花になりたい
花になりたい
花になりたい
鳥になりたい
魚になりたい
蝶々になりたい
トンボになりたい
木になりたい
山になりたい
空になりたい
雲になりたい
風になりたい
海になりたい
なりたい
なりたい
なりたい
自分から抜け出して
他のものになれたなら
どんないいことがあるのだろう
なれないものになりたいと
人だけが望む
生きている
生きている
生きている
生きるために生きている
人は心のどこかで
そんなふうに一途に生きているものたちに
心を奪われる
花が花であるように
鳥が鳥であるように
魚が魚であるように
蝶々が蝶々であるように
トンボがトンボであるように
木が木であるように
山が山であるように
空が空であるように
雲が雲であるように
風が風であるように
海が海であるように
あんなふうになりたい
こんなふうになりたい
あれになりたい
これになりたい
は、もうやめよう
自分は自分でしかないし
自分が自分でない自分を想像できないし
自分が自分でなくなるのはやっぱり嫌だ
自分がどんな人間かなんて
自分でさえもはっきりとわからないのに
2センチ四方の箱の中に閉じ込めないでほしい
まだ芽を出したばかりの苗で
やっと2葉が広がっただけ
どんな葉を実らせ
どのぐらいの背丈になり
どんな花で、何色で、
どんな香りをして
どんな蝶や蜂を惹きつけて
どのぐらいの生命があるのか
何にもわかっていない
決めつけるのはよして
自分がどんな人間なのか
自分がどんな人間になっていくのか
自分で決めさせて
あなたの好きな色にはならないかもしれない
あなたの好きな形の花にならないかもしれない
あなたの好む香りを出せないかもしれない
あなたの望む花にはならないかもしれない
自分のうちにある
小さな小さな秘められた謎に
自分自身で挑戦し
そして知っていく
バラや牡丹にはなれないかもしれない
川縁のシロツメグサでもいい
暖かな大地の香り、蜂や蝶々が群がり寄ってくる
手が届きそうなぐらい近い真っ青な空
心も体も何からも縛られず
私は私になりたい
花が花であるように