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パラサイト・エヴェレット parasite_Everett  作者: 野生のreruhuさん
本編:第3章 欠けた緑柱石
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70節 各々の戦い

 小枝のような少年の腕を文字道理追ってやろうと意気込みか。

 確かに、いくら武器がすごくても支える人間のスペックが足りなければ押し切られ地面に仰臥してしまうだろうが。


「甘い!!」


 防御するとと同時に、クルリと刃を反転させる。キンと同時に火花が散りそのまま、ナイフの腹で槍を押し退かしたのだ。

 これがもう一つの武器。

 海斗は今、魔視の魔眼は使っていない。何故なら、マナを目にやる必要があるしゴーグル越しにも瞳が赤く発光するからだ。明らかに光ってるのを警戒しないバカはいないだろう?

 故に今回使用するのは、瞳を使用する際に流れてきた記憶だ。

 並行世界かららしいが俺自身ができる行動を見ることができる。それは、客観的にと言う意味でも実用的と言う意味でも。

 流れ来る記憶は徐々にだが確実に俺を戦闘に最適化してくれる。

 そのまま、相手の股をくぐるようにスライディング。そして、ちゃっかりと通り過ぎるときにアキレス健を両断しておく。

 バランスを崩した少女相手に回し蹴りを叩きこんでいったん俺のターンは終了だ。

 靴の素材(EVE)が右肩に当たる。バランスを崩した状態で尚且つ押したのだ……ドミノ倒しのようにフードが瞬きながら少女が倒れて。


「さて、お顔を拝見って……あー」

『これは……』


 振り返って相手の状態を見るために近寄ってみれば、暗闇になれた瞳に風貌が映る。

 可愛らしい少女だ。整った顔立ちに、ポニーテールに薄花色うすないろの髪と瞳は透き通った清廉さを与えてくれる。

 が、明らかに一目見て濁った瞳に口の端から垂れる唾液。

 誰が見ても、何かおかしいのは理解できた。


「ラリッてんのか?」


 安直な感想を口にしたとき、油断しているつもりはなかった。

 足を殺し、最低限の安全を確保したと判断してしまった。いや、魔視の魔眼を使っていなかったから直前までくずかなかったというべきだ。

 パチモンと言えど寄生体。機械生命体は魔法が使えるのだと。

 感じたのは冷気だった。いくら夜、太陽は地平の影に傾いたとしても、いくら何でも初日に戦闘は起こらないだろうと半袖で露出していたとしても……いきなりマグロの保管庫にぶち込まれたかのような突き刺す寒さ。

 きらりと空間が歪み、風切りの音共に俺の顔に飛来してっ。


「っ、舐めないでもらいたいね!」


 一方そのころ、礼は敵のうち一人を請け負っていた。

 こちらもローブを着ており外見はあまりうかがえない。と言ってもフードから漏れ出る髪と宝石の光が雄黄色ゆうおういろに輝いている。

 彼女が持つ獲物はメイス。わかりやすき言えば長い棒の先に丸いものが付いている武器だ。もっとも尖端bに付いているものは円形ではなくフォークをクロスさせたかのようなものなのだが。

 そんなものを振り回している相手に対し、こちらはほぼ無手の状態だ。

 拳銃?そもそも使えないし。レーヴァテイン?寄生体だってばれちゃうじゃないか。

 故に礼に出来たのは相手の攻撃を素手で捌くということだけだった。


『いい礼ちゃん。貴女は剣で敵を攻撃することに重点を置きすぎてるの』


 思い出すのはあの屈辱な日。

 ベットの上にまぶたを閉じている人影は我が愛するご主人様。

 自身のせいではない。二手に分かれたという選択肢を取ったこと、戦力が分散してしまうのは誰が見ても明らかで。

 それでも考えてしまうのだ。私が強く、もう少し早く敵を倒してマスターの元に駆け寄れればと。

 そう思うならもうここにいる必要はない。清潔感漂う白い病室に佇むことは。

 安い椅子から立ち上がり、出口に向かって歩いていく。


『行ってくるよ』


 まるで、背を押すかのように風が瞬いた。


(僕は確かに身体能力が高い。それはほかの寄生体と比べても明らかだ……けど、それ以外は何もない技術も練度も、幼稚園児がバットを振り回しているもので)


 コンクリートを踏みしめ半身を翻しながらバックステップ。

 済んでのところにいた地点が振り下ろされたメイスによって爆ぜる。まるで小さな地震の震源地のような衝撃。

 だが、視れないわけじゃない。セーブしても避けられない速さじゃない。


『もっと体を使いなさい。こんなにも柔軟な体を持っているのだから、バネのようなしなやかさを利用して小技を会得するのよ』


 クルンとダンサーのように身をひるがえし、相手の腹部に向かって蹴りを叩きこんだのだ。

 教えられたのは足技。両手で剣を持つ彼女にとってあくまでも重い一撃を当てる手段で拳を使えば、レーヴァテインが震えなくなってしまう。

 だからこそ、唯一両手がふさがった状態でも攻撃でき、尚且つしなやかな体を存分に活用できるのがこれだったのだ。


「銃を持っていないから、刃物を持っていないから……そんな甘い考えで僕を捉えられると思わないでね!」


 高らかに今までの自身に別れを告げ、姿勢が下がった頭部に向け膝蹴りを叩きこんだ。



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