緊急任務
「ねぇ。西之島だけどまた噴火したんだって」
「父島にも火山灰が到達したって船星さんが言っていたけど、今の状況が気になるね」
船が八丈島に着くと、降りたみんなが西之島の話ばかりしていました。
「あなたたち、気になるのは分かるけど、今は自分にできることをやろう…」
「マチちゃん?」
マチちゃんはみんなの話に釘を刺しましたが、じっと話している人たちを睨んでいました。
「潮原さん、よろしけば私の端末を一緒に見ますか?」
「東雲さん…みんなにも西之島の状況を共有してくれる?」
「分かりました。確かに共有は大切ですね…」
マチちゃんは美岬ちゃんに一緒に見るのか提案されましたが、自分の気持ちを我慢しながら指示をしました。
「艦長は…落ち着いているんですね」
「えっと…心配だけど、慌てたらダメだから」
マチちゃんは私の話を聞いて、緊張を取るように一息ついて言いました。
「あなたはすごいわね。こんな状況ですもの私も怖いわ…」
「そんなことないよ。ただ、私はこんな状況を人より慣れているだけだよ」
マチちゃんの褒めてくれたことは嬉しかったけど、私の原動力は忘れられない記憶が恐怖するだけでは解決しないと訴えていた力があったから。
「艦長、補給物資の確認を私たちも手伝いましょう」
「そうだね」
マチちゃんは気恥ずかしくなったのか話題を急に変えました。
「みんな、急がせてごめんね」
私たちは補給物資を運ぶ給養員と航海員のみんなに近づき声をかけて行くと驚いた顔でじっとこちらを見て固まっていました。
「いいえ。これも艦長と副長が的確に指示してくれているおかげで西之島への補給搬入もスムーズです」
「基本的に搬入は機械でやっているけど、数が多いから。それと不備がないか確認も必要だからね…私たちも手伝うね」
私とマチちゃんが補給物資を手にかけると嬉しそうな返事が返ってきました。
「艦長、西之島の状況は分かりますか?」
美岬ちゃんのおかげで大まかな話だけができましたが、いまだに齟齬と憶測が飛び交っているようで、給養員の美海ちゃんが私に尋ねてきました。
「えっと…距離があるから今は、噴煙が来ている被害だけみたいだけど…」
「だけど?」
美海ちゃんは軽度とタカを括っているようで不思議そうに見ていました。
「あなた、噴火時の噴煙は島の場合が最悪なのよ」
「噴煙自体にもコックピットの窓を痛めて、割るのよ。それに噴煙に含まれるガラス質がもしエンジンに入ったら最悪の場合、海のど真ん中でエンジン停止して落下しちゃうから避難救助どころじゃないの」
マチちゃんは美海ちゃんに噴煙に含まれるガラス質で飛行機が飛べないこと機械への影響を分かりやすく説明を始めました。
「でも報道ヘリがありますよ?」
美海ちゃんは美岬ちゃんの方を指でさして言いました。
「あれは安全な距離を取って撮影しているの。もし近づき過ぎると、噴煙で窓が痛むし、プロペラの中心のモーターだって壊れてしまうわよ」
マチちゃんは美海ちゃんに詳しく話をして危険性を訴えました。
「もしかしてそんな危険な所に行くの?」
「え…ええ」
マチちゃんも怖くて震えてながら美海ちゃんの答えを出しました。
「それで船の被害って?」
「−波−」
「…」
私の呟いた声に持っていた積荷を落として動けなくなる子もいました。
「海底噴火で起きた事例よ。プレートが擦れ、海の波を動かすことがあったの。発生源は海外…でも、日本も被害があったわ。特に漁船よ」
私とマチちゃんの話にみんなが震え、怯えも感じ取れました。
「東雲さんの情報待ちだけど、起きた場合は『西之島のこと』だけじゃなくて『私たちのこと』も考える必要があるわ…」
マチちゃんは怖がらせるつもりでもなく事実と事例を下に話を続けました。
「艦長!情報が出ました!」
美岬ちゃんが端末を見せながら私たちの方へ駆け寄ってきました。
「…津波の恐れなし…」
息を呑み緊張が焦りへと変わり、それと同時に指示が私の口から出てきました。
「緊急任務、発生!補給物資の搬入後。直ちに現場に向かいます。その後、現地にて武蔵と合流します。各自所定の任に就け」
私がふと我に返り、マチちゃんと美岬ちゃんの方を振り向くと規律よく立っていました。
「艦長!かっこいいです」
「ちょっとはやるじゃない!」
私は思わず足が震え、言ってしまったことを思い出してしまいました。
「ワスレダイ…ねぇ」
「良いじゃないですか!艦長のお陰で混乱のなくなりましたし、それに一番大事なのは人命救助なんでしょ」
「ですね」
マチちゃんと美岬ちゃんは笑顔で私に伝えてくれました。
「艦長!今の録画⚫︎していましたので後で共有しますね!」
「ヤメテー!」




