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パラサイト・エヴェレット parasite_Everett  作者: 野生のreruhuさん
本編:第3章 欠けた緑柱石
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90節 一時

 寝てて投稿時間ずれた――っ!!

 その後、俺達はトラブルもなく仕込みを終えた。連絡もないことからあちら側のしくじってはいないだろう。


「しっかし、まぁ……よくもこんな作戦警察官がいる前で言えたな」

「兄の提案と言うかいつもやってる事なんだけどね。いいんじゃない、何もなければバッテリー切れで壊れるようになってるし……勝てば官軍負ければ賊軍、死人に口無しなのさ」

「最後の意味はちょっと違うがな。何となく過ごしてきて、あの人たちはよくも悪くも理想家で正義の味方でだからこそ同僚に好かれるし、不正義に憤るんだろうね。それを正すためにちょっと無理は押し通す」

「ちょっとの無理、カッコ盗聴器の提供カッコトジだねぇ」

「目的のためなら手段を問わないところは性格があってやりやすい。なんだかんだ礼とゆずきの事を黙ってくれているし、色々とこちらの事をしゃべってもいいかもしれないな。っと、そろそろ合流するか」


 持ってきていた飲み物を飲み終えゴミ箱に捨てる。そのまま、俺達兄妹は一階へと降りて行ったのだ。

 一階では相変わらず話し声が聞こえる。どうやら、世間話をしながら妹の事へと結びつけ情報を得ようとしているらしい。

 だが、その声色からは伺えるのは歓喜かんきではなく愛想笑いのかすれた息。


「あ、と。見学はもういいのですか?」

「えぇ、まぁ。本日は突然の来訪でご迷惑をおかけいたしました」

「いいのよ。私達も楔ちゃんの様子が知りたかったし……前会ったときは焦燥感で何時躓いて倒れてしまうのか、心配するぐらいだったから」

「……そんな顔してたかしら?」

「大人はね。色々とみているものよ。そろそろかしら」

「はい。長くお時間を取らせて業務を妨害してもいけませんし、言わずもですがここの所物騒ですから日が高いうちに帰らせてもらいます」


 そう言って俺達は背を向け敷地から去っていった。

 ……何とかなったな。そう思い息を吐く。

 毎度思うがこれ、学生がやる仕事じゃないだろう。これも全部、天使の教会と汚職している保安庁のやつらが原因なんだ。そう思ってないとやってられない。

 すべては、この魔眼や記録おもいでの謎を解くため。放ってはいけない……そう思うから。


「で、帰宅したわけだが」

「ひっさしぶりの我が家って感じだね。さぁ、ネトゲの時間だぁ!」

「帰って良かったのだろうか?って、おい……。まぁ、気負っても仕方ないか。礼、ご飯を作る準備をしてくれないか?まだ日が高いが五時だしな」

「了解、わかったよ」

「私わぁ?」

「掃除でもしてて」


 小さくため息をつき、冷蔵庫の中から食材を選ぶ。そうして、遅れながら平日が戻ってきたのであった。

 四人用のテーブルの上に料理を置き椅子に腰かけ、少し遅めの夕ご飯を口に運ぶ。

 この場に楔の姿はいない。彼女はいまだ保護対象として、民間警備会社員の護衛を伴わない外出は許可されていないし、そもそも精華さんの所の方が安全だ。

 食器を片付け暫くパソコンでゲームをやった後、軽く体をほぐしながら立ち上がった

 夏は暑く太陽が水平線から隠れても、ねっとりとしたうっとうしさは変わらない。綺麗好きと言う訳ではないが、体にまとわりつく汗を洗い流したいと思うのは当然だった。

 ちょうどセットしていたお風呂も湯はりが終わりちょうどいいタイミングだろう。俺は一声かけてから脱衣所に向かった。

 ふぅ、と息を吐きながら髪の毛を洗う。湯船に入るのは体の汚れを落としてから。

 いきなり体をほぐしたいと言う気持ちも理解できるが、複数人で利用かつ女性が入るのだからこれくらいの心使いは出来た方がいいだろう。

 きちんと油分を落とし、リンスを使い手入れをする。

 リンスには、髪の毛のごわごわを防ぎしなやかで通夜を出す成分があるらしい。実際、リンスをしてから髪の毛を指に梳くっても引っかからなくなったし。

 そして、今度は体を洗おうとスポンジにボディーソープを付けようとしたその瞬間、バチンと金属音と共に背中を冷気がなでる。


「どーん!せ、ん、ぱ、いぃ。そんなものよりぃ、より柔らかくてぇ気持ちのいいスポンジがこちらにございますよぉ」

「……ゆずき。俺、入る言った。些細な入れ違い内容に一番先に」

「いやぁ、ね?ほら?事故は起きるよって……いくら貴方が法律を気にして法廷速度を守って運転してきたとしてもぉ、老人が逆走してプリウスミサイルしてくるとか……ね?」

「お前十四だろ!老人じゃないし、介護も関係ないし、ボケてないし!酔ってもないだろ!!」

「色欲には酔ってますよぉ!」

「なに、はってんだっ!」


 と、俺の背中に飛び込んでくる。滑ってバランスが崩れてけがをすると思ったが流石は寄生体、瞬時に体重移動をして俺への衝撃を殺す。

 そのまま、リンゴより少し大きく柔らかい物が押し付けられる。


「どうですかぁ、気持ちいいでしょう?ほら、人生一時の迷いもありますよ」


 耳元で囁かれ息がなでる。

 そして、そのまま、俺は。


「てい!」

「あいた」


 横っ腹に肘を叩きこんだ。そのまま、振り返りながら桶を秘部に向けてぶん投げた。

 うぉっと、そんな声を出しながら彼女は余裕でキャッチする。よし、これでよくある見せられないよ!の看板が出てる状態と同じになった。


「何が一時の迷いだ。あほか!うちには子供をこさえる賃金的余裕はないし、中学生を孕ませるほどの道徳心を欠如してない!」

「できちゃった婚とかぁ」

結婚可能年齢(十八歳以上だ)ってしってるか?」

「それ人間なので、寄生体(わたし)には効力ないんですよねぇ。さぁ、私と愛を!できれば、首を絞めてもらえると……」

「そうだ、こいつ、酸素欠乏症で快楽と恍惚感を得る加虐体質者(マゾ)だった……っ!」

「さぁっ、」

「――何をしているんだい?」


 あっ、ともう一つの声が架けられる。

 そこには、俺より高い身長でこちらを見下す礼の姿があった。

 え、あの。と釈明する暇も返答も受け付けず彼女は着ていた服を迷わず脱ぎ捨て。


「邪魔だよ。女狐……僕の方が長くいるし傷つけた君が今そばにいること自体が奇跡。そもそも、君の体は貧相だ」

「確かにぃ廃墟都市での件についてはこちらの不手際です。まさか発情して我を忘れるとは……ですがそれとこれとは別です」


 ……礼、お前も最初押し倒してきたけどな。それも勢いよく……畳の上だったからまだしもフローリングの上でやられてたら多分背骨痛めてたぞ。

 こちらの事を気にせずキャットファイトする二人。シミがないきれいな肌に大きさが違うがそれゆえプルンと個性的な揺れ方をする丸い物を目に抑え、十分に眼中記録後。

 俺は、体を洗おうと備え付けの洗面台に置いていたボディーソープを握り閉め。


「いい加減にしろヤァ!!」


 ――。


「……反省したか?」

「夢中だったくせにぃ。私の柔らかい揺れに目を奪われっブフォ――!」

「確かに、この淫乱女狐を拘束しなかった事。これは僕の落ち度だ」

「風呂に入ったことについて聞いてるんだけど?」


 なんなんだこれ?普通こういう展開って、アニメだと男子が露天風呂とか侵入してそれに女子が気が付いて正座させながら起こるってよく見るけどさ……。

 海斗の目の前には想像と逆の光景が広がっていた。

 さて、どうしよう。この貞操観念ぼこぼこの娘たちに対してどのように対処すればいいのか。


「そもそもですよぉ。何を恥ずかしがることがあるんですかぁ」

「と言うと」

「私たちの戦闘衣装ですよ」


 あぁ、あのレオタードみたいなラバースーツの事か?

 確かにビッチリと体に張り付くその衣装は扇情的であるが。


「あの黒いのってぇ、いわば体細胞で出来てるわけですかぁ」

「そう聞いた」

「つまりぃ、皮膚とか亀の甲羅と同じで私達は常に全裸で戦闘をしていると言っても過言では――」


 うるせぇ黙れ!

 そう思いながらゆずきの頭に向けチョップを繰り出した。


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