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正気を疑うね

作者: 歌川 詩季

 タイトルが好き。

 浮かべた小舟が沈むのを待つように

 水かさを増す楕円に 揺れる月を()でていた


 船底を穿(うが)つ悲壮の槍が早いか

 北天の柄杓(ひしゃく)()み出すが早いかで

 (つい)えた欲望もあるもんさって

 夢見人(ゆめみびと)の物言いに(かお)(しか)ませたけれど


 正気を疑うね 明日(あした)を疑うな

 悪趣味な(みやび)を隠した屏風(びょうぶ)が倒されて

 目論見(もくろみ)が露呈しても

 手持ちの駒では埋め尽くせぬだけの

 枡目は残されてるさ 試す価値はある



 結んだ朱の緒を風が()(まま)にして

 静けさを問う寡黙(かもく)が 欠けた月を(いた)んでた


 鈍色(にびいろ)(はさみ)を閉じる指が早いか

 歳月の咀嚼(そしゃく)が断ち切るが早いかで

 ほつれを待てないの(たしな)めたって

 世捨人(よすてびと)の物憂いは(かお)(ゆが)ませたけれど


 正気を疑うね おのれを疑うな

 身勝手な都合で(えが)いた屏風(びょうぶ)が破られて

 (はかりごと) 頓挫(とんざ)しても

 巻かれた糸では縫い合わせきれねば

 裂け目を(ふさ)ぐことなど 試す価値もなく

 こんな、渋いのもっと描きたい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一つ一つの言葉選びがとてもセンスに溢れていて、とても力強い詩だと思いました!
[良い点] 心へと響きます♪ 自分は洋楽などの音楽に疎いのですが、 なんというか、ロックというかブルースというか、 渋く胸に響くような言の葉のエッセンスでしょうか? 何かそうした気持ちを受け取ったよ…
[良い点] これも、良いですね。 いつもいつも、感心しています。 「裂け目を塞ふさぐことなど 試す価値もなく」って言葉、凡人には思い付きません。
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