24話 喜びと慰労の握手
弁競演会のあとの騒ぎは大変なものだった。黒コートの人物を探そうと人々はやっきになり、会場のすべての出入口は人だかりとなった。誰も外へ出ようとしないので、中にいた人たちは缶詰状態になってしまった。
教皇そして国王たちも外へ出られず、兵士に守られながら裏門を通って外へと出た。
リルネはバーグたちと一緒に宿に戻ってきた。フェリーシアもほとんど同時に宿に戻った。
「よくやったわね! あなたの演説、素敵だったわよ」
フェリーシアは部屋へ入るなり、リルネに向かって言った。
「すご~く、楽しかった! でも、ウスンサーリさんがいい人で本当よかった。私、レフトゥルさんの擁護ばかりしてしまったから」
「ううん、あれはもう、二人の弁競演会ではなくなってたわよ。二人の間ではノーサイドになったんじゃないかしら。それにしても、よくレフトゥルに花を持たせるようにうまく持って行けたわね」
「そうね、、教皇があんなわかりやすいことをしてくれたから、結構やりやすかったの」
リルネは笑った。
本人は大そうなことをしたという自覚はないらしい。少しずつ部屋に戻ってきているエッジスタートの間者メンバーは、興奮気味に二人を見ている。
「フェリーシア様、リルネ様、本当にありがとうございました。大祝祭が戦争の始まりになるのではないかと、この数週間、本当に暗い思いでおりました。しかし痛快なほどに教皇とフレンクランの陰謀を食い止めることができました」
バーグがそう言うと、寡黙なマーチンも口を開いた。
「私はまだ興奮が納まりません」
彼はずっとリルネの横で彼女の身を守りながら、その演説中、聴衆がリルネの言葉に呼応して一気にレフトゥルへと流れが変わるのを肌で感じていた。その時感じた高揚感が抜けないのだった。
「皆さん、ありがとう。白バラを集めるなんて大変だったでしょう。皆さんのおかげです。白バラがなければ、私はただの闖入者ですから」
リルネの後ろに立っていたフェリーシアは彼女の肩に手を置き、そのまま後ろから抱きしめた。急に抱きしめられたリルネは一瞬びっくりしたが、すぐに体の力を抜いた。フェリーシアはそのままリルネの肩越しに右腕を伸ばして、前にいるバーグと握手をした。バーグはフェリーシアと握手をし、次にリルネとも握手をした。そうやってフェリーシアとリルネは、そこにいたメンバー全員と、喜びと慰労の握手を交わしたのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
これで第一章は終了です。
次は、短いエッジスタートの章をはさんで、新大陸の章が始まります。
1、2週間後にエッジスタートの章、1ヶ月後に新大陸の章をアップしたいと思っています。
また遊びに来てください。




