八月の残り香
近年、多くの国で取り上げている世界規模の環境問題が近未来になるとどうなってしまうのか。私の主観で作品を書いています。世界の問題を皆で協力して執り行うことが必要だと感じてもらえると嬉しいです。
朝、目を覚ますと、耳元で大きなブザー音が鳴り響いていた。湿度が高く、じめじめとした部屋に息苦しく寝ていたため、布団は汗で濡れていた。私は鳴り続いているブザーを止め、時計に手が伸びる。針を見ると短い針が八。長い針が一と二の間をゆっくりと動きだしているのが見えていた。
「これって…」
私はすぐに体を起こし、制服に着替えようと寝間着を脱いだ。
「顔…顔を洗わないと!」
大急ぎで洗面所の鏡へ向かって、顔を水に濡らし、石鹸を付け、洗い流す。石鹸の残りをしっかり落とした。私は段ボールに閉まっているタオルを一枚取り出して、濡れている顔に押し当て拭き取る。さらさらとした肌触りのタオルに余計な水分が吸収され、私は漸く目を覚ましました。
「制服を着て」
手を止め、改めて時計を見てみると、短い針が七時、長い針が二から三の方へゆっくりと近づいているのが見え、動きを止めました。
「もしかして、見間違えてしまっちゃった?」
西暦二〇五〇年九月二日。秋の始まり、入社式には少し早く、入学式が行われる時期。新しく買ったスーツや制服が見えるように飾られることがある季節となりました。一人暮らしをしている私、湊ヒナの家でも同様に制服付きのハンガーが掛けられています。
私が通う学校の制服は、胸元に学校のエンブレムらしき刺繡が付いている長袖のセーラー服。スカーフの色は、海のように青く染まり。下は膝まであり、何も付いていないシンプルなデザインのスカート。色はスカーフと同じく青く、雨を弾く生地で作られている便利な制服になっています。そんな制服を私は手に取り、袖を通してみることにしました。
慣れない手付きでスカーフを結んでスカートの腰に付いたファスナーを上げて映し鏡の目の前に立ち、自らの姿を見て違和感がないのか確認します。
「これでよし。」
制服は腹部が大きく感じ、胸部や腰部、臀部は私のサイズに合って、身を包んでいるように感じました。制服に着替え、学校に向かう準備が出来たため、家を出るようと部屋の中から外を見ました。先程まで曇っていた空は強い雨が降っており、風の影響もあるようで扉が揺れ出している生憎の天気になっていました。
「降り出しちゃった。」
私は慌ててテレビの傍にあった段ボールからガムテープを取り出し、ガラス扉にゆっくりと近寄ってみました。
「早くしないと…でも。台風の後、また掃除しないと…」
私は二、三度悩みましたが、ガムテープを構え、扉の右上から左下に斜めに一枚貼り、更に貼ったガムテープに重なるように左上から右下へ貼り付けました。
「あともう一枚」
私はガラス扉にガムテープを付けると、最後に扉の隙間から水が入り込まないように縦に貼り、安全な所に離れると座りました。
「終わったぁ~。」
私は一息付くと。朝の気怠さを乗り切るのに、丁度良く食べることができるヨーグルトを冷蔵庫から取り出しました。食べかけのヨーグルトを全部、お皿に移し替え、イチゴジャムを上にのせて食べました。
「学校の前にニュース…見ておこうかな」
テレビをつけた私は再生リストから一〇分程前に終わったニュースを再生しました。