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9話 経済麻痺

 国王は執務室で画面越しにベインからの報告を受けていた。やっと一筋の糸が下りて来たように思えた。


「緊急の査察人員は財務省の方から割くから心配するな。ヨハンに説明をしてもらえれば、おそらくデータ改竄も的確に探し当てるだろう。ヨハンたちにはあともう少し頑張ってくれるよう伝えてくれ」

「はい、陛下、そのようにお伝えいたします」

 ベインがそう答えたと同時に、他の通信ラインが急に立ち上がった。ジムヨークの連邦議員からだった。


「国王、急いでお知らせしたいことがあります」

「どうしました、緊急ラインを立ち上げての連絡とは、、」

 画面の向こうの議員は焦った顔をしている。

「はい、それが、、2、3日前からジムヨークに物品が入ってこなくなりました」

「はっ、それはどういうことですか?」

 国王はまた嫌な予感がしてきた。

「2、3日前より市中のマーケットから品切れ続出というニュースや報告がありまして、、それが、どうも、一時的なものでないようなのです。知事代理が情報収集をしていますが、、州外からの物品が届いておらず、流通がストップしているのです」

「それは、ジムヨーク州単独では解決できない案件ということですか」

「はい。なぜ物品が州内に入ってこないのか、原因を突き止めていますが、知事代理の方からは個々の件数が多すぎて時間がかかりそうだとの返事で、、これは先に、国王に報告申し上げた方がよいと思い、私の独断でご連絡しました」


 国王は腕を組み唸った。今、この大事な時に、なぜこのようなことが起こるのだろうか。担当は経済省だが、場合によっては財務省からも人を割かなくてはいけない。ここに来て、経済関連の問題が噴出している。


「わかりました。他の州にも確認を入れてみましょう。ジムヨーク州のみの現象でしたら、そこに特化した方法を取らないといけないでしょうし、そうでなかったら、、、また違う手を打たないといけないでしょう」

「はい、、わかりました。どうぞよろしくお願いします」


「ベイン、聞いたか」

「はい、聞いておりました」

「ジムヨークに残っている巡視メンバーに、一応確認を取ってみてくれ」

「承知しました」

「それから、先ほどの採掘業者の案件は最優先事項だ。ただタイミングを見計らって行う。準備は進めておくように」

「はい。陛下」

 そう言って、通信は切れた。

 国王は複数の担当長官に連絡した後、全長官たちを招集し緊急会議を開いた。


 会議の場でゲズル長官は青くなっていた。金採掘の改竄問題は財務省の大きなミスだ。そして今は、それよりも大きな問題が噴出した。

「というと、ここ一日二日で、そんなに政府通貨の価値が下がったというのか」

 国王は今まで見たこともないような不機嫌な顔になった。

「は、はい。今までこんなことは一度もなかったのですが、、政府通貨の価値が下がり、そ、それに引っ張られて、地域通貨の価値も、下がっています」

「原因は何なんだ」

「ただいま、調査中ですが、、か、考えられることは、政府通貨の過剰発行か、、もしくは該当地域で、、何か違う通貨のようなものが、、流通し出しているのか、、、」

「どっちの可能性が高いのだ」

「今は、、まだ、、何とも、言えません。申し訳ございません」

「ふむ」

 国王は唸った。これが、ジムヨーク州で品切れを生み出している原因として考えられることだという。ジムヨーク州政府から連邦政府の担当省にはすでに連絡は来ていた。

 もし原因が前者の場合、他の州にも波及する。州間の流通が滞り、それほど時間をかけず他の州でも、輸入の多い州は物品不足が起こる。買占めや、、最悪の場合、暴動などが予想される。後者の場合は、ハッカーによるものになるが、、これこそ地下組織が州当局に気づかれないように準備を進め、いきなり事に至ったとも考えられる。どちらにしろ、国王は胸騒ぎがしていた。目に見えない大きな嵐がやって来る。


 国王は会議が終わると執務室でなく、書斎に入った。お茶を運んでくれるよう頼み、フォーエンを呼んだ。

「陛下、お呼びでございましょうか」

「ああ、。とうとう、、あちこちで火の粉が上がり始めた。話は聞いているか」

「はい、大体のことは」


 国王は、渋い表情で宙を見ていた。そして、お茶を一口飲んで言った。

「フェリーシアを呼び戻す。至急、迎えを神仙峯にやってくれ」

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