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28話 神仙峯へ

 結団式は、1階、連邦議会議事場横の大会議室で行われた。

 突然の招集で全員が集まっているわけではないが、それでも主要メンバーは集合していた。

 会場の後ろの方に、巡視チームメンバーが並び、前方に連邦警察局メンバーがズラリと並んでいる。その横に、ジムヨークですでに顔なじみになっているメンバーが数名かたまっていた。


 中央の演説台には、最初から国王が立った。

「諸君、今日は、急な招集に応じてくれて心から感謝する。昨日の会見で明らかにした通り、今、この国は革命以来の重大な岐路に立たさせている。昔の混沌とした世界に戻るのか、今の平和な世界を維持するのか。私は是が非にでも、隠遁者たちを法廷に引きずり出したいと思っている。相手は老練で知略に長けた者たちだ。今回の連続爆破事件は、下部組織の軽率な愚行にすぎない。本丸は法を遵守しつつ影響力を広めているだろう。逮捕という手段では難しいかもしれない。しかし利己主義の旗印を掲げ、他人を貶める手法には、どこかに絶対穴があるはずだ。その延長線上に今回の逮捕者たちはいる。そのため、挙国一致の捜査チームを編成した。連邦警察局メンバー、爆破事件を担当し犯人検挙までをしてくれたジムヨーク州警察局メンバー、そして半年前より調査活動をしていた巡視チームだ」

 国王はここまで一気にまくし立てた。集まったメンバーたちは、身動き一つせず一心に聞いている。彼らも昨日の国王の会見を見て、胸を痛め、国王のためにと万丈の気を吐く勢いで集まっていた。皆の目にはやる気と力がみなぎっている。


「まず、この合同チームの責任者だが、適任者がいるので、私はその人物を推薦したい」

 国王はそう言って、壁際に並んで立っているうちの一人を呼んだ。呼ばれたフェリーシアは、演説台に向かった。巡視チームはもちろん、ジムヨーク州警察局メンバーも、今や彼女の顔を知らない者はいない。


「ただいまご指名にあずかりました、フェリーシア・ロッキーチャックです。今回、故あり、ジムヨークでの捜査に加わっていました」

 ジムヨーク州警察局メンバーは、誇らしげに彼女を見上げている。

「爆破事件捜査中、監禁事件が発生し、洗脳活動が何年も前から行われていたことを、知るに至りました。平和な国だとばかり思っていた我が国で、このようなおぞましい蛮行が行われていたことに、強い怒りを覚えます。そして、それと同時に今まで気づけなかったことに対し、悔しさと腹立たしさを感じています」


 フェリーシアは、ジムヨーク州警察局メンバーを見た。

「ほんの数日前まで一緒に捜査をしてくれたジムヨーク州の優秀な警察当局の皆さん、再び一緒に捜査できることを心から嬉しく思います」

 ジムヨーク州警察局メンバーは身に余る光栄とばかりに、力強い敬礼を返した。


「そして、連邦警察局の皆さん、あなた方がいなければ、全国規模に広がっている隠遁者たちを追い詰めることはできません。皆さんには、目一杯働いていただきます」

 フェリーシアのゲキにあてられ、彼らはうなづいた。


「そして最後に、巡視チームの皆さん、皆さんは今まで地道な調査を続け情報を集めてくれました。人知れず働き、公僕として勤めを果たしてくれていたこと、、、私は感謝と尊敬の念を禁じ得ません。ありがとう」

 巡視チームの中には、目頭が熱くなりうつむく者もいた。


「私たちは、今一つのチームになります。お互い同士リスペクトし、心を一つにすれば、50年前の生き残りたちが、たとえ今、巨大な怪物になっていたとしても、このチームはびくともしません。怪物の息の根を止めることができるでしょう。我々は、絶対怪物には負けません! 皆さん、共にこの国を、旧時代の怪物から守り抜きましょう!」

「おおーう!」「おーう!!」「おおーー!」

 それぞれが雄たけびを上げた。

 フェリーシアは皆の気合の入った姿に目を輝かせ、演説台を離れた。


 国王が再び演説台に上った。

「フェリーシアはこれから、この国の平和とチームの成功を祈願するため、神仙峯に行く。そのため、ここに老師様まで来ていらっしゃる」

 会場からは「ええ、」という低い驚きの声がもれた。

 国王は壁際に目をやった。リルネの横に立っている老師は、わざわざ軽く手を上げて笑顔で皆の驚きを受け止めた。神仙峯は聖地、こちらからお参りすることはあっても、向こうから聖者様が来られることはない。


「フェリーシアが戻るまでは巡視チームから仮のチーム長を立てる。時間がないのでフェリーシアにはこれで出発してもらうが、皆も、気を引き締め任務にあたってくれるよう、願う」

 会場からは、敬礼の動作音が一斉に響き渡り、誰もが身の引き締まる思いで結団式を終えた。



「さて、これで一段落。出発じゃの」

 老師は楽しそうに言った。

 リルネは、かなりノリのいい老人だなと、、心中、老師の株が上がっていた。


「老師様、捜査のご報告も適時しようと思っています。老師様に置かれましても、お心に留めていただければと思います」

「もちろんじゃとも。わしもよい経験をさせてもらっている」


 国王はフェリーシアを見た。

「フェリーシア、元気に行っておいで。君のあの挨拶を、、私は忘れないよ」

「はい、お父様。行ってまいります。お父様も、、あまり無理はなさらないように」

 国王はうなづいて、部屋を出て行った。



 3人は国王の用意したセスナで神仙峯に向かう。

 リルネとって、エイマリアでは散々なことが多かったが、今はこうして、隣にフェリーシアがいてくれることに、、まずは安心し、そして、、うれしかった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

第3章は終わりです。

1か月を目途に、最終章スタートとなる予定です。

どうぞまた、お付き合いください。

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