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パラサイト・エヴェレット parasite_Everett  作者: 野生のreruhuさん
本編:第3章 欠けた緑柱石
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79節 迫りくる魔の手


 久しぶりの三千半、結構なボリュームが書けた。

 これ、大丈夫なんか?

 この話、一部ちょっと過激なところがあるけど……まぁ、そういったやつの直接ワードや行為を出してないから大丈夫か。

 因みにクリスマスの特別話は(作者がクリスマスふっつうに仕事あるので)ないです。


「いえ、恨んでるわけじゃないというより割り切ったと理解した(言う)べきかしら」


 そう一言こぼし、近くに置いてあったコーラを口に含む。これから何を話そうか悩むように甘味を舌で転がし、独特なにおいを鼻孔に感じながら。


「そんな出来がいい妹がいるなら少しは歪んじまう気がするが」

「正確には正されたが正しいわね。環境が良かったのよ……それなりの私にも家族は愛を平等にささげてくれた」


 彼女の家庭は普通だった。普通に父親が朝に会社に行き、母親がパートに出かける……そんな、よくある家庭のうち。

 別に両親が平日いないからと言って距離も遠くない。休みになれば必ず、家族一緒にどこか遊びに行くのだった。


「両親は、分け隔てなくほめてくれた。叱ってくれた。だから、私は道を譲ったのよ……せめて、妹だけは陰ながらも支えようと」

「けれど、機械生命体が変えたということだろう。君が頑張る理由なんて僕はこれしか思いつかない」

「えぇ」


 九年前の機械生命体の到来によってほとんどの会社が倒産をした。その他、色々と金が掛かることが多くなった。

 今では大学に行くのは当たり前だ。けれど進学するお金はない。

 だから、楔は勉強も運動も頑張った。奨学金制度を受けるため。


「奨学金……?奨学金ってあれだろ、政府が学生を支援するための奴だろ別にそこまで」

「あぁ、先輩それ間違ってますよぉ」

「ん?と言うと」

「奨学金制度は学生を支援する制度ではありますけどぉ、実際は貸与型と給付型の二種類あって大体が貸与……つまり借金なんですよぉ。国民に金なんて払いたくない政治家の思考が駄々洩れですねぇ」

「そういえば、ゆずきってお嬢様だったな」

「お嬢様、ね。羨ましいわ」

「五年前に崩壊しましたけどねぇ。少し前はホームレスやってましたぁ」

「あ」

「いいぇ、気にしてませんよぉ。それに、今は素敵な人に出会えましたからぁ」


 そう言ってわざわざ席から立って俺の背中に抱き着いてくるゆずき。首に手を添えて、恋人のように絡みつく。

 礼はそれを見てムッとし、妹は何時ものように微笑み、楔は固まった表情をほぐした。

 こいつ、性格とか言動はちょっとあれだけど周りを見る目はまぁまぁあるんだよな。流石はお嬢さまと言うことか。


「そう、学校も東京にある有名な高校は軒並みコンクリートのかけらに。土地も人も居なくなって学費がかかるようになっちゃてね」

「なるほどね。妹の学費を少しでも安くするために、勉強してたってことね」

「妹思いなんですね」

「えぇ、早く。見つかるといいけれど」


 カランコロン。氷が解け、コップを奏でる。

 早く時間がすぎないかと、早く情報が手に入らないかと、咲を待ちぼうけながら俺たちは席を立ち元居た車に戻って至った。


「マリオネットドール。起きなさい、Bブロックまで移動をしてください」


 深い深いくらやみのなか男の声部屋に響き渡る。気配はない、単純に壁に掛けられたスピーカーからの目覚まし(起動コード)

 音は只暗い部屋に無法して拡散しなくなる。しかしそれは誰も聞き手が居ない場合だけ。


「わか、り……ました」


 ポツリ、と少女の声が。風が吹けばかき消えてしまうような儚い音。

 全裸である彼女は、知らぬ間に立てかけられていた服を手に取る。布が肌にこすれるたびにピクピクと痙攣しながらなんとか着終わると、ゆらりふらりと自動で開いたドアへと進んでいった。

 はぁ、はぁ。熱い吐息を漏らしながらぺたぺたと裸足で金属製の廊下を歩く。空調がよく聞いているとはいえ、ほほを真っ赤に染めているのは着ている衣服が大幅に露出度が高いドレスだからか。

 耳を澄ませば、どこからでも熱っぽい少女の声が複数個所から漏れ出ている。

 扉の隙間からは、全裸の中年男が同じく全裸な少女に覆いかぶさっている所だった。

 別にここでは見慣れた光景だ。

 此処の少女は人間ではないのだから、法律は適応されない。人の形をしたもの。ものに性欲をぶつけて何がわるい。

 廊下を歩く少女も例外なく何度も行為に及んでいた。

 人と違って頑丈だし、従順。人間にとっては致死量な薬でさえも余裕で耐えきりながらリアクションはそのままで、陸揚げされた魚のように飛び跳ねる少女を見るのが娯楽のようだ。

 乙女の柔肌には紫に変色し所々に注射跡。けれど彼女だけはこの中でも比較的ましな扱いを受けていた。


「ようやく来たねぇ。マリオネットドール、おや……それは。あぁ、残念だけど今回は行為をするためによんだんじゃないんだよね」


 廊下を最後まで歩き扉を開ければ、少女にとってのご主人様が佇んでいた。

 白衣を着た男性だ。白髪の髪に赤い瞳、細見の体に血が通っていないような白い肌。

 初対面の人間がいるならば創作物である吸血鬼が眼前に現れたと誤解してしまうような容姿であった。


「要件は、なんでしょうか?」

「ん?あぁ、そろそろ君の大切な姉を向かいに行こうと思ってね。協力してくれるかい?」

「もちろんです。……ご主人様」

「ふぁは、いいねぇー。今なんて言ったのかわかるぅ?自分の最愛の姉を自分の事をめちゃくちゃにした人間に売り渡すといったと同義なんだよ。ねぇ、どんな気持ち」

「どんな気持ちですか、私を誘拐して人体実験でこんな体にして男に股を開くような行為をさせて私の頭をいじって絶対に許さない」

「くふ、ではなぜ協力するのですか?」

「こんな事、したくない。けど、――」


 忘れたわけではない。

 記憶も常識も、こんな事すぐにやめるべきだ。彼を警察に突きだし私を愛する家に帰るべきだと思いもあるけど。


「私はマリオネットドールですから。ご主人様の望みが私にとって全てゆうっせんされるからです。私の、思いや感情なんて関係ないのですから」


 そう高々に宣言する彼女の表情はとても熱っぽく淫靡だった。


「ふはははははははは。いいね、最高だ。百点満点だよ!はやり君は私の最高傑作だ」

「ありがとうございます」


 そうして彼女は憎く愛すべき主人に頭を下げた。


「さて、簡単な座学だ。君も姉を狙う理由が知りたいのだろう?」

「もちろんです。私達をそろえてまぐあいたい、ですよね」

「そりゃ、かわいい女相手に襲うのは男の生きざま(さが)さ。けど、それだけが理由じゃあない。君もニュースかなんかで見ただろう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「はい」

「機械生命体の出現と共に人間蓄えられるようになったマソと呼ばれる謎エネルギー。それは、少しずつ少しずつ人間を進化させていく。身体能力に思考力に容姿。より早く走りより強く頑丈により早く思考しより美しく成長する……けどね。人間と言う種は汎用性を重視するがゆえに伸びしろがないのだよ」


 もし、彼の奴隷以外が居たとしてもこの言葉を肯定するものは多いだろう。

 実際に九年前の世界記録は今では二割ほどの好成績で更新されているし、容姿なら男女ともに体格も顔も声も変わっている。女ならより淫猥に肉好きがよく。

 彼にとってスタイルがよく胸の大きな女性が多いことは商売としていいのだ。


「だが、機械生命体は違う。銃弾を弾く装甲、飛行できる出力、コンクリートを粉砕する腕力。あぁ、これこそ神が遣わした下辺、そして、寄生体と言う人間がより上位存在に……神が手を差し伸べたもの。だがやはり天使になるには少々適合できる人間が少ないからなぁ」


 そうして、彼は遥か彼方に振り向いた。

 彼の視線の先にはきっと大広間があるのだろう、きっとその瞳には無数の男と無数の少女がまぐあう姿が撃つている。


「だが、君が現れた。あんな人形じゃあない。意思をもち神父である俺に降臨したんだ。これは、奇跡。なら、迷える子羊を救うべく天使を増やす。妹である君が成功したんだ、ならば姉である彼女も転生できるだろう?」

「わかりました。それがご主人様の願いならば」

「君の姉、楔ちゃんだったけ?彼女、傭兵に守られてるみたいだ。いくら人形と言えど突撃して商売道具を壊されたくない。だから、今回はピンポンダッシュしてもらいたいのさ」


 そう、陣地に引きこもってるなら相手から出てきてもらえばいい。

 冷静に考えれば、防衛してれば有利だけど。


「君の姉は妹思いみたいだからねぇ。姉を転生したら、君の胸についているコアを姉にも付けて挙げよう」


 あはは、あははははは。

 そして狂った笑い声が部屋に響き渡るのだった。



 基本的にこの世界の人間の身体能力は現実よりも高くなってます。じゃないと戦闘描写厳しいしね。

 あと、美人が多い理由とか体がエッチな理由とかはホントそのまんまです。基本的にはマソがかかわってます。

 あぁ、早く戦闘描写書きたい。めんどくさいけどそれがいい。


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