英雄屋敷での暮らし(2日目、3日目)
2日目
衝撃的な入居から数日が経過した。正直私はまだこの屋敷の雰囲気に慣れていない。
なぜなら、屋敷に住む先輩たちは私たちの予想とは大きく違ったからだ。
メンバーはみんな十代から二十代くらいの見た目をしている。どうやら若くして死んだ私たちだけでなく、天国ではほとんどの者が若いころの姿になるらしい。
そこまではまだいい。問題は先輩たちの雰囲気だ。
屋敷全体が男性のほうが多いということもあるだろうが、食事時がとにかく騒がしい。皆でカードゲームをしたり、夕食のおかずのつまみ食いで怒られたり。なんというかすごく子供っぽい。
さらに言うと今現在この屋敷に二人いるという女性の先輩は、それぞれ旅行に行っていて不在らしい。おかげで男性の先輩に話しかけられる中で少しずつ順応している弟と違い、私は話しかけてくれる先輩にいまいち心を開けずにいた。
3日目
今日は私の心持ちが大きく変わった日。
不在だった女性の先輩二人が早朝屋敷に帰ってきたのだ。
朝起きてすぐに食堂で軽く自己紹介をする。黒髪でクールな雰囲気のライカ先輩。緑髪でお姉さん感あふれるソフィア先輩。部屋に戻った少しあとに二人の先輩は私の部屋を訪ねてきた。
「セイラちゃんどう? 屋敷生活慣れてきた?」
「ソフィア先輩。いえ、予想と違いすぎてまだ戸惑ってます」
「まあそうだよね。私も初めはびっくりしたよ。英雄って聞くから死後も修行してる連中ばかりなんじゃないかって思ってたから。でもだんだんと私もみんなで遊ぶのが楽しくなってきてさ。だからセイラも少しずつ慣れていけばいいよ」
「そうそう! なにか困ったことがあったら遠慮なくいって頂戴!」
その言葉に私の心は安心感でいっぱいになった。結局その日はずっと二人とおしゃべりして、寝る前も女子会をしてから一緒に寝た。
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