表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラサイト・エヴェレット parasite_Everett  作者: 野生のreruhuさん
本編:第3章 欠けた緑柱石
82/150

78節 翡翠のお話

 最近は年末商戦なのか、仕事多いし母親入院するし、いろいろ忙しいんじゃ。

 本来なら一回一区切りにして、敵サイドのお話を次回入れるはずだったんだけど、まぁいいか。

「途中帰宅なのに親に連絡もしていないのか?誠実な性格で?……携帯のGPSは荷物は……なにも無しか」


 ペラペラ。日差しがない薄寒い資料室の中で咲は手に持った操作資料を読み解いていく。

 やはりおかしい。彼女の性格と行動が一致していない。


「なぁ、もちろんこの塾については捜査したんだよな?」

「はいなのです。ページ四八ページから乗っているのです」


 何々……?

 八雲学習塾は八年ほど前に開業した民間の教育塾であり、基本的には小学生から大学生までの普通教育に対応している。

 元々は、九年前の機械生命体の襲来で職を失った教育者により設立され、最初は初等教育専門であったが今では学生をほぼカバーするほど中規模塾になっている。

 また、国の補助金制度の対象になっており入会費や維持費が比較的安く、尚且つボランティアを欠かさず行っており周辺地域への印象はよい。


(一見なんら問題のない。それどころか比較的よい第一ファースト印象インプレッションを感じるが)


「なぁ、ここ関東統合都市での年ごとの行方不明者人数はどれくらいだったか?」

「えっと、確か……確認できる範囲では全国で四十万くらい。割合が七四パーセントがここだったはずなのです。年齢が多い順に七十以上、十代、二十代。発見割合が約二十パーセントで死亡確認が十パーセントだった気がするのです」

「……多くなってるな」

「そうなのです。機械生命体の襲来、戦闘における余波による建物や施設の損害。すべてを直すことは予算的にも人員的にも不可能なのです」

「そして、廃墟となった町に犯罪者のたまり場になり廃墟都市が生まれると。悪循環だな」


 もし、多くね?と疑問に思う人が居るかもしれない。これは後でと言うか咲が捜査報告書を精華に報告した際に海斗が聞いたことなのだが、二〇二三年以降機械生命体の襲来以降世界規模で治安が悪化している。

 一応言っておくが日本の治安はまだいい方なのだ。これが膨大な領土を持つ国となると話が違う。人間が物理的に減り、犯罪を監視する人員が不足。

 結局機械化なので人員軽減は出来るが最終確認は人がしなければならないわけで、必ず警備の穴ができてしまう。

 そこに、犯罪組織やカルト宗教などの薬物販売や人身売買に臓器売買などがちょうどいい感じ絡み、医療技術が進んでも金と時間がかかるため費用削減のため政府も噛んでうんたらかんたら。

 因みにアメリカでは約三倍ほど多いらしい。


(直接的な手がかり無し、か。ん?これは)

「なぁ、この八雲学習塾に関する捜査資料で書いてあるが、行ったのは聞き込みだけか?」

「そうなのです」

「わかった。ともかくこの捜査資料を手がかりに調べてみる」

「大丈夫なのですか?一応、持ち出し厳禁なのですが」

「全て覚えて帰るさ」


「そういえばさ。翡翠ちゃんだっけ。妹って言ってたけどさ、どんな関係だったの?」

「どんな関係って」


 アウトレッドモールに設置されたフードコートここで俺たちは昼ご飯を食べていた。

 木を基調とした床に白色に塗装された壁、窓から差し込む明るい光に体に当たる冷房の風。暑苦しい外よりも中でと思うのは当然だ。

 まとまって、各自各々好きな食べ物を食べちょっとしたお腹休めをしていた所で舞はガジガジとドリンクのストローを噛むのをやめ、隣にいる楔に口を開いたのだった。


「一応、資料とか個人情報とか色々見たんだけどね」

「え?何それ、個人情報!?」

「あ、言ってなかったか?うちの妹はパソコンつよつよ人間だ。因みに資料作成者がうちの妹だぜ」

「うわさ、通りの人なのね」

「噂って?あ、いや、学校通ってない僕でも想像できるからいいや」


 普段の引きこもり具合から、人としての経験が浅い礼でもどのような噂話になっているのかを察したのだろう口を紡いだ。


「私の妹の翡翠はね。私によく似て真面目で成績優秀な子なの……年齢は十五、中三でうちの近くにある中学校に通ってるの」

「成績優秀ね。でも、楔も生徒会長になれるほど優秀じゃないの?聞いたよ噂、なんでも期末中間学年一位を維持してるって。私達からしてみれば何でそんな含みがある言い方なのか気になるんだけど」

「私の妹は天才なの、ひいき目無しでね」


 そういってスマートフォンを取り出しこちらに向けてくる。

 画面に映し出されたのは、翡翠が映りこむ動画だった。ピアノに書道に茶道に陸上と動画内で忽ち好成績を残していく。


「これね。大体が半年掛からず習得していくの。プロ真っ青でしょ?」

「まるで、楽園ラブコメの主人公みたいな人だね。それで、性格容姿ともに抜群と……勝てるわけがない」

「そう、けどね。最初は嫉妬心があったけど今じゃ恨んでるわけじゃないのよ?」

 ブックマークは新着小説で投稿されたのがわかりますし、ポイントは作者のやる気にもなります。

 また、ご意見ご感想も受け付けていますよ!

 ブックマークは上部に、ポイントはお話を読み終わり『<< 前へ次へ >>目次』の下に入力案がありますよ!

 作者の励みになりますので、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ