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パラサイト・エヴェレット parasite_Everett  作者: 野生のreruhuさん
本編:第4章 不毛に響く白鳥の歌
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145節 私が来た!

 朝起きたら狙撃事件が起きてたで候。


 ……、やべぇな(どれくらい言及して良いのかわからない図)

 ――私が来た!


 こちらに背を向け高く声を上げる一人の少女。

 背広は細く、どちらかと言えば華奢で美しい。放ったセリフ者と恰好が一片も被ってもいない。

 そもそも、幼女にとって一昔前に流行ったマンガの言葉など理解不能だったことだろう。

 けれどそんな幼女にもたった一つだけ理解出来た事がある。


 もう、自分は大丈夫なんだなと。


「あれは……っ」


 目の前に比喩表現ではなく文字通りの降って出てきた。

 着地と同時に体をひねり、上半身を一刀両断切り捨てたのだ。あれは、もう駄目(ムリ)だと諦観(ていかん)していたのに。まだ小学校すら卒業していない少女の柔肌に刃物が刺さり血と臓物が辺りに飛び散ることは無く、


「……ふぅー」


 繋いでいた双刃刀を分離させ軽く回転し、血を落としてから構えなおした。

 ……あの数相手に戦う気か?いや、前衛が居るなら。


「こちら、戦闘員4名、オペレーター1名、民間人複数。囮と前衛を頼む、こちらは防衛と支援に徹する……識別名はウォードックだ」

「りょーかい!私が前で暴れるから」

了解(ヤー)!」

「え?いやだ?」

「了解って意味だよ、ドイツ語の!」


 怒鳴る妹を尻目に、マガジンでリリースレバーの爪を引っかけ空弾倉を吹っ飛ばす。勢いのまま、持っていた予備マガジンを叩きこみ左手でコッキングレバーをきちんと引く。

 狙うは、魔法少女に飛び掛かってくるやつだ。出来る限り視界に入っていない奴、対処できるのは多めに見て3匹。それ以上は、お寝んねしてる少女を守れない。


「ウォードック1からウォードック2()へ、隙を見て雑魚寝を引っ張り上げろ。03(茉莉)は援護、04(ゆずき)02()と一緒に行け、こちらも少しずつ前進する」


 ここは、戦いの集中してもらうべく俺達が引き上げるしかない。

 後ろの一般人たちは救助が来た事によって腰が抜けている。極度の緊張状態が急激に緩和したがために、ろくに動けない事は想像出来たし動かす事は魔法少女が許してくれないだろう。

 幸い、後方には敵が居ない。居たらとっくに交戦状態になっていた、自分たちがここまでこれたと言うのは一時的な安全地帯であると同義だ。そのまま待機させよう。


「……、撃て!」


 俺の射撃合図と共に、一斉に銃撃が開始される。

 合わせるのは初動だけだ。同タイミングで弾数切れになってしまえば絶対的な隙を与えてしまう。

 わずかにタイミングをずらし、一方はわざとトリガーに指を掛けたまま一歩ずつ前進していく。

 ダンダンダン!地面に転がり落ちる空薬莢は俺達の生きる砂時計。こいつが切れないように適度にひっくり返さなけば。


「やぁ!ふっ、せい!!」


 前方では魔法少女が機械生命体と共にタップダンスを披露している。

 くるくると遠心力を維持しながら出来るだけ威力を高め、致命傷を与えると言うより遠ざけるのを意識して。

 やはり、寝転ぶ幼女が邪魔と見た。


「しまっ」


 だが、回転すると言うのは敵が視界内に入る時間が少ないと言う事でもある。

 本来は目を離す、それも複数戦で行ってしまえば意識外からの攻撃は必然。

 刃を何とか硬化したマントで受け流し、勢いを利用して袈裟に切り裂くが一度防御で止まったがためにダメージは浅い。

 と、同時にもう方向からも伏兵。

 右手で何とか防御体制を取るが、左手は既に振りかぶってしまっている……相手の体制が早く治る。

 間にあわ――。


 バン、バコン!!

 敵が同時に放った突きは、双方轟音と共に外れていた。

 一匹は大きくつまずいたかのように、もう一方は途中で横に押されたかのようで。

 チカっと舞う火花は少女を守るために放たれた弾丸の証だ。的確に相手が大勢を崩すように、5.56mm弾をあの少年たちが確実にぶち込んだのだった。


 しっかり見ている。思ったより魔法射撃をぶっ放してくるやつが多い。そちらを対処していたら、多少おろそかになってしまった。

 マントをマナで硬化させ即席の防具にするのは想定外。まるで闘牛士のようだった。

 やべぇと思ったが、魔法小女の奇策もあり致命打は避けられたようだ。

 体制を崩した機械生命体にアネモネが折り返し刃を切り込み、ズレたもう一方には逆手で突き刺し蹴り飛ばす。

 リロードしながら流し見で吹き飛んだ敵がドミノ倒しのように倒れ、津波が止んだことを確認。今しかない。


「よし、今だ。走れ!」

「僕に任せて」

「じゃあ、援護ってことでぇ」

「掃除は任せてもらおうか」


 二人が走り出すと同時に、発砲を控えていた茉莉のアサルトライフルが火を噴く。

 礼はハンドガンを抜き開いた左手で襟をつかみ上げながら下がり、ゆずきは少し遅れて射撃しながら後退する。


「こちらは、確保した。派手にやってくれ」

「感謝感激!」

「あの人、結構テンション上がる人なのかな?」

「知らんがな」

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