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マリンガールズ〜思いを乗せた方舟〜  作者: ハナビ
海の学校
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季節が変わる時期

『ブー』

 突然、私の傍に置いていた携帯電話から着信音が聞こえたため。メールアプリを開くと、新しく一通メールが届いており、あて先は、私が通う学校からの連絡でした。

「今日の…入学式を延期します。」

そこには『台風接近により、豪雨となっているため、入学式を延期します。予定していた行事につきましては、日を改めてご連絡いたします。』と書かれていました。

 私は台風で入学式ができないことをあらかじめ予測していながら支度をしていたため、恥ずかしくなってきてしまい、急いで制服を脱ぎ、私服に着替え直すことにしました。自室に向かい、真ん中に二つ置かれた段ボールから気に入った私服を選ぶ。

「外出はできないけど、避難はあるかもだから」

外でも出られるように私服選びで悩みます。

「お気に入りの服を汚したくないなぁ」

私は白のTシャツに黒いジーンズを履くことにしました。

良いとも悪いとも言えない服を着た私は、再びニュースを見るためテレビをつけました。

 先程とは違い、生放送中のニュースを探すことにしました。日本列島には、未だに台風の影響が来ていないためなのかニュースが少なく、三回程度変えてニュース番組を見つけることができました。

どの番組を見ても途中にCMがあり、天気の状況が分かりにくく、結局、携帯電話から情報を得ることにしました。天気予報のサイトを見ても全く動かない台風でしたが、時間が経過していくと、少し外の雨も弱くなっているように見えてきました。その後も強まったり、弱まったり雨が繰り返し降り続きましたが、避難勧告は、発令されず、昼が過ぎてしまいました。

 私はお腹が空いたため、食事を取ることにしました。

「非常食を買っていて良かった。」

私は買っておいたカップ麺と乾パンを手に取り、食べる準備をしました。水や電気は未だに問題なく使えるため、電気ケトルに水を入れて、沸かし始めます。

湧くまでに私は麺を選ぶ。ラーメン、うどん、そば。あまり種類がなく、選ぶほどではありませんが、うどんのカップ麺を手に取りました。

 プラスチック包装を取って、紙の蓋を開けると、中には、かやくとだしパウダーがプラスチックの袋を破き、麺の上に入れて。電気ケトルの水もそろそろ湧いてきたため、近くに寄せて待つことにしました。

カチッという音が鳴ると、沸いた水が泡を出しながら、水蒸気になっていく。中を覗けるようになっている透明な場所は白くなり、液体になると、下へ流れていきます。

私は電気ケトルに入ったお湯をカップ麺の中へ入れ、直ぐに蓋の先を折り曲げ、開かないようにします。待ち時間は5分。私はタイマーをセットしてスタートを押します。

食器棚から箸を一膳、取り出し。カップ麵の上に置き、席に座って待ちます。

「…。」

私は座ったまま、何もすることがなく、外の様子ばかりを見続けます。

外の景色は雨が止まらず、『ザーザー』と鳴るまま変わらない。しかし、する事がない数分を過ごすだけであれば、ちょうど良い空き時間でした。


『ピピピピ ピピピピ ピピ ピ』

私がタイマーのストップボタンを押して止める。と同時にカップ麺の上に置いていた箸を取り、蓋を剥がす。開けた瞬間、白い湯気で覆われ、見えにくい中に薄く濁った出汁が見えます。

「いただきます」

私は箸をカップに入れ、軽く一周回す。薄く見えた出汁が全体に回り、茶色に染まる。かつおだしの温かく優しい臭いに、私の口が出汁を求めて手を伸ばし、口に含みました。

「温かい。」

出汁を一口飲むと、体が温かくなり、落ち着く。私の箸は、カップの中に浮いている麺へと向かい、掴みます。出汁から出た麺は、湯気が出ており、一息風を送り、湯気が消えると、口へと入れる。麺の硬さはスルスルと口に入る程柔らかく、コシもないため、5分程度で食べ終えました。

「ごちそうさまでした。」

手を合わせ、誰に言うでもなく、小さな声で囁きました。

昼が過ぎると、台風の勢いがほんの少し弱くなり、家の揺れも弱まっているように感じてきました。

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[良い点] 私ちゃんはコシなし派。
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