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10話 温室の賢者たち

 海を見下ろせる丘の上に温室があった。多種多様な植物が管理栽培されているこの温室の地下には、レーダーに検出されない防御壁に守られた空間が広がっている。設備はまるで小型要塞のようだ。メインルームには、数十枚のパネルが何らかの秩序を持って乱立し、経済から軍事まで多方面にわたる情報を映し出している。その隣の部屋では、個室を与えられているハッカーたちが、目の前に並んだパネルとコントロールボードをいじっていた。


 奥の応接室では、老齢の男たちがソファに座り、目の前のモニターに映っている人物と会話をしていた。

「何だと、採掘会社に査察が入るだと!」

 一番手前に座っていた男が声を上げた。

「はい、ただ今、Zから連絡が入りました。近いうちに、採掘事業者への査察を予定しているそうです」

「なっ、なぜだ! 金採掘の情報が漏れたのは、どこからだ!」

「Zによりますと、ベルフォンヌの息子ヨハンが捜査チームにいるらしく、彼が金の動きを追うよう指示を出しているとのことです」

 それを聞いて奥に座っていた老人が言った。

「ヨハン、、、ああ、あの若者か。ベルフォンヌは、あの息子に寝首を取られたのではなかったか、、彼は優秀なのだね」

「はあ、よくは存じないのですが、巡視チームは彼を重宝がって使っています」

「そうか、、。ベルフォンヌに任せず、我々が直に彼に接すればよかったかな」

 その老人は他の者とは違い、焦りを見せることもなく静かにそうつぶやいた。

「金の出所を抑えられると足がついてしまうだろう、、。しかたない、まだ時期早々ではあるが作戦を実行しなさい」

「えっ、はっ、よろしいので?」

「仕方なかろう。しかし、その間に金からの足跡はすべて消しなさい」

 そこにいた皆が顔を見合わせたが、彼の言葉は絶対のようだった。


 モニター先の人物は言った。

「承知しました。では実行に移します」

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