魔王を倒しに行くとかよくあるけど。

体力、どうなっているのかなあって疑問だったものね。

それまで神殿の奥で神様に祈っている生活の聖女様が、いきなり徒歩の冒険とか、ダンジョン攻略とか。無茶でしょってカンジだったもの。

筋力トレーニングと体力の向上は必須。


「もう一つ質問。この世界のお嬢様が、騎士団に混ざって稽古とか、この国では可能? それとも常識外?」

「は?」


イグニス副団長も、ローズたちも。みんな「何を言い出したんだ」みたいな顔になっている。

やっぱり常識外だったか……。


「じゃ、貴族のご令嬢はどうやって体力を維持しているの? 健康のための運動なんて、やらない?」


イグニス副団長よりもローズのほうが知っているかなと思って、ローズを見た。


「そう……で、ございますね。お嬢様がたは……、部屋で刺繍ですとか、読書ですとか……。お庭を散歩ですとか……」

「散歩程度? 体力つかなさそう」


散歩も三時間とか四時間とか、長時間やればいいのかな……。それしか手段はないかな?


「ああ、それから、ダンスレッスンは必須でございますね」

「ダンスっ!」

「夜会などで、踊る機会も多くございますから」

「それだっ! それでいこう!」


テントスキルはどうやってアップできるのかどうか分からない。

だったらできることは体力増強。

宝珠がある場所まで歩ける体力と筋力。

そして、もしも魔物とかが出たら、走って逃げるだけの体力と筋力。


ファンタジーな世界で生き延びるには、身体能力のアップが必須だと思うんだ……。




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