船の香り②
「大きいわね。」
「はい。これが明日からお世話になる艦船なのですね」
「戦艦比叡。滋賀県大津市坂本にある神社、日吉大社と呼ばれている神社を艦内神社としている戦艦ね。全長は一六九メートル。最大幅は二四メートル。基準排水量は一二〇〇〇トン少し多いわね。速力は二七ノット出る艦船ね。装甲も厚そうだし、高い波も絶えそうね。」
「重巡洋艦青葉。福井県大飯郡高浜町と京都府舞鶴市の県境にまたがる山。福井県の高浜町の最高峰で、若狭富士の異名を持つ山。東部海岸から眺めると綺麗な景観を見せる絶景スポット…。艦内神社は、青葉神社。由来の神社は土蜘蛛退治で有名な青葉山の頂上に建立なされた神社。青葉山は舞鶴に基地があった時には、京都の東方に位置する比叡山にちなみ北叡山とも呼ばれていた山の神社ですね…。諸説はあるようですが。」
私が鎖霧ちゃんのような口調で熱演していると、鎖霧ちゃんが意外そうな顔をして、私の方を見つめていました。
「意外ね。ヒナも知って居たなんて。」
「えっと。まあ。国立海洋学院第一高校横須賀基地に入学するので一応。気になったので、調べてみたのですが、当たっていたのですね。」
鎖霧ちゃんは私の話を聞いて納得してくれたようで、さらに詳しく教えて下さりました。
「全長一八五メートル。最大幅は一七メートル。基準排水量は八五〇〇トン。速力は三四ノット。装甲は少し不安になってしまうけど、比叡を超える速さで運航するみたい。」
鎖霧ちゃんは八隻ある船体を見ると、他の艦船についても紹介をしてくださりました。
「この艦船は戦艦武蔵。昨日までヒナが暮らしていた定住船大和の同型艦だね。」
鎖霧ちゃんは武蔵を見ると、羨ましそうに眺めていました。
「どうかされたのですか?」
「戦艦武蔵は定住船大和の乗組員になれる近道なのよ。一度は、憧れるわよ。」
定住船大和は保有艦の中でも一番大きな定住船となっており、日本内で最高峰の秀才が集う船として有名であり、同型艦の戦艦武蔵も同じ対応がされている特別艦として大変名誉な艦船であると、知られています。
「全長二六〇メートル。最大幅三九メートル。基準排水量は四九〇〇〇トンとても多いわね。速力は三〇ノット出る艦船よ。やっぱり。大きい船ね。比叡の1.5倍以上あるし。青葉になると、2倍近くあるわよ。」
「とても大きいですね。」
私は戦艦武蔵の大きさに圧倒されてしまい、言葉を失ってしまいました。
「まあ。大きい分。他の船員とのコミュニケーションなんてうまくできないわよ。」
鎖霧ちゃんは武蔵を見ながら卑屈気味に唯一のデメリットらしき点を突いて、自身を落ち着かせていました。
「何を言うのですか。戦艦武蔵は搭載機を七機も搭載できますし。舷側も四一〇mmですし。甲板なんて二〇〇mmですよ。主砲防盾も六〇〇mm。同じ戦艦の比叡を遥かに上回る力を持つ戦艦なんですよ…。なので、私も乗組員になりたかったです。」
「急に出てきて何よ、あなた。」
急に現れた女の子は、鎖霧ちゃんの嫌味に反論するように戦艦武蔵の良さを熱演して紹介してくれました。




