英雄屋敷での暮らし(2日目、3日目)
二日目
衝撃的な入居から一日が経過した。正直私はまだ状況を飲み込めてない。
なぜなら、屋敷に住む先輩たちは私たちの予想とは大きく違ったからだ。
メンバーはみんな十代から二十代くらいの見た目をしている。どうやら若くして死んだ私たちだけでなく、天国ではほとんどの者が若いころの姿になるらしい。
そしてほとんどの人が剣と魔法が当たり前に存在する世界から来ており、みんなが当たり前のように魔法を使って武器も持っている。
そこまでは大した問題ではない。問題は先輩たちの行動だ。
まず屋敷の男女比率が七対三で、かつ現在女性の先輩二人が旅行に行っていて明日までいないこと。そして男性のほうが多いということもあって本当に騒がしい。なにより些細な言い争いでも当たり前のように武器を持ち、外へ出て戦いを始めるのだ。
先輩方は手抜きなしの本気バトルでどちらかがダウンするまで戦い、決着がついたら癒しの魔法で傷を回復し屋敷へ戻ってくる。そしてそれが一日に三回以上は起きている。
正直武器で人を傷つけることに抵抗がある私には受け入れがたいことだ。
対してノアは始めこそ戸惑っていたが、少しずつ先輩方の喧嘩を興味深そうに窓から見るようになっていた。そのうえ
「僕もちょっと混ざってみたいけど、僕の能力はあまり普通の人には使いたくないな……。というかここでも僕の能力って使えるのかな」
とか言っている。
ノアは人と喧嘩するようなタイプでも血の気が多いタイプでもないが、巻き込まれないか心配だ。そして明日帰ってくるという女性の先輩も同じような感じだったらと不安になった。
私は静かに平和に暮らしたいのに……どうしたらいいのだろうか。
三日目
今日は女性の先輩二人が屋敷に帰ってきた。
男性の先輩たちと同じで、豪快で喧嘩っ早い人たちだったらどうしようという私の心配は、いい意味で裏切られた。
女性の先輩二人はとても穏やかに私に接してくれた。
黒髪でクールな雰囲気のライカ先輩。緑髪で精霊のような美しさを持つソフィア先輩。私が素直にこの屋敷の雰囲気に戸惑っていることを話すと、二人はこう言ってくれた。
「やっぱそうだよね。あいつらうるさいよね。まあ私も入居当初は戸惑ったけど、今はもう慣れちゃった。別に本気で殺し合いしてるわけじゃないから、止めなくてもいいと思うし」
「私もライカちゃんと一緒で、彼らなりのコミュニケーションだろうと思って止めてないわ。でも静かに暮らしたいっていうセイラちゃんの思いも分かる。だから私たちも頻繁に屋敷をでて旅行してるの」
そうして先輩方の旅行先の思い出話を聞いている間は、外の騒音なんて全然気にならないくらいに集中していた。そしてとても盛り上がって楽しかった。
それから先輩方は、明日町を巡って私のお気に入りの場所を見つけようと誘ってくれた。私の心は屋敷に入る前と同じようにわくわくでいっぱいになった。
読んでくださりありがとうございます。




