72節
休日出勤なんて、俺はァやめてやるこんな会社ぁああああ!
作者の声は夜空にはかなく消えた。
「何を言い出すんですかっ」
ひょうひょうとあざ笑う声を遮るように可愛らしく芯がとおる声が響く。
怒鳴ったわけではない。大声を出したわけではない。ただ、そのカリスマと言霊で戦闘者の口を黙らせたのだ。
振り返った視線の先には、銃を構えた楔の姿があった。
かすかに振るえる銃口。構えも幼稚。髪が額にべたつくほどに緊張で汗を流しながらもその瞳だけは、恐怖ではなく一つの焔と言う決意がそこにはあった。
『なにをって……聞いてなかったのかい?だから、見逃してやるって言ってんだよ』
「見逃す、見逃すって……何を偉そうに――っ!お前が、お前が妹を攫ったんでしょう!!そんなんで、そんなんでっ、やっとたどり着いたのに、諦められるわけないでしょ!!」
『そか、そだね。でもこっちも結界維持するのめんどくさいんだわ。でもね』
ブン!視界に一陣の線が走った。遅れての衝撃。
きゃあ、楔が悲鳴を上げながら倒れる。髪にかかった砂を落とし視線を元居た場所に向ければ、数センチ横にあの槍が突き刺さっていたのだ。
大きく、深々と地面に突き刺さる脅威。まるで墓標のように
『周りに飛ぶハエほど撃ち落としたくなるものはないよ』
冷たく、刺し貫くように……ひょうひょうとした口調から一転、演じていた仮面を叩きつけるような口調。
本気だ。
おそらく、提案を蹴れば奴は仕掛けてくるだろう。
あくまで、相手を出来るのは楔を商品として手に入れたい、できれば新品無傷の状態でとコレクター精神によるもの。
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