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夢の中の少女の話



少女は言った。






何かはわからないんだけど


それを想おうとすると

心が痛むよ


悲しいみたいな 苦しいみたいな 切ないみたいな


でもそれは、とても愛おしいものなの



たぶんそれは何処にもなくて

刹那で儚くて掴めないものなんだけど


それを想うことでわたしは痛くて

これが生きることなんだなって思う



痛いって感じるから

ああわたし生きてるなってわかるのよ




すごく、幸せなの。



届いたら、その瞬間しあわせって終わるでしょ



だから、届かないで


それを想って痛みを感じ続けられることのほうが

幸せなんだと思うの




あなたと一緒に行ったら

たくさんの人と楽しい時を過ごせるかもしれない



でもわたしは変わっていくでしょう



笑って、


温かで気怠いしあわせの中に埋もれて

この痛みを忘れてしまう


それはすごくこわいの



わたしはずっとここにいたいから

ずっとこの気持ちを感じていたいから



胸が締め付けられるような、愛おしい


この痛みを。






彼女は



強がっているわけでもなくて、

偽っているわけでもなくて、

一人ぼっちではないみたいだった



瞳はどこか寂しさと切なさを湛えているのに



僕の知っているしあわせとは、ちょっと違うものだけど

それでも彼女は幸せなのだ



彼女が生きている証であるという、

痛みを抱きしめて生きていくのだ






しあわせになんかならないほうが

ずっと幸せだとおもうわ



そう言って、彼女は初めて少し笑った








お読みいただきありがとうございました。

むかしの創作メモから引っ張り出してくるシリーズです。


次部分と呼応している、ともいえるものであり、次を載せるためにこちらも載せました。

次部分は、本当はとある春企画に出したかったもののメモです。余裕がなくて、泣く泣く頓挫……


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