埃舞う、あの光の下
薄暗い四角の中。
埃舞う、あの光の下で。
あなたは、歌っていた。
笑っていた。
通りには小雨
天気なんて瑣末なこと、忘れていたから
フードを被って、人の波を縫って
霞朧に靆く頃
たぶん寒かったと思うけど、あまり覚えていない
どくんと伝う心臓の音
Prologueの一音
流れ出る赤
今だけは皆、この箱の中の血液
バラードでもないのに、既に鼻の奥は海の味
夏の夜に連れ出されて
世界から人がいなくなる
目をひらいたまま、夢をみている
みんなみんな、あなたをみてる
音にあわせて色彩を変える照明も
拍手と一緒に零れそうな、プラスチックグラスの液体も
みんなみんな、ゆらゆらしてる
わたしの預かり知らない 電気信号の仕組み
通して触れたあなたが 人間の形をして
生きてた ほんとに
偏愛 恥ずかしい? でも、
あなたが楽しそうに笑うから
もう全部全部どうでもいいの
雨と煙と微かなアルコール
グラスがかいた汗の生温さ
耳元で囁く声 甘く 苦く
振動
浮遊する
目を閉じそうになって 慌てて瞼に指令を送る
勿体無い
音も光も匂いも味も手触りも
何も感じられない
脳みそがぐらぐらして 心がどっか飛んでいった
終わらないで
息を吸って、吐いて
空気を震わせて
手の中にある世界を
生きる証を 吐き出して
ただそれを、愛することができる
ああわたしはまだ、生きている
薄暗い、小さな世界の真ん中。
あなたは歌っていた。
笑っていた。
わたしは見つめていた。
泣いていた。
埃舞う、あの光の下。
お読みいただきありがとうございました。
薄暗闇の、照明の光の中って、めちゃくちゃ埃舞ってません?笑
でもそれが、好きなんですよね。
最初は真面目に(?)詩を書こうとしていたのですが、私情が爆発し、一応とろうとしていた作品という体が崩壊してしまいました。ひっそりこちらに奉納いたします。
(……推し、という言葉がいつの間にか市民権を得ていたことからもわかるように、誰しも偏った愛を傾ける対象(人間に限らず)をお持ちなのではと思っています。が、もしその重さにどん引きされた方がいらしたら申し訳ありません。)
少しバタバタしています。
本作が更新されました際には、執筆諸々詰まっているんだなと、生温かい目でお見守りいただけましたら幸いです(* ᴗ ᴗ)⁾⁾