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閲覧ありがとうございます。
まだまだ未熟で話も更新も遅いですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「最近こういう本にハマっちゃって」
同じ経理課の友達にそう言われ押しつけられた小説。
ゲームが元の小説らしく、平民出身の主人公マリアが母親の死により貴族の父に引き取られ、貴族の令息令嬢が通う学園へと入学し、様々な出会いの中でその国の王子フェリクスと恋に落ち、王子の婚約者ソフィアの妨害や身分差というあらゆる困難を乗り越え結ばれる。
読書は好きだがゲームはあまり興味が無く、読むにしても推理もの等が好きな私(2×歳成人)には、少し苦労しそうな本だった。
そう思いながら表紙の華やかなキャラクター達を眺めながら考えていると、
「週末読んでみてよ!面白かったらゲームもやってみて!」
とキラキラとした顔で本を差し出している彼女を見て、週末だし、まぁ良いか、と本を受け取り礼を言った。
そして寝る前に読んでみると、思っていたよりも(内容が無いので)サクサクと進み本を閉じる。
(よくあるシンデレラストーリーよね)
そう息を吐きながら思うと目の前のテーブルに本を置き後ろのベッドに潜り込む。
(…本来なら主人公たちに断罪された令嬢が主人公に言ったりしていた事は貴族の令嬢ならマトモな事だし、それを王子であり婚約者の男に擁護されたら女としても令嬢としても堪らないわよね。)
部屋の明かりを消し目を閉じながらそう考え、あくびをすると、
(…ま、ゲームのシナリオだし…それより…明日は新刊を漁りに行こう。確か推理ものが何刊か発売するはずだったから…)
と考えながら仕事の疲れからくる心地好い睡魔に身を委ね、そのまま眠りに落ちていく…
「―――なのにどうしてこうなるのよ」
と鏡の中の陶器のような白い肌に薔薇色の頬、ふわふわの金髪に紫の瞳の美少女が年の割に哀愁漂う目をして己を見つめているのが写っていた。