ロールアウトフロムザリアル(その4)
近所の公園である。学校でゲームを堂々とやるわけにもいかず、流れでここまでたどり着いてしまった。
「それじゃあ始めよっか。スマホ持ってるよね。」
「あ、はい。」
「それじゃあ、wotbをダウンロードして、ウォ―ゲイミングアカウントを登録して。」
「ダウンロードは時間がかかるみたいですね。」
「まあ、凝ってるゲームだからね。」
今こそ、今朝のファイルを返す時、頑張れ私。
「あの、これ。」
「あれ、どうしてそのファイル持ってるの。家に置いて来ちゃった思ってたのに。」
「実は今朝、落としたのを拾ったんだけど、声かけそこなっちゃって。」
「なんだそうだったんだ、拾ってくれてありがとう。って、一枚濡れちゃってる。」
「ええ、ごめんなさい。水たまりに落ちちゃったのかな。」
「まあ、仕方ないよ。それにしてもStrv m/42か、渋いのを引いたね。」
「ストリッツヴァン エム フュルティトヴォ?」
「ああ、戦車の名前だよ。スウェーデンのね。」
「名前と言えば、まだ、自己紹介してなかったね。」
「朝、クラスでしたじゃん。」
「うぐ、ごめん。てんぱってて覚えてないや。」
「仕方がないなぁ。私の名前は戸田明。これからよろしくね。カオリン。」
「カオリン?なんか恥ずかしいなぁ。あの、これからよろしくね。戸田さん。」
「戸田さん?かたいよ。なんかあだ名付けてよ。」
「それじゃあ、明さんだからアカリンで。」
「かぶっちゃってるね。まあいいか。よろしくね!」