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13話 戦いの始まり

 フェリーシアは繋げた回線で皆に話しかけた。

「皆さん、統括チーム長のフェリーシアです。さきほど神仙峯より戻りました。これより私が指揮を執ります」


 一呼吸入れて、一気に話し始めた。

「皆さんもご存知のように、隠遁者たちは経済テロという形で国家転覆を図ろうとしています。政府通貨暴落の話は聞いていると思います。ゲズル長官とも話しましたが、彼らは政府通貨の信用を貶め、金による新たな経済体制を目指しているという有力な仮説を立てました。これは金と政府との信用の争いです。どちらがより信頼できるかという戦いです。そこで思い出してほしいのですが、Mrが利己主義やミーイズムを普及させようとしていました。そしてベルフォンヌ元議員やライアン・R.C.元知事は、金を大量に保有していました。政府通貨はある意味、電子上の数字にすぎませんが、金は目に見える形ある資産になります。他人を蹴落としてでも富を得たい人たちは、政府通貨の価値が落ちた今、金は喉から手が出るほどほしい物に違いありません。またすでに金を持っている人は、暴利をむさぼるにこの上ない好機と見ているはずです。こういう状況を作り出している隠遁者たちは、この機に乗じ、何としても政府通貨の上に金を位置付けたいに違いありません。そうすれば地域通貨も手中に収められる」

 フェリーシアが一方的に話しているだけだったが、パネルの向こうにいる捜査員たちの緊張がフェリーシアにも伝わってきていた。

「サイバー班を立ち上げ、これからネットで流れるであろうデマを封じ込めます。その他、できる限り後手に回らぬよう手を打ちます。皆さんも同じ班で密に連絡を取り合って、先ほど話した、隠遁者たちの意図に順ずるような動きは少しも見逃さないようにしてください。もし何かあれば必ずこちらに連絡してください。これからは信頼の絆の強い方が勝ちに近づいていきます」

 最後、フェリーシアは力を込めて言った。

「エイマリアの平和は皆さんの手にかかっています。力でなく信頼で勝ち取るのです。私たちは利己主義には負けない、ここからが本番です、頑張りましょう!」

 フェリーシアは通信を切った。


 ベインはサイバー班を立ち上げ、政府の信用を貶めるデマはないか、それと同時に政府はしっかりしていると印象付けるような宣伝やニュースを、積極的に流していった。

 そしてヨハンたちのチームは、金採掘業者の一斉査察に入った。これは刑事罰をかけられるので、現地の警察局と合同で大規模に行われた。

 

 一般生活の現場は依然として混乱していた。ジムヨーク州の品物不足は深刻で、不安から住民たちの避難が始まり出した。また、ジムヨークだけでなく他の州でも、流通マヒが起こっているという報告が相次いだ。報道ではそういう現地の様子を伝え、ジムヨークからの避難者たちが親類縁者のいる地方都市へと移動する様子が映し出されている。ある地域では電力供給が止まったという報道も出た。


 フェリーシアは国王に、まず食料の自給自足できていない州への食料供給を整えてほしいと頼んだ。

 国王はすでに、状況説明と打破のために連邦議会の招集をかけていたので、そこで具体的に策を立て実行すると約束をした。


 フェリーシアは、見えない敵とがっぷりよつを組んだ状態だった。向こうは満を持して政府通貨の放出を開始したのだろうか、それとも金採掘業者の二重帳簿がばれたことを知って、やむなく計画を開始したのだろうか。

 どちらにしても、この国の経済分野での管理や分析が手薄だったことにうまくつけ込まれた形となった。これがR.C.の昔のやり方だったのだろうか。

 フェリーシアは、今までとは違う形での敵との戦いに不安と戸惑いを覚えつつ、こうやって国民を不安に陥れる隠遁者たちの陰湿なやり方に強い怒りを感じていた。

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