130節 2対3
年末年始だから仕事で忙しくて(以下略)
それと同時に片頭痛も出てきた……。残業は悪い文明!
絹と言うものがある。
蚕と言う虫から生成される動物性繊維の一種で非常に丈夫だ。カーボンやケブラーが生まれる前に、防弾繊維として使用されていたくらいなのだから、性能としては折り紙付きだろう。
つまり、一枚の布で銃弾を止められるものが実際にあるのに彼女がそれ以上の物を作れないはずがない。
糸をマナで自在に作れる霜にとっては銃弾など驚異に値しなかった。
「っ!?」
姿勢を低くしながら、瞬時に腕を交差。指輪から生成された糸を自在に編んで傍目かせた。
まるで、突進する闘牛のように弾丸が布に突き刺さる。
数十発の銃弾、その力が一気に指に掛かる。パキっと反対側に指が曲がる前に霜は、瞬時に魔法を解除し飛び出した。
(右に2体、左に1体。1メートル弱の自立兵器ですか……横に備え付けられている双発のサブマシンガンですか?それで攻撃してきたのですね)
障害物から飛び出しながら松雪は駆けていく。
魔法少女は人間より強靭だ。100メートルを5秒で走り、軽自動車を一人で持ち上げることができる。
が、あくまでも燃料であるマナが有ればの話だ。
突発的な襲撃で、霜は全力を使い防御に振り切った。その影響からか、リチャージするまでの数秒は一切の有効打は不可能。一応、最低限の身体能力は保証されているが銃弾は2発以上耐えれまい。
攻撃手段は、側面に付いている短機関銃……彼女達の知識がないため間違っているが、正確にはHK416を9インチまで切り詰めた物を、計6つ。
先ほどの攻撃で撃ち尽くしたのか。マガジンは既に自重で落下し、副腕が装填を始めようと予備弾倉を掴んでいた。
攻撃できない者たちが選択したのは、障害物に退避する。攻撃準備を続けるであった。そう、攻撃できない者は……。
「っ……っふ!」
マナ切れで消滅する布を引き裂くように突撃をかます少女がいた。
息すら乱れぬ無駄なない動きで、地面に伏せていた体を跳ねさせ髪飾りを叩く。
中心にあしらわれた宝石から一寸の光が指し、ゴールテープのように走りぬく。白い粒子が背を駆け、衆目にさらされた姿は魔法少女の意匠であった。
レオタードに付いたマントとポニーテールの髪型を跳ねさせながらブーストダッシュ。
生成した両刃刀で右側に居るドローンを切りつけた。が……。
「浅っさい!なら」
ガッとまるで何かに挟まれるように抵抗される刃。
一華は、確かに部隊任務としては根本的に終わっている。だが、新設されたハナズオウに選ばれるだけの能力があるのだ。
それは。
「一回じゃダメなら、もっと切る!」
背後を取ったもう一体に後ろ回し蹴り。その勢いを利用して刃を引き抜き回転しながら切り下した。
先ほどの一撃と遠心力が加わった強斬により、まるで伐採された木のように折れるドローン。
赤い色のオイルが頬を撫でるのを無視し、蹴り飛ばしたもう一体に向かう。
本気の蹴りと言う訳ではないが、既に靴に取り付けられたスケートブレードにより装甲は削れている。そのまま、滑るように相手に近づきコマのように回転しながら蹴り続けるウィンドミル。
ガンガンガンガン!と金属が何度も殴打する音が響き渡り、腕の力だ飛びとどめの踵落しを食らわせた。
ヒールブレードが一気にめり込み、半分ほどまで破壊する。ドバドバと赤いオイルをこぼしながら機械は電源を落とした。
「もう一体、あ……マナ切れ!?」
モーターの機動音を聞き取り、左手に居るドローンに目を向け走りだそうとするが足が引き抜けない。
どうやら、攻撃にマナを消費して深く貫いたヒールブレードを抜くほどマナを回せないらしい。
ローラーダッシュで少し距離を取りながら側面に備え付けたアサルトライフルで狙いを定めるドローン。マントで体を包み込み防御体制を整え。
「なら、そちらは私が」
今度飛び出たのは霜であった。
相手が体制を整えられたのならこちらも整っているのは当然の摂理。
瞬時に糸を生成し、巻き付ける。己の魔法で生成したのだから願った通りに動かし、相手の関節部等モーターを噛むように絡ませ一気に引っ張った。
ピアノ線より強固で鋭さを持つそれは、魔法のより強化された剛腕をもって対象を粉砕する。
バッとミキサーに砕かれた果実のように、金属破片と赤いオイルが地面を染め上げた。
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