天国での目覚め(0日目、1日目)
全六回に分けて投稿します。これは一回目です。
0日目
私は真っ白な部屋で目覚めた。周りには何人か人が寝転がっていて、正面には金色の扉があった。ほどなくして隣で寝ていた弟が目覚めた。
私はなぜ自分がここにいるのか思い出そうとする。そうして思い浮かんだ光景から、私はここが天国かもしれないと予想した。それを弟に伝え恐る恐る金色の扉を開けた。
扉の先はだだっ広い空間で、案の定というかたくさんの天使がいた。天使たちの前には大勢の人が並んでいて、いくつかの問答のあと、天使の後ろにある魔法陣にはいってどこかへ消えていく。
私たちはそれにならって近くの列に並ぼうとした。すると上から声をかけられて他の天使よりも豪華な格好をした天使が舞い降りてきた。
「あなたがた姉弟は出身国で英雄と呼ばれた者ですよね。二人には相応の場所が用意されています」
私たちはその天使に案内され別室へ通された。
その天使によると、この天国では魔法のある世界、工業が発展している世界、海が存在しない世界など、ありとあらゆる世界から死者がやってくるらしい。
さきほどの列の中に明らかに人外っぽい者も並んでいたので、人間ではない者もここに集められるようだ。
そして私たちは明日、各々の出身世界で英雄や救世主と謳われた者だけがいける屋敷へと案内されるらしい。拒否権はないようなので私たちはそれに従った。
1日目
私たちは天使に案内され、大きな屋敷の前まで来た。ここに連れてくるなり天使は
「入りたい時にお入りください。この周辺には町もあるので、先にそちらを見て回っても構いませんよ」
と言って私たちに地図を渡して去っていった。
私たちは今日からここで天国生活を送ることになる。けれども世界の英雄が集まると聞いて私たちは不安でいっぱいだった。
英雄と呼ばれる人たちなのだから、きっと威厳があって厳格な雰囲気なのだろうと私は思っていた。
それは弟も同じで私たちのような若者は場違いになるんじゃないかと恐れていた。
意を決して扉をたたく。ほどなくして扉が開き青髪の男性が顔を出した。すると
「ちょ、お前それはずるだろ! 同じカード重ねて出すなよ!」
「えー? このルールブックには二枚だしありって書いてますけどー?」
「くそ、俺が買ってきたやつと違う! ローカルルールってやつなのか!?」
と屋敷の奥のほうから何やら騒がしい声が聞こえてきた。
「おいお前ら! 新人が来たってのに騒いでんじゃねえぞ! あーすいませんね。ほんとあいつらいつもうるさくて。とりあえず屋敷へようこそ。おい! お前らも挨拶しにこい!」
あまりにも想定外で、私たちはその日ただ戸惑うことしか出来なかった。
こんにちは、灰根さやかです。
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