表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラサイト・エヴェレット parasite_Everett  作者: 野生のreruhuさん
本編:第3章 欠けた緑柱石
77/150

73節 引き際

 はい。

 残業に休日出勤……時間がない。

 一応、ツイッターの方では報告させていただきましたが先週はお休みをさせていただきました。

 理由としては、さすがに五百文字で出すのはどうなの!?と自分で思ったからです。

 また、本章はこれから本格的な戦いになる天使の教会との初戦の章となるため印象深くしていんです。ちょっと過激な方に方向修正して、ちょっとプロット練り直したりしました。

 その分、文量も多く面白くなっていると思うのでお楽しみに。


 今後、お休みをいただく際にはツイッターで告知をさせていただきます。ご了承ください……それでは本編へどうぞ!!

 そして忘れてはならないのは、彼らが本隊ではなくどちらかと言えば斥候スカウトと言うことだ。

 ここでやり合いをするならば手札を切らなくてはならなくなる。それは今後の活動において足のみならず肩まで覆ってしまうほどの底なし沼。

 礼やゆずきのみならず、俺ですら実験動物にされてしまうかもしれない。

 また、倒せたとしてもあの飄々とした態度の事だ。駒はまだあり、トカゲのしっぽ切りと同じ事になる。


「おっけー。じゃあ帰るか」

「は?」

「そうですね。出直しましょうかぁ」

「夜も暗いからね」

『じゃ、そういうことで―』


 驚愕に目を見開いた楔。俺は反射的に彼女の腕を抑え込んだ。

 それはやめろ。と強い瞳で射抜いた。俺に伝わるのはプルプルと震えた腕と上にあげようとする力、そして指に掛けたトリガー。

 感情的になって戦闘を引き起こすな。

 睨みつけて息止める。

 う、っと彼女はひどく狼狽した様子でしばらくいたが、すっと力を籠めるのをやめ銃を太ももの部分までおろしたのだった。

 じゃあ、そんな言葉を残しつつ彼女らはこちらに背を向け濃霧の中に進んでいく。

 しばらくすると霧が晴れ辺りは日常へと戻っていた。まるで、世界からぽつんと俺たちが現れたのように。

 敵が居ないことを確認したのち、不服そうに顔をしかめる楔に振る向き。


「あのなぁ、もう少し考えろよ」

「私は考えてます。あの状況で犯罪者を逃して、妹の情報を逃していいんですか!!」

「怒ってます?あ、もしかして生理中ですかぁ?」

「煽んな。ゆずき」

「生理中ですけど、それはともかく質問に答えてください」


 さらっととんでもない発言カミングアウトをしたのに気が付かないままこちらに詰め寄る。まるでこちらの襟首を持ってかれるような強気な態度でもう一度、「何故逃がしたのか」と。

 どうやら彼女は焦りで回りが見えていないらしい。霧が晴れて視界がいいはずなのに。

 いや、俺も妹とかさらわれたらこうなるわ。

 海斗は小さくため息をついた。


「あのさ、好事魔が差すってことをされたって思ってる?いや、戦闘になってるからいいことじゃないが。やっと得られた情報。犯人につながりそうな糸、これらをみすみす見逃したと。じゃあ、聞くがあのままやり合ってて勝てたか」

「やり合ってって」

「あぁ、殺すの文字の方だ。実戦で致命部位バイタルライン狙わずに戦えるかってんだ。こっちの銃は威力ストッピングパワーが低いし、残弾も無限じゃあない。かといって接近戦をするのには身体能力的にキツイ。それに相手はあの寄生体だ」

「寄生体ってあの人間に寄生する機械生命体の」

「あぁ、事実仰け反るだけだったろ。倒すには一人に対して最低一小隊(三十人)必要だぜ。ここにいるのは何人だよ。あと、格好も」


 此処に居るのは護衛対象を含め四名。女の子三人で二人は無手、余りは銃をほとんど撃ったことがない未成年。俺は戦闘は出来なくもないが専門的知識はほぼない。

 それに、今回は戦闘目的ではなくあくまでも誘拐された地点の現地偵察とかそういった趣だったため、防具は着てきていない。武器もハンドガンだけだ。

 一応、相手は寄生体もどきなので礼とゆずきで本気で相手にすれば勝てなくもないが。


「それに、相手にとって替えが聞く駒だろあれは。不殺主義じゃないけど殺し合っても損害が大きくなるのはこっちさ。生きて帰ってからさ、生きてなきゃ妹も探せないだろう?」

「……わかりました。今回は冷静さを省いていました、ごめんなさい」

「お、おう。そこまでかしこまれるとは思ってなかった。とにかく移動するぞ。こんな所ごめんだ」


 そう言い俺は蹴られた腕を抑えながら立ち上がる。骨は折れていない、打撲かな。まぁ、動かすと痛いが日常生活に支障はないだろう。


「こんなことがあったんだ。とにかく送っていく、家には上がらない。面倒なことになるからな」

「えっとこれは?」

「持っといた方がいいんじゃないですかぁ?自衛手段はあるほうがいいですし」

「僕も賛成かな。いつもいるわけじゃないしね」


 そうして、彼らは出来るだけ人通りがよく視界が効く道を通って楔の家へと向かっていった。

 徒歩で四十分ほど、自転車だと二十分か。時間が経ち一つの住宅口の中の一つで彼女は立ち止まった。普通のよくある量産型の二階建ての一軒家。

 白を基調として質素な家は清潔感を出している。車も二台あり部屋の明かりがついていることから両親はすでに居るのであろう。


「送ってきてくれてありがとう」

「まぁ、な」

「流石に僕たちもあそこで解散する気はないしね」

「四十分弱あるかされた身としてはたまったものじゃないですけどねぇ」

「とりあえず寄生体が出張ってきたと言えば本腰を入れてくれると思う。その時は連絡するから独断専行して誘拐されるなよ?」

「えぇ、気を付けます」


 彼女はこちらに一礼し家に入っていったのだ。

 とにかく、やることは決まった。こちらも準備をする前に一度家に帰り休息を取ろう。


「舞、ちょっと調べてもらいたいことがある」

『何、兄。監視カメラがなかったから私の力はあまり使えないと思うけど』

「いや、そうじゃない。習い事の帰り道で誘拐されたって聞いたよな」


 そう、楔は妹が習い事の帰り道に誘拐されたと言っていた。場所的にはいいポイントだ。人通りも少なく、辺りも暗い。

 だが、どうやって彼女が通る事を知った。

 あの霧があったとしても明らかに出せば怪しまれる。それなりに準備が必要だろう。だからこそ、彼女が帰宅するタイミングを知れる者を洗っていくしかないだろう。

 楔の妹、翡翠の進路をたどるには家を知っていれば構築できる。家の住所を知れて習い事から出たタイミングを伝えられるのはただ一つ。


「習い事の中に内通者がいるかもしれない」


 海斗は知らなかった。裏にどんな存在が居るのかと。

 海斗は知らなかった。これから起こる天使の教会との闘いの序章に過ぎないのだと。

 ただ、彼に出来たのは……携帯電話を操作して精華に情報を伝えることだけであった。


 ブックマークは新着小説で投稿されたのがわかりますし、ポイントは作者のやる気にもなります。

 また、ご意見ご感想も受け付けていますよ!

 ブックマークは上部に、ポイントはお話を読み終わり『<< 前へ次へ >>目次』の下に入力案がありますよ!

 作者の励みになりますので、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ